最初に二段モーションで反則を宣告された楽天戦では完封で意地を見せるも、続くソフトバンク戦は3回7失点KO

パ・リーグ2位の楽天を猛追する西武のエース・菊池雄星が8月17日の楽天戦、同24日のソフトバンク戦と2試合連続で反則投球を宣告された「二段モーション問題」。辻発彦監督が「じゃあ、ほかの投手はどうなんだ!」などと激高し、球団も審判部に抗議の意味合いを込めた「質問」を送るなど、一時は一触即発のムードが漂った。

29日には審判部から球団に回答書が届き、一応は“手打ち”となったようだが、ここに至るまでの経緯には不可解な点も多い。スポーツ紙デスクが解説する。

「菊池は『キャンプでは大丈夫と言われた』と言いますが、映像を見ると春先と夏のフォームはかなり違い、“二段気味”になっていたのは事実。審判側が最初に口頭で注意したのは5月で、その後も段々上げた右足が止まるようになり、ついには“アウト”と判断されたわけです」

紙一重の勝負でメシを食うプロの投手がフォームを変えるのはたやすいことではなく、西武側がナーバスになるのも当然。しかし、ルールそのものの是非は別にして、その文面を額面どおりに受け取れば、反則といわれても仕方のない部分もあったのだ。

では、なぜ西武側はあれほど強硬に抗議したのか。まず、審判側の“手続き”に問題があったという。

「審判側は夏場にも数回注意したと主張しましたが、それは正式なものではなく、試合前などに菊池に対して個人レベルで『ギリギリだぞ』『アウトだな』などとあいまいな表現で伝えただけ。しかも、それが辻監督や球団首脳の耳にきちんとした形で届いていなかったようです」(デスク)

だからこそ西武側は怒り、メディアやファンも当初は「菊池を潰すな!」などとそれに同調したのだ。

「わかりやすく言えば、運転中にスピード違反で反則切符を切られたときのような気持ちでしょう。他球団にもロッテの涌井秀章や石川歩、ヤクルトの小川泰弘などグレーな投手はいる。そのなかで菊池は“グレー度”が高く、かつ“注意してもやめない常習犯”だったため切符を切られたわけですが、『なぜ俺だけ』『今までOKだったのに』と文句を言いたくなる気持ちもわかります」(デスク)

しかも、その反則切符を切った“白バイ警官=審判”が、いわくつきの人物だったという。デスクが続ける。

「菊池が2度目に二段モーションで反則投球を宣告されたソフトバンク戦の球審が、実は元々あまり評判のよくない人物でした。抗議などに対して感情的になりやすく、上から目線で対応するタイプ。菊池や辻監督も、ほかの審判ならあれほど怒りを露(あらわ)にしなかったかもしれません(笑)。反則切符を切る白バイ警官の態度が悪いと、ものすごく腹が立つのと一緒ですよ(苦笑)」

全国のドライバーの皆さん、これで菊池のやりきれない気持ちがよくわかったのでは?