人気のパーティーゲーム「人狼」が強くなるコツについて語る、クイズ王・古川洋平氏

ここ数年、流行の兆しを見せ、根強くマニアを増殖させているパーティーゲーム『人狼』。わざわざカラオケルームを貸し切って、SNSで繋がりがある者同士がオフ会のように集まって開催するなど、ハマっている人は周囲にも少なくないはず。

知らないよ!という方にも簡単に説明すると、嘘をつく「人狼(陣営)」と、嘘つきを探す「村人(陣営)」のふたつにグループが分けられ、ゲームは昼と夜のターンで進行。

昼にはプレイヤー全員で「誰が人狼だと思う?」「あの時の発言は人狼のように見える」などと、会話を通して人狼と疑わしき人を探し出し、多数決でひとりを処刑(「追放」という言い方もする)、夜には人狼がこっそりと村人をひとり殺し、ゲームを進めていく。そのターンを繰り返す中で人数が減っていき、最終的に村人は人狼を滅ぼせば勝ち、人狼は生き残れば勝つというもの――。

「人狼」というワードは聞いたことあるけど、ゲームへのハードルがなんとなく高かったり、参加したことはあるけど、なかなか強くなれなくて離脱したり…という人も? そこで、今さらながら秋のアミューズメントにオススメすべく、数々の人狼特集でメディアにも登場している、クイズ王・古川洋平さんに「人狼」が強くなるコツを聞いてみた!

* * *

―ズバリ、人狼ゲームのコツってなんですか?

古川 人狼は「嘘つきゲーム」「騙(だま)し合いのゲーム」だとよく言われますが、実は「推理をする」「騙す」という両方ができる人が強いんです!

―えっ、ただ嘘をつくのが上手なだけではダメなんですか!?

古川 そうなんです。人狼は引いたカード(役職)によって役割が違うので、「騙す力」だけがあっても「人狼に強い」とはなかなか言えないんです。他にも、強くなるにはいろんな力が必要になります。

―なんだか複雑そう…! では、具体的に古川さんが考える、人狼が強い人に必要な力って?

古川 まず第一に、“推理力”がある人。意外かと思われるかもしれませんが、実は、人狼は“嘘つき力”よりも“推理力”のほうが大事なんです。例えば、私が最もバランスが良いと感じる人数である13人で人狼ゲームをする場合は、基本的に嘘をつくべき人狼陣営が4人(人狼が3名、人狼の仲間だが人間の“狂人”が1名)、推理する村人陣営が9人になるように役職の配分をします。役職の配分は村人陣営・人狼陣営のパワーバランスがちょうどよくなるようにするのが大切ですね。

つまり、2/3以上の人間が推理をするゲームなので、推理が上手な人のほうが活躍する機会が多いんです。

―では、第2に必要な力は?

古川 先ほどもお伝えした“嘘つき力”です。人狼・狂人という嘘つき陣営になった時に発揮する力ですね。村人のフリをすることで村人陣営を信用させ、疑われないようにしなければいけません。そうすることで人狼がゲームを誘導したり、生き延びて勝利に繋げたりするんです。

続いて、3番目に必要な力は“説得力”。どんなに上手く推理をして、どんなに上手く嘘がつけたとしても、みんながそれに納得をしてくれないと負けちゃうんです。説得力というのは、自分がなんでこういう推理をしたのか、ということを人に伝える力ですね。

デキるホストやキャバ嬢に通じるものが?

―“説得力”があることで、どういう時に強さを発揮できるんですか…?

古川 ゲームの中心となる昼の議論の時間に「この人はなんとなく人狼のような気がするから処刑(=村から追放)しよう」と語るとします。でも、説得力がないと誰もその意見に賛成してくれない。でも、「この人はこういう発言があって、それが矛盾してるから人狼に違いない」というような、説得力のある話ができると、自分の意見が通りやすくなります。

最後、4つ目に必要なのは“記憶力”。今までの13人全員の言動を覚えて、「発言や行動に矛盾はないか?」という記憶を引っ張り出せないと、なかなか強くなれないですね。

―“推理力”、“嘘つき力”、“説得力”、“記憶力”…うーん、なんだか人狼ゲームって難しそう。

古川 そうなんですよ。この他にもいろいろと必要な力はあるのですが、主な4つはこの力です。

―では、「こういう仕事をしている人が人狼ゲームに強い」みたいなものってありますか?

古川 “嘘つき力”であれば、演技が得意な俳優さん・女優さんでしょうか。また“推理力”は正解を探し求めたり、相手を追い詰めたりするのが得意な人が持っている力なので、クイズ王の私はここに分類されると思います。あとは弁護士の方なんかもそうですね。

“説得力”については、タレントさんやお笑い芸人さんのような人前に立つ仕事をしている人が長(た)けていますね。もっと広くいうと、信頼を勝ち得るとか、相手の心を掴むことが仕事の人ともいえますね。“記憶力”だと将棋棋士の方や雀士の方が強い印象があります。

―一般の学生や会社員でいうと、どんな感じのタイプになりますかね?

古川 例えば、学校で何かの委員長をしたりだとか、会社で後輩にしっかり仕事を教えていたり、そういったリーダー気質の人は向いているかもしれないです。

―ちょっと身近な気がしてきました(笑)。人狼で強い人は話すのが上手で、相手の心を動かす能力が高いという意味でいうと、“モテる人”が強いんじゃないかな…と。どうですか?

古川 なるほど。確かに人狼ゲームでは「この人は殺したくないな」と思われていれば嘘つきでも生き残れるし、「この人のことを信じたい」「この人になら身を任せてもいい」と思わせられれば、その人が勝てるんです。だから、人に好かれているというのはすごく大事な要素ですね。

人に好かれるというのは、ゲームの中でどれだけの人を魅了できるかということ。だから、モテるというのは、実は“人狼の強さ”を表している言葉かもしれないですね。想像にはなりますが、気遣いができて、人の心を魅了するホストやキャバ嬢の仕事をしている人の中で、さらに論理的な思考が得意な人がいたら、なかなか強いかもしれないです。

◆後編⇒マニアを増殖させる『人狼』の魅力ーー他のゲームとは違う“出会いの場”になる理由とは

(撮影・取材・文/内田静穂[short cut])

古川洋平(ふるかわ・ようへい)1983年9月13日生まれ。宮城県出身。クイズ作家。高校時代に『パネルクイズ アタック25』『タイムショック21』で優勝。大学時代には学生No1決定戦『abc』で3連覇を達成した。現在はバラエティ番組などへの問題提供のほか、イベント企画者・司会者としても活躍。クイズ制作専門会社カプリティオ代表も務める

アルティメット人狼ニコニコ生放送で多くの視聴者を集める人気イベント「アルティメット人狼」。人狼ゲームにハマっている各分野のスペシャリストが真剣勝負する人狼ゲームの最高峰。公式ツイッター【@ultimate_jinro】