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医療現場でさまよう“迷走患者”たちーー医師を“本気にさせる患者”の在り方とは?

[2017年09月30日]

医師と患者の間に立ち、円滑な意思疎通を図るための手助けをしてくれる「メッセンジャーナース」という活動をする看護師たちもいる(写真はイメージです)

『迷走患者 〈正しい治し方〉はどこにある』著者の岩瀬幸代(さちよ)が、現在の医療の現場と患者たちの苦悩をリポートする短期シリーズ。

第1回では、西洋医療と代替医療の間で迷走する患者たちの姿を紹介した。この第2回では、“医師との信頼関係”を築くにはどうすればいいのかを考える。

* * *

「わからないならわからないで、別の先生に診てもらえるようにしてもらえませんか」

努めて穏やかな口調で、正弘さん(40代、仮名)は妻の担当医に訴えた。風邪をこじらせ、難病の潰瘍性大腸炎が悪化して、妻は行きつけの総合病院に入院していた。症状を抑えるために1~2週間の予定で始めたはずの断食は1ヵ月以上経った今も続いていた。

詳しい説明を求めても納得できる返事が返ってこない。やがて、担当医が自分では判断できずに他病院の先輩医師に相談していることがわかって冒頭の発言になった。

「これまで4~5年診てもらって良好な関係を築いていたが、不信感は募る一方でした」と正弘さん。そんな中、2ヵ月経った頃には「大腸全摘出手術」を告げられる。ますます不安を感じてセカンドオピニオンを希望するも承諾をしぶられ、重湯さえ口にできない日々はさらに続いた。

ようやく出身大学の病院で働く専門医を紹介され、会いに行くことができた時には入院から3ヵ月以上経っていた。そして、大学病院の医師はきっぱり言った。「このままではストレスがたまるだけ。即日退院して、食事を再開してください」

ふたりとも愕然とした。もちろん病院を変えた。以来、妻は寛解の日々が続いている。

もし正弘さんが、疑問を口に出せないまま遠慮して医者の指示に従っていたら、大腸は全摘されていたかもしれない。医師と円滑なコミュニケーションを図りつつ、自分の意思を明確に伝える重要性を知らされる。

医者には従うものだという一時代の慣習や、モンスターペイシャントと誤解されることを恐れて、医者に意見することを躊躇(ちゅうちょ)する人は多いけれど、その考えは実はもう古い。患者はもっと積極的に医療に参加することが求められている時代なのだ。

例えば、「インフォームドコンセント」。これを単に医者から説明を聞いて同意する手続きだと思っている人は多いのではないか。本来の意味は、患者本人の自由意志により治療法や検査に同意または拒否することができる、いわば患者の自己決定権が保証されているシステムだ。

セカンドオピニオンも主治医以外の医師から話を聞いて自己決定ができるように守られているのである。つまり、医療の主導権は医師から患者へ移ってきている。

昨今、「患者力」という言葉を聞くようになったが、これも患者主導の流れの中で出てきた造語だ。納得する医療を受けるには、この「患者力」が鍵になる。インフォームドコンセントの場面を含め、自ら症状・病気を理解して医療に参加していく力が医師から求められている時代なのだ。


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