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リフォームの顧客がみんな株主に? フランス料理から旅行まで住人たちと寄り添う「さくら住宅」の理想

[2017年10月15日]

さくら住宅の福田常務(左)と二宮社長

横浜市の桂台地区に本社があるリフォーム会社「さくら住宅」(1997年創業・社員数50人)は、「コンロの火がつかない」といった他社なら応じない些細な依頼にも手間を惜しまず対応する。

宣伝もしない、ノルマもない、飛び込み営業もしない。二宮生憲(たかのり)社長が「質のいい仕事さえしていれば、自然と仕事はやってくる」という通り、創業2年目から19年連続黒字。桂台地区の5軒に1軒は同社がリフォームを手掛けた(前回記事参照)。

さくら住宅はいかに地域から選ばれるリフォーム会社になったのか。ひとつに、工事終了後も地域住民(顧客)を大切にする姿勢があった。

同社はこれまで4回の増資をしているが、2回目の時、福田千恵子常務が「お客様に株主になってもらってはどうでしょう」と提案した。

地元住民の顧客とは親密な関係になっていたので、「お客様株主」という制度を作り、出資してもらって会社を支えてもらうことで、同時に会社も利益を還元し、より相互依存できる関係を目指したのだ。

2017年3月末時点では、株主162人のうち顧客は63%に当たる102人に達している。

09年に柱の耐震リフォーム工事をした住民の永島ヒサエさんもそのひとり。リフォームが終わる頃に福田常務から「ぜひ会社を支えてもらえないでしょうか。今後、当社の経営方針が間違った方向にいきそうな時も株主の意見で軌道修正ができるからです。もちろん、配当はあるし、タダでフランス料理だって食べられますよ」との誘いを受け、即、2株の株主になった。

永島さんはそれも「納得のいく工事をしてくれたから」だという。

「職人さんはみんないい人ばかりでした。私、すっかり信頼したので現場監督さんに自宅の鍵だって預けました。電気工事の職人さんなんて、自分の仕事ではないのに私のパソコンを修理してくれたりして…。この関係を切りたくないなと思って株主になったんです」

実際、福田常務の言ったことは本当だ。現在、さくら住宅ではホテルの宴会場で株主総会をするが、ここで一流シェフによるフルコースのフランス料理が振る舞われる。

株主総会だから当然、決算報告は行なうが、二宮社長が今後の課題発掘のために「褒(ほ)め言葉はいらない。なんでも問題点を言ってください」と株主に発言を促しても誰も発言しない。「じゃ、当てますよ」と指名しても「社長さん、健康のため禁煙してください」といった笑い話が返ってくるだけだという。

特に今年は創業20周年で約300人が参加。株主約200人に加え、顧客、その家族、業者も招待されての楽しいものだった。語り合い、住民によるミニコンサートも披露され、おいしい料理まで食べさせてくれて、住民に言わせれば「株主総会は同窓会です」。

また、1株5万円の株は最高12%の配当を記録したこともある。加えてフランス料理――古い株主はとっくに「元は取ったよ」。

もちろん、株主以外の顧客も大切にされている。その象徴ともいえるイベントが毎年行なっている国内旅行と海外旅行だ。


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