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女子レスリングの“絶対女王”伊調馨が明かした葛藤 「自分のやりたいことは…」

[2017年10月13日]

伊調馨2

―では、今までとは違う立場で世界選手権を体験して、何か新たな発見などは?

伊調 今回はUWWの役員や上の方々とお会いする機会が多かったんです。そこで今まで知らなかった、UWWの組織や内部のことなどを多く知れました。本来ならば現役を終えて、指導者を経てから関わるような場所なので、ちょっと飛び越えてしまった気もするんですけど(笑)。こうやってルールや階級が決まっていくのかとか、レスリングの世界はこうやって動いているんだなというのを目の当たりにして、とても勉強になりました。選手でいるときは、決定したことしか耳に入ってきませんから。自分は無知だったなぁと思う半面…無知で幸せだったなと思ったところもあったかな(笑)。

―例えばどんなところが?

伊調 大きな組織になればなるほど人間関係がより複雑になってきますよね。人を動かすとか、動かされるとかいうのが多いから…今回いろいろな立場の方にお会いして、人との関係性を築くって、本当に大変なことなんだと思いました。選手時代は、自分のことだけ考えていればよかったから(笑)。

―確かに、組織が大きくなればなるほど、多くの人が関わることになります。

伊調 実は前からずっと自分の中で葛藤していることがありまして。自分のやりたいことは指導者、つまり現場でやりたいって気持ちがあるんです。でも、現場…いわゆる下の状況って、上(組織)にまで届いていないことが多かったりもする。そして、私の競技の実績だけで言えば、組織のほうにも行けるんだぞっていう、周りの意見も聞いたりしていて。もしそうだとすれば、チャンスのある私が組織のほうに行って、現場を助ける役目ができるのなら、それもいいのかもしれないな、とも思ったりしています。

◆後編⇒伊調馨が語る現役復帰と指導者の未来「国民栄誉賞をいただいて…私にも使命感が生まれました」

(取材・文・撮影/佐野美樹)

伊調 馨(いちょう・かおり)
1984年生まれ、青森県出身。中京女子大(現・至学館大)卒。ALSOK所属。2004年アテネ、08年北京、12年ロンドン、16年リオデジャネイロで金メダルを獲得し、女子個人種目で史上初の五輪4連覇を達成する。世界選手権10回優勝。昨年10月、日本政府から国民栄誉賞を授与される


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