Bリーグで見られる元NBA選手たち

昨年9月22日のリーグ開幕戦が地上波でゴールデンタイムに生中継されるなど、華々しくスタートを切った男子バスケ「Bリーグ」。あれから1年が経ち、いよいよ2年目のシーズンがスタートした。

前回記事では、プレーのレベルは上がったのか? 試合会場は盛り上がっているのか? 新リーグがつかんだ手応えと今後の課題について“レジェンド”折茂武彦(おりも・たけひこ)に聞いたが、今回はBリーグで見られる元NBA選手たちについて解説!

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日本にいながら世界最高峰のバスケットボールリーグ、NBAでのプレー経験のある選手を見られる! 実は今季のBリーグには、17人もの元NBA選手がいるのだ。

なかでも今季最も注目したいのが、横浜ビー・コルセアーズに新加入したハシーム・サビート。2009年のNBAドラフトでブレイク・グリフィン(ロサンゼルス・クリッパーズ)に次ぐ、1巡目2位でメンフィス・グリズリーズに指名された逸材だ。

この年のドラフト3位がジェームズ・ハーデン(現ヒューストン・ロケッツ)、7位がステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)というスーパースターたちなのだから、彼のポテンシャルがいかに高く評価されていたのかがわかる。昨年、本人が「俺はNBAでトップのショットブロッカーになれる」と語っているように、持ち味はブロックショット。Bリーグ最高身長221cmのサビートの“ハエたたき”は何本見られるだろうか。

シーホース三河に加入したダニエル・オルトンの経歴もすさまじい。名門ケンタッキー大のチームメイトはジョン・ウォール(ワシントン・ウィザーズ)とデマーカス・カズンズ(ニューオリンズ・ペリカンズ)という現NBAのオールスター選手たち。オルトン自身は10年のドラフト1巡目29位でオーランド・マジックに指名されている。

身長208cmのパワーフォワードながら機動力があり、ミドルレンジからのシュートも得意。三河加入後のインタビューでは「今季の目標は平均20得点、10リバウンド、5アシスト、2、3スティール、3、4ブロック」と、達成できればMVP級の数字をブチ上げている。ただのビッグマウスか有言実行の男なのか、目が離せない。

“終わった”選手たちじゃない!

Bリーグ初代得点王と年間最優秀選手賞(MVP)に輝いた、川崎ブレイブサンダースのニック・ファジーカスも元NBA選手だ。07年のドラフト2順目34位でダラス・マーベリックスに指名され、その後、クリッパーズ、デンバー・ナゲッツと渡り歩いたが、足首のケガがなければ、今もNBAに定着していただろうといわれる実力の持ち主。

210cm、111kgという恵まれた体躯(たいく)ながら、高さやパワーでなくテクニックで得点を量産。12年から日本でプレーを開始するも、いまだに対戦相手が対策を講じることができないアンストッパブルな選手だ。

ここまで3選手を紹介したが、「日本にいる時点で、みんな“終わった”選手なんじゃ…」と思った読者もいるはず。しかし、そんなことはない。昨季、三遠ネオフェニックスでプレーした元NBA選手のジョシュ・チルドレスは今季、ナゲッツと1年契約を結び、Bリーグ経由でNBAに返り咲いている。

そして、最後に忘れてはいけないのが、04年にフェニックス・サンズでプレーした日本人唯一のNBAプレイヤー、栃木ブレックスの田臥勇太だ。今月で37歳となるが、昨季チームをBリーグ初代王者に導いた司令塔。今なおリーグ有数の実力を誇るポイントガードだ。

17人の元NBA選手、どの選手も世界最高峰の舞台を経験しただけのことはある極上プレーを披露してくれるはず。観戦の際は、要チェックや!

(取材・文/水野光博)