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「EU離脱」で国が二分したイギリスと「改憲議論」が深まらない日本の総選挙

[2017年10月19日]

安倍首相は「国難」と言うが、「本当の『国益』を考えれば、今ここで選挙を行なう合理的な理由など見当たらない」と語る、「ガーディアン」特派員のマッカリー氏

いよいよ今週末に迫った総選挙。当初、“台風の目”と見られた「希望の党」は小池代表の「排除」発言を機に逆風に晒(さら)され、枝野氏の「立憲民主党」は追い風を受けている。

総選挙に吹き荒れる様々な「風」を海外メディアの記者はどう見ているのか? 「週プレ外国人記者クラブ」第95回は、イギリス「ガーディアン」紙東京特派員のジャスティン・マッカリー氏に話を聞いた──。

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─日本の政治はここ数週間で大きく揺れ動いていますが、マッカリーさんは一連の出来事をどう感じましたか?

マッカリー まず、安倍首相がこのタイミングで解散総選挙を決断したことに驚きました。もちろん北朝鮮情勢の緊張や民進党の支持率低下など、彼なりに「政治的な計算」があってのことだと思いますし、ここで選挙に勝てば衆議院の任期はあと4年間あるわけで「戦後最長の政権」実現にも道を開く可能性がある。

安倍首相は「国難」というとてもドラマチックな言葉を使っていますが、本当の「国益」を考えれば、今ここで選挙を行なう合理的な理由など見当たりませんし、新聞の世論調査を見ても、国民の6割以上が解散理由に納得していません。

─そこへ小池百合子氏の新党「希望の党」の登場が更なる激震をもたらしました。

マッカリー 個人的には、そもそも「希望の党」というネーミング…英語で言うと「Party of Hope」ですが、趣味悪いなぁと思います(笑)。それはさておき、小池氏が去年、都知事になって以来、日本のメディアだけでなくイギリスを含めた海外のメディアも彼女の存在に注目し、その言動を大きく扱ってきました。そうしたメディアの「興奮」は今夏の都議選でさらにヒートアップし、今回の国政への進出で彼女が一気に「主役」に躍り出ることに繋がったのだと思います。

小池氏自身がニュースキャスター出身で、メディアの扱い方に長(た)けているという面も大きいでしょう。彼女はメディアが喜びそうな言葉や、ニュースのヘッドラインを飾りそうなフレーズをよくわかっていて、たとえそれらの言葉に「意味がなくても」政治的には大きな効果を持つことを知っている。

そのため、解散総選挙が決まり、小池氏が立ち上げた当初の世論調査では、希望の党は非常に高い支持率を得ていた。ところがその後、民進党の「合流」を巡り、メディアの扱いに長けていたはずの彼女がリベラル派を「排除します」と発言した頃から、メディアの報道も含めて希望の党に対する「風向き」が一気に変わったように感じます。

それまでは自民党の一強体制を終わらせる、安倍政権を揺るがす可能性を秘めた新たな対抗勢力として扱われていたのに対して、一気に逆風が吹き始め、世論調査などを見ても選挙戦の途中で希望の党に対する期待は急激にしぼみ始めている。その結果、今では産経、読売だけでなく、朝日、毎日なども選挙戦での「自民党優位」を報じ、自民党が300議席を獲得するという予想もあります。

もちろん、アメリカの大統領選挙やイギリスのEU離脱を問う国民投票の結果を見ても、世論調査の結果が必ずしも正しいとは限りませんし、枝野氏が立ち上げた立憲民主党の影響もあるので不確定要素も多いのですが、いずれにせよ、当初あれだけの勢いを誇っていた「小池マシーン」がなんらかの機能不全を起こしているのは間違いないし、メディアの報じ方を見ても、すでに「そういう空気」が作られている。


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