新日本、全日本、NOAHで、それぞれシングルとタッグのベルトを巻いた“プロレス界の帝王”高山善廣選手。現在、頸髄完全損傷で深刻な状況に置かれているが、多くの人たちがその回復を願っている

5月4日、リング上での不運な事故により重症を負った“プロレス界の帝王”高山善廣(よしひろ)選手。

9月4日には、その病状が「頸髄完全損傷」で、首から下が動かず、回復の見込みが薄い深刻な状況にあることが公表され、有志による支援団体「TAKAYAMANIA」の設立も発表された。各プロレス団体が協力し、試合会場での募金箱設置や応援グッズ販売、チャリティー興行などで寄付を募り、高山選手の治療費などを支援するという。

週プレにおいても、先月配信した鈴木みのる選手のインタビュー(「ポケットに余っている10円でいいから協力してほしい」)に続いて、より多くの人々に支援への理解や協力を広めるべく、今回、大物プロレスラーたちに高山選手への応援メッセージを寄せていただいた――。

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まずは、かつて高山選手が所属していた団体UWFインターナショナルと因縁浅からぬ関係にあった長州力選手。

1995年10月9日、新日本プロレスの“現場監督”だった長州選手は、新日本とUインターの全面対抗戦に打って出る。東京ドームに6万7千人もの大観衆を動員したこの対抗戦で、高山選手は新日本の実力者、飯塚高史に勝利し、その名を全国に轟(とどろ)かせた。長州選手が語る。

「間違いなく一時代を築いた選手だよね。なによりプロレスラーとしてあのサイズは魅力的でした。Uインターの頃は、線の細い印象しかなかったけど、そこからよくあそこまで駆け上がったよね。

事故の件は発表前からいろいろと自分の耳に入ってきてたので、心配はしてました。ファンの皆さんの力で募金運動も全国に広がっていると聞きます。ファンの方たちも回復を願ってます。高山君、奇跡を起こしてくれ!」

続いて、かつて大ブームを巻き起こしたUWFの中心人物で、リングスのCEO前田日明氏。

「高山君のケガの状況を聞きました。彼は(2004年8月に)脳梗塞をやっていたので、会うたびに『気を付けてくれよ』と言っていたんですが、まさかこういうことが彼の身に降りかかるとは思いも寄りませんでした。なんと言ったらいいのか…言葉も思い浮かばないくらいの衝撃でした。

まだ小さいお子さんもいらっしゃると聞いていますし、ご家族にとっても大変な試練だと思いますが、私自身もリングスともども何かできることがありましたら、なんでもやりたいと思っています。ぜひ多くの皆さんからのご支援もお願いしたいと思います。高山君には、今は絶望感でいっぱいかもしれないですけど、希望を持って、1日1日を頑張ってほしいと伝えたいですね」

高山選手は事故前の4月、前田氏の隣で直立不動になっているツーショット写真をFACEBOOKに投稿していた。「前田サンが横にいるから、俺様小さくなってしまうのは、アタリマエダのクラッカー!!!!!!」とのコメントが添えられており、UWFへの憧憬と、“帝王”ならではのユーモアが窺える。

小橋建太「信じてフルパワーを送り続けるしかない」

最後は、高山選手が全日本プロレス~プロレスリングNOAH(97~2013年)のリングで何度もぶつかり、リングを降りてからも公私にわたり親交があった、小橋建太氏だ。

「僕がプロデュースする6月の『Fortune Dream4』に出場してもらうはずだったんです。直接、電話をしてオファーしたら対戦相手も聞かずに『小橋さん(のイベント)だったら出ます』と。記者発表の会見にも来てくれて。それが突然、連絡が取れなくなって、そんな不義理をすることはないんで、何か重大なケガがあったのではと思ったんですが…。

彼とは世代的にも同年齢で、プライベートでつるんだり馴れ合うような関係ではなかったけれど、UWFから全日本にきて、長年闘ってきたライバル。僕が腎臓がんから復帰した初戦でもタッグを組んで、リング上で信頼を築いたからこその関係だった。とにかく、攻撃がきつくて荒々しいスタイルだったけど、いつも終わった後は清々しい気持ちでね。

今、こうなってしまい、本当に何も言葉にできない。脳梗塞で倒れた後も、彼は手脚が思うように動かない中、トレーニングで補って試行錯誤してきたのを見てます。僕は最終的に首の手術をして力が入らなくなって、ある日、もうできない…これはリングに上がっちゃいけないんじゃないかという気持ちが強くなって引退しましたけど。彼は本当にプロレスが好きだからリングに上がり続けたわけで。それについては何も言えません。

ただ、僕も引退した後に子どもが生まれたので、ご家族のことを考えるとね…。けど、彼自身がずっと諦めず、強い心で頑張ってこれまでも奇跡を起こしてきた人間。僕らもファンの皆さんも、信じてフルパワーを送り続けるしかないんです。一過性じゃなく、高山選手を思い続けて応援しましょう!」

高山選手は、小橋氏が体調を崩しリングに上がれなかった頃、「小橋さんの話を聞いたら余計に、カラダが動く自分はリングに上がれることに感謝しなければ」と語っていたことがある。そして、腎臓がん手術からの復帰戦となった2007年12月の日本武道館大会ではタッグパートナーを務めたのだ。

小橋氏の言う通り、高山選手への応援は一過性に終わらせてはいけない。もちろん、現実はそこまで甘くはないかもしれないが、これまでだって“帝王”は何度も困難に打ち克ってきた。だからこそ、どうしてもこの言葉を送りたい。奇跡を起こせ、“プロレス界の帝王”高山善廣!

後編では、UWFインターナショナルの同志や、PRIDEで激闘を繰り広げたあの大物格闘家からのメッセージを配信!

(構成/“Show”大谷泰顕 写真/長尾 迪)

■高山善廣選手への支援はこちらへ!三菱東京UFJ銀行 代々木上原支店(店番号137) 口座番号:普通預金0240842 口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア