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北朝鮮・核ミサイルの脅威に方向性を見失う世界--「危機感」を煽る、日米政府の思惑とは?

[2017年09月14日]

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国際社会は北朝鮮が「本格的な核ミサイル保有国」になることを阻止する有効な手段を失いかけていると語る、英紙「ガーディアン」のジャスティン・マッカリー氏

何度も繰り返される弾道ミサイル発射に6回目の核実験実施──アメリカ本土をも射程圏に収めるICBM(大陸間弾道ミサイル)や「水爆」を開発し、挑発行為を続ける北朝鮮の金正恩に対して、アメリカのトランプ政権も「軍事行動を含めたあらゆる対応の可能性」を示唆している。

緊迫の度を増す北朝鮮情勢を、ヨーロッパのメディアはどう見ているのだろうか? 「週プレ外国人記者クラブ」第91回は、イギリス「ガーディアン」紙東京特派員のジャスティン・マッカリー氏に話を聞いた──。

***

─マッカリーさんは日本に暮らす外国人のひとりとして、北朝鮮をめぐる状況をどのように感じていますか?

マッカリー 7月のICBM発射実験に続き、8月29日には新たな弾道ミサイルが日本上空を通過、そして9月3日の核実験実施…北朝鮮の挑発行為は一向に収まる気配がありません。この挑発行為は、国連による経済制裁を含め、北朝鮮への軍事的圧力、中国やロシアを巻き込もうとした努力など、これまでアメリカ、日本、韓国が行なってきた政策が「全く役に立っていない」という非常に厳しい現実を示しているように思います。

その間に金正恩は着々とミサイルや核兵器の開発を進め、仮に現時点ではまだ厳密な意味で「実用化レベル」に達していないとしても、数ヵ月後には「本格的な核ミサイル保有国」になっている可能性が高い。もはや世界はそれを阻止する有効な手段を失いかけている。言い換えれば、米日韓の3ヵ国も、この問題についてのアプローチを根本的に見直さざるを得ない段階にきている気がします

─9月11日、国連安保理では北朝鮮に対する新たな制裁決議が全会一致で採択されましたが、日米が望んでいた北朝鮮への「最も強い制裁」である全面的な原油輸出禁止措置などは中ロの反対もあり見送られました。

マッカリー 原油全面禁輸といった、北朝鮮の国内情勢を今以上に不安定化する制裁案に中国やロシア、特に北朝鮮と国境を接する中国が強く反対するのは当然でしょう。彼らが最も恐れているシナリオは不安定化した北朝鮮でクーデターなどが起こり、現在の体制がコントロール不能な状態で崩壊し、自分たちがその煽(あお)りを受けることです。

米韓の軍隊が不安定化した北朝鮮に入り込んで実効支配してしまうなど、中国にとっては「最悪のシナリオ」ですから。そのような影響を及ぼしかねない制裁案には同意するはずがありません。国連を舞台とした日米韓と中ロのせめぎあいを眺めながら、その間にも北朝鮮はこの「ゲーム」を自分たちのペースで意のままに進めている。サッカーの試合に例えれば、今のところ主導権を握っているのは金正恩の側じゃないでしょうか。

─なぜ、ゲームは金正恩のペースで進んでいるのでしょうか?

マッカリー 彼の「目的」が明確だからです。まず理解すべきなのは北朝鮮による核兵器やICBMの開発もそれを利用した挑発行為も、すべては金正恩が「現在の体制維持をアメリカに保障させる」ことが目的だということです。

誤解している人も多いのですが、別に彼は世界征服を企んでいるわけでもなければ、アメリカや日本をミサイルで先制攻撃をかけて滅ぼしたいのでもない。そんなことをすれば、それはそのまま北朝鮮の、そして「金王朝」の終わりを意味する。そんなことは金正恩はよくわかっている。むしろ、「アメリカは北朝鮮の体制変更を望んでいる」という強い危機感があるからこそ、挑発行為に及んでいるのです。

一方、それに対峙する国際社会は北朝鮮問題を最終的にどう解決したいのかという、目指すべき「現実的なゴール」が明確ではない。北朝鮮による核攻撃などの軍事行動を阻止したいのか、核・ミサイル開発を放棄させたいのか、朝鮮半島の完全な非核化を実現したいのか、それとも最終的に金正恩体制を倒して新たな体制を築きたいのか…現状で最優先すべき目的や、その先に目指す方向性が明確ではなく、立場によってバラバラなために「北朝鮮の体制維持」という明確な目標を持った金正恩に、一方的に振り回されてしまうのだと思います。


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