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12年ぶりの『エウレカ』でアニメーター・吉田健一が向き合ったものーー「時代遅れの老害でも、この業界に残していくことがある」

[2017年09月12日]

『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』のために新たに書き起こした設定画

『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』のために新たに描き起こした設定画

■業界に一石を投じたつもりだった?

―なぜ、『エウレカ』でそういった表現をしようと思ったんですか?

吉田 僕はオリジナリティがある人間ではないんです。いろんなものをマネしながら育ってきた、その集合体なわけですよ。僕が育った年代は劇画の最後の世代で、線そのものにドラマ性がある絵がたくさんあったんです。質量のある絵といったほうがいいかな。

―存在感がある絵みたいなことですか?

吉田 そうですね。宮﨑(駿)さんの絵もそこに入ると思いますが、そういうものを観て育ち、自分も描けるようになりたいと思ってやってきました。でも、セル時代後半から始まっていたことですが、デジタルの時代になって、より線が整理されてきた。今は抑揚のある線を描こうとすると、わざとらしいものを描くしかなくなっているんです。劇画じゃなくて、“劇画調”の絵になってしまうというか。

それがやっていてツライんですよ。線そのものにも描き方の幅広さを許すデジタルソフトや制作システムみたいなものがないと、アニメーターの描く線が整理されすぎて、表現の幅が狭くなってしまうような気がしているんです。言い方が難しいんですけど、線というのは、要するに絵ですよね。絵に幅の広さがあるということがいろんな作品を成立させることにつながる気がしているんです。だから『エウレカ』ではキャラクターデザインを通して、「こういう絵もありますよ」と投げかけたつもりでした。

―今は子ども向けから大人向けまで、アニメが語る物語はものすごく多様になっていますが、それを表現するための絵そのものからは、実は多様性が失われているんじゃないか? そういう問題提起ですよね。

吉田 『エウレカ』は、そういうささやかな攻めを12年前に行なっていたということですね。でも、こういう質量をもった描き方は昔は主流だったんですよ。宮﨑さんや安彦(良和)さんなんかそうで。僕はその世代と今の世代の間に立った狭間の世代として、彼らがやっていたことを繋いでいきたいと思っているだけなんです。

―具体的にいうと、それってどういう表現のことを指しているんでしょうか?

吉田 例えば、安彦さんが得意な男臭いキャラクターを今の人が描こうとすると「カッコいいオジサンを描きました」というふうになるんです。でも、それは似て非なるもののような気がします。僕より上の世代のアニメーターは、よく「アニメを映画にしたい」と言っていました。それは僕なりに理解すると、アニメのキャラクターを映画のアクターのように“存在するもの”にしたいってことだと思います。

実際、安彦さんのキャラクターは「こういう人がいます」というだけで、“カッコいいオジサン風の絵”とは全く違う。オジサンという記号をつくるだけではなく、映画で俳優がある人物を演じるように、それ以外にはあり得ない存在感をいかに絵で実現するかってことを考えたいんです。

―絵をパターンで処理しないってことですね。

吉田 それを自分はできる自信があるんですが、今の人の共通言語からは失われつつあると思っていて。皆さん一度、人の絵をトレースしてみてください。これが意外と難しいんですよ。丁寧に描き写しているつもりでも、いざ出来上がりを見たら、なんか違うということがよくある。それはなぜかっていうと、トレースには「絵を読む力」が求められるからです。それがないと、描き写すたびに線の個性が失われてしまいます。

―知らず知らずのうちに、人の絵を自分の理解できる範囲内で描いてしまうと。

吉田 それが“線を整理する“ってことで。アニメ制作は人の絵を写す作業の連続なんですよ。だから反対に、絵を読む能力が優れている人が多ければ多いほど、作品にはいい線が増えていき、いい絵が増えていく。いろんな線の表現を共通言語として持っている人が増えていけば、もうちょっとアニメの表現の幅が広がるんじゃないかと思っているんですけどね。

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