ショー人狼の代表格である『アルティメット人狼』の様子

ここ数年、流行の兆しを見せ、根強くマニアを増殖させているパーティーゲーム『人狼』。わざわざカラオケルームを貸し切って、SNSで繋がりがある者同士がオフ会のように集まって開催するなど、ハマっている人は周囲にも少なくないはず。

知らないよ!という方にも簡単に説明すると、嘘をつく「人狼(陣営)」と、嘘つきを探す「村人(陣営)」のふたつにグループが分けられ、ゲームは昼と夜のターンで進行。

昼にはプレイヤー全員で「誰が人狼だと思う?」「あの時の発言は人狼のように見える」などと、会話を通して人狼と疑わしい人を探し出し、多数決でひとりを処刑(「追放」という言い方もする)、夜には人狼がこっそりと村人をひとり殺し、ゲームを進めていく。そのターンを繰り返す中で人数が減っていき、最終的に村人は人狼を滅ぼせば勝ち、人狼は生き残れば勝つというもの――。

「人狼」というワードは聞いたことあるけど、ゲームへのハードルがなんとなく高かったり、参加したことはあるけど、なかなか強くなれなくて離脱したり…という人も? そこで、今さらながら秋のアミューズメントにオススメすべく、数々の人狼特集でメディアにも登場している、クイズ王・古川洋平さんに「人狼」が強くなるコツを前編記事に続き、聞いてみた!

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―気遣いができて、人の心を魅了する“モテ要素”が強みを発揮するとは、なんか意外な気も! でも、ホストやキャバ嬢の人みたいに見た目が派手だと信頼性に欠けて、ゲームには不利かなと考えてしまったりも…。

古川 発言と挙動がほぼ100%を占めるゲームになっているので、意外とゲームが始まると見た目とか肩書、仕事で偉いとかいうのは一切なくなります。どんなに美人でも、どんな偉い社長でも怪しかったら怪しく見えてしまうものなんですよね。

―へえー! ゲームに参加している人は最初に簡単な自己紹介もするようですが。平等なフィールドで戦えるのは、なんだかいいなって思いました。

古川 そうなんです。だから、自分が単なる学生であっても会社員であっても、有名人と戦った場合には同じ舞台に立ててしまうんです。そういう意味ですごく夢のあるゲームだと思いますね。

実際、本当にそういった場面に遭遇することもあるんですよ。先日、僕の一般人の友人と、ゴールデンボンバーの歌広場淳さんと一緒に人狼をしたんですけど、皆、歌広場さんを躊躇(ちゅうちょ)なく殺してました(笑)。普段だったら、芸能人の方に対して「あの人は嘘つきだ」とか、悪いことなんて絶対言えないんですが、人狼ゲームの場だとできてしまうんです。そういう有名人の彼らも、手加減されるのを嫌ったりするので、肩書とか一切関係なくゲームを楽しめるというのは面白いですよね。

―すごい! 本当にそんなことあるんだ…! ところで、一般の人が古川さんのように人狼の世界で有名になったりもするものですか?

古川 実は現在、観客に見てもらうショー的な人狼はありますけど、基本的にいわゆる芸能人や文化人が中心なので、一般人が参加して競い合う大会というのはないんですね。Skypeで人狼をする“Skype人狼”という遊びがあるようで、そこで有名になった一般の人の中で、人狼の番組に出演してるというのは何回か見たことがありますね。

―では、有名になる機会も…?!

