結果的には「ナイス解散」。少なくとも自民党内では、再び権力基盤を固めることに成功した安倍首相

「今回の総選挙の最大の特徴は何かといえば、それは安倍晋三という“平成の怪物(モンスター)”をつくり上げたことでしょう。祖父・岸信介は“昭和の妖怪”と言われましたが、来秋の自民党総裁選での3選をほぼ確実にし、2020年の東京五輪まで首相の座に就き続けるであろう安倍首相は“怪物”の域に達した。立憲民主党が躍進したといっても、国会勢力からいえばなんの影響もありません」

ジャーナリストの藤本順一氏はこう総括する。

衆院解散の決定から投票日まで、すべてが安倍政権の思い通りに進んだわけではない。

山尾志桜里(しおり)氏の不倫スキャンダルで民進党がガタガタになり、今なら勝てるとばかり解散に打って出たものの、小池百合子東京都知事の電撃的な希望の党代表就任、そして前原誠司民進党代表のまさかの“希望合流宣言”で状況は一変。一時は「自公合わせても過半数割れか」との悲鳴も聞こえたほどだ。

しかし、民進から合流を望んでいたリベラル系議員たちを小池知事が笑顔で「排除いたします」と表明したことで希望は一気に失速し、再び流れは変わった。まるでジェットコースターのような選挙戦を、ライバルの自滅という“棚ボタ”で制した安倍政権は、史上最強の「超豪運政権」と呼ぶべきかもしれない。

◆この豪運政権が今後、何を仕掛けるのか? 100億円をめぐる元・民進の仁義なき再編の行方は? 『週刊プレイボーイ』45号(10月23日発売)「『脱力選挙』の後始末」にてお読みください!

(取材・文/本誌ニュース班 写真/時事通信社)