海を越えても、大人気! 「2017台北トイフェスティバル」の入り口でポーズをとるゆでたまご・嶋田先生

10月7~10日の4日間にわたり台湾の台北市で、フィギュア系ホビーの展示&販売をメインとする一大イベント「2017台北トイフェスティバル(台北國際玩具創作大展)」が開催され、地元台湾をはじめ海外からも多数のメーカーが出展。

日本からは数社による共同で『キン肉マン』グッズを専門に扱う「マッスルショップ」もブースを出展し、そのイベント2日目にあたる8日の日曜日には『キン肉マン』作者である、ゆでたまごの原作担当・嶋田隆司先生が日本から来場。現地のファンに向けてのサイン&握手会を行なった。

会場となった「華山1914文創園區」は日本統治時代の1914年に建てられた酒造工場の跡地で、大正時代を思わせるレンガとコンクリート造りの建築がほぼ当時のまま残されている、日本人にもどこか懐かしい雰囲気を持つ展示施設だ。

現在は台湾の若者文化の情報発信基地として、アート、映画、漫画など多彩な展覧会場に利用されており、この日も会場周辺は主に10~30代くらいの若者で大混雑。日曜ということもあって、開場前から入場待機の行列ができるほどの大賑(にぎ)わいを見せていた。

このサイン会は、マッスルショップでのグッズ購入者を対象に先着順で配られた整理券配布者への特典として開催されたもので、14時~と16時~の各回約40名ずつ、合計約80名に行なわれた。

時間になり、会場に嶋田先生が姿を見せると、ファンから自然と大きな拍手が湧き上がり、先生もその歓迎に応えるべく「我是●仔煎(私がゆでたまごです)」(※●は「虫」ヘンに「可」と表記)と中国語で挨拶。それを聞いたファンからさらに大きな拍手が巻き起こり、その盛り上がりの流れのままサイン会がスタート。

熱狂的な台北のキン肉マンファンと写真を撮る嶋田先生

用意された専用のミニポスターに順番にひとりずつ、名前を記入し、ツーショットの写真撮影と握手をかわしていく嶋田先生。

中には勉強してきたという日本語で話しかけてくれるファンや、この日のために描いてきたという日本語メッセージ入りのカードを手渡してくれるファン、さらには地元台湾だけではなく仕事の関係で台湾に駐在中の「台湾にいてよかったと思いました!」という日本人の方、はたまた「今回は近くなのでやってきました!」とわざわざマカオやタイから駆けつけたというファンまで数名…集まった人々の多彩さ、そして熱心さに嶋田先生も大感激の様子だった。

自分の順番が終わっても後ろ髪を引かれる思いからか、会場を後にせず見守り続ける人も多い中、現地時間の17時近くまでかけ、全ての整理券配布者へのサイン記入が終了。係員による「今日のサイン会はこれにて終了です!」のアナウンスと同時に、残り続けた大勢のファンから最後に再び、お見送りの意味を込めた大きな拍手が鳴り響く。笑顔で両手を挙げてファンに応え、別れの挨拶を終えると、先生もまた名残り惜しそうに会場を後にした。

なんと、『Ⅱ世』が若者世代の火付け役だった!?

自身もまだ興奮冷めやらぬ中、台湾のファンの印象について嶋田先生に伺った。

「台湾では7年前にも同じ場所でサイン会をしてそれ以来なんですが、その時も今回も熱心なファンが多かったという印象は変わらないですね。日本の言葉でコミュニケーションを取ろうとしてくれる人がたくさんいて、日本の文化をいいものだと思ってくれている人が多いのが伝わってきました。

でも7年前と違うのはファン層自体が少し若返っていて、当時と同じ人たちが来てくれているだけじゃなく、代替わりして新しい人もちゃんと入ってきてくれている。それが嬉しかったですね。あと、もうひとつ感じたのは、ファンが当時と比べてどんどんグローバル化してきてるということです。今日もタイやマカオから来てくれたという人がいて、彼らは近いからというんですが、僕ら日本人の感覚からすると全然近くないですよ(笑)。

それでも日本に行くより近いからいいって言ってくれて。そういう海外の情報までチェックして来てくれるというのは昔にはなかったことですから、ネットが発達した影響で外国がどんどん近くなってるんだなと。7年前でもSNSはすでに流行ってましたけど、今はフェイスブックとかインスタとか他にもたくさんありますから。そこに彼らが今日、僕と撮影した写真を早速、アップして、それを見た他の人が反応して『キン肉マン』を知ってくれるというのが結構あるんです。海外は日本よりそれがもっと進んでる印象で。そういうネット社会の影響力のすごさも今回、改めて感じました。

台湾にも是非また来たいし、他の国も僕が行くことで興味を持ってくれる人がいるならこれからもどんどん行きたいですね。改めて今のWEB連載ももっと頑張ろうと思えましたし、とてもいいサイン会でした!」

台北ではなかなか手に入らない『キン肉マン』お宝グッズも飛ぶように売れる! ちなみに、3000NTD(台湾ドル)は、日本円で1万1千円ほど

実際、現地の人はどのように『キン肉マン』という作品を見ているのか。この日のためにテリーマンとジャスティスマンのイラスト入りで日本語のメッセージカードを用紙してきたという20代の女性ファンにも、台湾での『キン肉マン』事情を聞いてみた。

「キン肉マンというキャラクター自体は台湾の人なら大体、知ってると思います。でも日本のように初代の『キン肉マン』がブームになったということではなく、10年ほど前に『Ⅱ世』のアニメが放送されて人気になって、そこからこの作品に入った人が多いんじゃないでしょうか。私もそうですし、台湾ではそういう人が多いと思います。

だから、キャラクターとして人気が高いのはキン肉万太郎やケビンマスク。そこから彼らのお父さんだというキン肉マンやロビンマスクに興味を持って、初代を読むとやはり面白いのでハマるというパターンが多いですね。今では私はテリーマンが好きで、私の親友はキン肉アタルが大好きです(笑)」

『Ⅱ世』から初代に遡(さかのぼ)るパターンが多い、という流れは日本人からする意外だろうが、メディアとしてアニメが放送されていたという影響がやはり海外では大きいようだ。ちなみに『キン肉マン』の漫画が今も毎週「週プレNEWS」でWEB連載しているのをご存じかという質問をしてみたところ…。

「私はとても好きな作品だからもちろん知ってますし、日本語も勉強してなんとか読めますので『THE超人様』も一緒に毎週の更新を楽しみにしています。でも日本語が読めない人には厳しいですし、正直なところ、まだまだ台湾で浸透しているとは言い難(がた)い。知らない人が大半じゃないかと思います。

中国語に翻訳されたコミックスが今は台湾の書店では普通に手に入らないという事情も寂しいです。でも読んだら好きになる人はまだまだたくさんいると思います。この前までの完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)編は本当に面白いと私も思いました。それがコミックスで発売されたら、また状況は変わってくると思うし、私もファンとして嬉しいです!」とのこと。ここまでディープに知ってもらってるとは嬉しすぎる~。

現地でもますますのブームが巻き起こるよう、さらには来たる2019年の『キン肉マン』40周年に向けて、『キン肉マン』へのますますの応援を期待したいものです!

(取材・文/山下貴弘)

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