古川 ただ、そういう放送に出るというのは人狼の「ショー」の部分が色濃くあるので、ただ勝てばすごいというのとも少し違ってくるんです。人狼が上手なことはもちろんですが、「視聴者の疑問を解決してあげること」「視聴者も思いつかなかったようなことを引っ張り出して推理を進めていくこと」も大事になるんですよ。

「あの人、おかしいんじゃないかな?」と視聴者が思っていることをちゃんと代弁してその場で議題に出すと視聴者はすっきりできる。「さっきの◯◯ちゃん、おかしくない? だって、こういう風に言ってたのにこういうことをしているから矛盾してる! だから人狼じゃない? こっちが本物じゃない?」というのをお客さんが見ると、古畑任三郎とか刑事コロンボを観てるような気持ちよさがあるんですよね。

「そこに気づくか!」とか「それが伏線だったのか!」みたいなことが人狼ゲームではリアルで起きちゃうっていうのが面白さなんです。それができれば人狼系のイベントに出るプレイヤーに近づけると思いますよ。

「人狼」は肩書とか一切関係なく楽しめると語る古川氏

なぜ他のゲームよりも交流が深まるのか

―確かに自分が気づいたことをちゃんとゲームでやってくれると「そうそう!」ってすごくアツくなりそう! ただ、未経験者の方がこれで「人狼したいな」と思っても、13人友達を呼ぶのって難しいと思うんですけど…。

古川 入口としては2パターン考えられます。ひとつは「インターネット上にある人狼に参加する」方法。先ほどの“Skype人狼”もそうですし、後は人狼のアプリを使って、ネット上でチャット人狼ができるものもあります。

もうひとつは『人狼ルーム』『人狼HOUSE』のような、企業が主催をする対面人狼の場所に行くというのも手ですね。ひとりで参加できますし、いろんな方がいる場所なので、初心者に優しい会を狙っていくのがベストだと思います。

―そうやって力をつけつつ、いつか一般から人狼で名を上げる人も出てくるかも…! 最後に、古川さんが人狼をやられていて、よかったことってありますか?

古川 まずは“人狼”という面白いゲームに出会えたことですね。

―出会えたこと自体がよかっただなんて! まさかのロマンチックな回答(笑)。

古川 僕はクイズが今まで最大の趣味だったんですけど、それと並ぶくらい今は人狼が大好きで、とにかく面白いです。趣味がひとつ増えたなと思いますし、周りの人にもやってもらいたいなって。

あとは説得力がついたことでしょうか。MCや講演会などの仕事もしているので、人の心に何を言ったら響くかというのは、非常に大事なことだと考えています。人狼は人の心を掴むゲームなので、どうしたら相手の心を掴めるかということを日々考えるようになったことは、本業にも生きていると思いますね。

―おお、いいこと尽くしですね!

古川 その他にも、様々な人に出会えました。いろいろな業種の人に会えたし、頭を使うのが好きな人が集まるので、クイズの仕事とすごく相性がいい人もたくさんいるんです。人狼ゲームを通して知り合った方と一緒に仕事をすることも多いんですよ。

そんな風に、自分の趣味に近い仲間ができると思います。僕が主催した人狼会で、初めましてだった人が今ではLINEグループを作って友達になって、一緒にご飯食べに行くとか、そういうことが結構あるんです。人狼は腹を割って話し合ったりするゲームなので、他のゲームよりも心が接近するのが早いのかもしれないですね。

―なるほど。活躍して名を上げるもよし、友達作りや合コン・婚活にも役立ってしまうかも? 「推理力」「嘘つき力」「説得力」「記憶力」を磨いて、人狼ライフを楽しむ人が増えてほしいものですね!

(撮影・取材・文/内田静穂[short cut])

古川洋平(ふるかわ・ようへい)1983年9月13日生まれ。宮城県出身。クイズ作家。高校時代に『パネルクイズ アタック25』『タイムショック21』で優勝。大学時代には学生No1決定戦『abc』で3連覇を達成した。現在はバラエティ番組などへの問題提供のほか、イベント企画者・司会者としても活躍。クイズ制作専門会社カプリティオ代表も務める

アルティメット人狼ニコニコ生放送で多くの視聴者を集める人気イベント「アルティメット人狼」。人狼ゲームにハマっている各分野のスペシャリストが真剣勝負する人狼ゲームの最高峰。公式ツイッター【@ultimate_jinro】