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もはや“一線を越えた”不倫報道――そのニーズを支えるのは「我慢は美徳」な日本人の潜在的な怒り?

[2017年10月11日]

著書に『はじめての不倫学』がある坂爪真吾氏と、舌鋒鋭いコラムニストのサンドラ・ヘフェリン氏が、過熱する「不倫叩き」の深層を抉(えぐ)り出す!

昨年1月のベッキー騒動から今年9月の山尾志桜里議員の疑惑まで、「不倫報道」が世間を賑(にぎ)わさない日はないといっても過言ではない。

なぜ、ここまで不倫報道が増えたのか? これは日本に特有の現象なのか? そしてその根底には日本人のどんな「不倫観」があるのか? 日独ハーフのコラムニストとして活躍するサンドラ・ヘフェリン、『はじめての不倫学』などの著書を持つ一般法人ホワイトハンズ代表理事・坂爪真吾氏と一緒に考えた――。

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─民進党を離党した山尾志桜里衆院議員の不倫疑惑の前には、今井絵理子参院議員(自民党)のスキャンダルもありました。今や日本は国会の中まで不倫だらけといえるような状況です。さらに、違和感を覚えるのがマスコミの報道。「一線を越えたのはマスコミの報道では?」と言いたくなるような過熱ぶりです。

坂爪 マスコミ報道の過熱ぶりに関しては、複雑化した現代社会で多くの人が不満を抱えて生きている状況で、不倫は「叩きやすい」ということがいえると思います。例えば、経済格差の問題も深刻ですが「コイツが悪い!」とひと言で断罪することは難しい。それに対して不倫というのは文字通り「倫理的な不義」ですから、社会的に汎用性の高い理屈を振りかざせば、誰にでもわかりやすい形で悪者を特定して叩くことができるわけです。

サンドラ ドイツあるいはヨーロッパの感覚でいえば、今の日本のように社会全体がひとつになって有名人の不倫に目クジラを立てている状況はやはり異様に映ります。かつて世界中を騒がせた米国のビル・クリントン元大統領の不倫問題はドイツでも報道されましたが、今の日本のように国民全員が「けしからん!」と怒っていたかというと、そうではない。

そもそも、モニカ・ルインスキー嬢との「不適切な関係」を執拗に報道していたのはタブロイド紙など一部のメディアに限られていました。なので、その問題で騒いでいたのもその読者層に限定され、それ以外の知識層が「不適切な関係」を話題にして盛り上がるという現象は見られませんでした。

少し脱線しますが、メディアの報道姿勢という観点でいうと、ドイツでは2006年にメルケル首相(当時51歳)が水着に着替えている姿を英国のタブロイド紙『サン』のパパラッチに盗撮されて、裸体が紙面に掲載される事件が起きました。この時、首相の側近は「告訴しますか?」と訊いたそうですが、彼女は「放っておきなさい」と受け流しました。これがもしも日本だったら「ヌード問題」として大騒ぎになるのだと想像します。でもドイツではタブロイド紙は別として、政治とそれらの問題は「別」なのです。

基本的に政治家のような重要ポストに就いている人物を「不倫疑惑で辞めさせていいのか?」という問題もあるでしょう。フランスのサルコジ元大統領やイタリアのベルルスコーニ元首相に愛人が存在していたことは日本でも報道されましたが、その問題で彼らが辞任に追い込まれることはありませんでした。

ドイツも自慢できることではありませんが、シュレーダー前首相は不倫と離婚を繰り返していて、有権者もそれを知った上で彼を首相として認めていました。タブロイド紙が「これが首相の新しい恋人!」といった報道をしても、それで社会から「首相を辞めろ!」といった声が挙がったことはありません。

不倫をしている、愛人がいるといったプライベートな問題と、政治家として問われるべき資質とは関係ない…というのが、個人主義を前提としたヨーロッパ社会の基本的な考え方です。

坂爪 日本のマスコミにも、かつては「政治家の“ヘソから下”の問題には触れない」という不文律があったようです。しかし、これは日本のメディアの特性――例えば、新聞でも“大衆紙”と“高級紙”といった区分が曖昧(あいまい)であることと関係があるように思いますが、やはり政治家を批判する際にも不倫というのは叩きやすい要素なのだと思います。

ヨーロッパの高級紙であれば、政治家を批判するのなら政策にフォーカスして矛盾点を指摘することでしょう。しかし、日本のように“一億総中流”を前提としたメディアだと、政策論議は難しい。やはり不倫問題を取り上げ糾弾することが政治家を批判する際にもわかりやすい手法で、また数字も取れるのだと思います。


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