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虫歯の根絶には「削るより、削らない!」ーー予防治療で“患者と一生お付き合いする”歯科の戦い

[2017年09月24日]

大月デンタルケアで働く歯科衛生士の白柳さん(右)と受付担当の吉野さん。彼女たち現場スタッフが同院で注目される予防型歯科を支えている

埼玉県富士見市にある医療法人満月会・大月デンタルケアが他の歯科医院と違うのは、歯を削る治療より、歯を削らない予防型歯科を軸にしている点にある。

だが、1994年の開業当初は他の歯科医院と同じ外科的な治療がメインで、予防はほとんどやっていなかったという。「私は元々、“治療大好き人間”。歯を見ればいかに削るか、いかに詰めるかしか考えていませんでしたから…」。

転機が訪れたのは2004年、大月院長は数名のスタッフを伴い、当時から予防歯科で注目されていた山形県の歯科診療所を視察。初診時から対話を重視し、同じ患者のケアを継続的に担当する歯科衛生士の姿に、視察に参加した受付担当の吉野美穂さん(38歳)、歯科衛生士の白柳亜弓さん(33歳)、水村絵里さん(39歳)らスタッフ全員が感銘を受け、大月院長は治療型から予防型への転換を決断したのだった。

だが、予防歯科は保険対象外で全額患者負担となるため、歯科医院にとって経営リスクが大きいとされる。それでも大月院長は「一般の方でも通い続けられるように」と比較的低料金の設定にしていたそうだが、06年、厚労省による歯科診療報酬の大幅改定が大きな打撃となった。

これは日本歯科医師連盟が政治家に不正献金を行っていたことへの“懲罰改定”とも言われ、歯科医院の報酬は減額。「このままでは医院が潰れる」と、大月院長は軌道に乗り始めていた予防を捨てざるをえなくなった(前回記事参照)。

その後、「患者さんのためにも予防を続けたかった」という現場スタッフと、経営者としての立場もある大月院長との間に“溝”が生まれ、院内の空気は日に日に悪くなっていく…。

この頃、院長の心情は複雑だったという。医療人としては、虫歯のない地域を作るために予防歯科が欠かせないことはわかっている。だが、経営者としての立場がそれを許さない。その葛藤の中でふつふつと湧いてくるのが、厚労省の思惑ひとつで現場が振り回されることへの行き場のない怒りだった。

「私は歯科医師としての良心は失っていないつもりでした。でも、その良心が求めることを当たり前にできない。結局、自分は“国の奴隷にすぎないのか”と…」

別に腐っていたわけではなく、自暴自棄に陥っていたわけでもない。ただ、スタッフと意思疎通が取れない現場で歯を削り続けるストレスが重たくのしかかった。

そんなある日、親交のあったある国会議員との会合を持った。その議員は医師ながら学生時代から歯科医師の学友が多く、予防を重視する歯科医療改革の必要性を訴え続けていた人物でもある。

そこで大月院長は「今のままでは日本の歯科医療は崩壊する、私たちはメシも食えなくなる…」と大いに愚痴ったそうだ。すると、その議員は厳しい口調でこう返した。

「歯医者がメシを食えようが食えなかろうが、国民の知ったことじゃない! そんなことを言っている暇があったら、国民が何を求めているのかを真剣に考えろ!」


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