「日本一のモグラ駅」である土合駅にて! 廃墟感があってカッコいいです

『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。

人気モデルの市川紗椰さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。

今回は鉄道オタクである彼女が、最近引退したJR車両と北関東の鉄道の見どころについて語ってくれた。

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10月3日、あの103系電車がJR大阪環状線から引退しました。103系は、国鉄時代を代表する車両で、30代後半以上の方には東京の山手線を走っていた記憶もあるんじゃないでしょうか。しかし新型車両との置き換えが進み、JRでは、大阪環状線で2編成のみ稼働している状況でしたが、ついに廃止となりました。

実はその少し前の9月、もうひとつの歴史ある車両が引退しました。107系電車です。こちらは、JR東日本が誕生してから初めて自社で製造した、記念すべき車両。主に北関東の路線で活躍していました。107系は、元々は165系電車を改造したものです。

165系は、勾配のきつい土地や寒冷地向けに造られた車両で、そのモーターや台車などの主要機器を再利用しながら、ほとんど車体の“ガワ”だけ新しくしたのが107系でした。モーター音のうるささや、屋根の上のクーラーに、165系の名残がうかがえます。自社製造車両といっても、すでにあるものを再利用してコストを抑えに抑えたところに、民営化された当時のJRの台所事情がうかがえますね。

ちなみにこの107系の引退が発表された際、多くのニュース記事に「サンドイッチ列車と親しまれ…」という文言が書かれていました。白をベースにした車体に、緑とピンク色の帯が入っているカラーリングを、パン、レタス、ハムの食材に見立てたんでしょうけど…。

私、一度も「サンドイッチ列車」なる言葉を聞いたことがありません(苦笑)。サンドイッチにしては、パンの部分が多すぎとも思いますね。なんだか、JRが出したリリースを各紙がコピペしたにおいがプンプンします。ただ、鉄道ファンが知らないだけで、地元の人はそう呼んでたのかもしれないので、一度、現地調査してみたいところですね。

高崎駅の名物、湘南色天国!

さて、107系は引退してしまいましたが、北関東の鉄道の見どころはまだまだあります。まずはなんといっても、北関東最大の駅・高崎駅の名物、湘南色天国! …え、湘南色って何かって? これは、かつて東海道本線を走っていた80系から誕生した車体カラーで、オレンジ色と緑色の大胆な配色は国鉄を代表するカラーリングでした。

今でも、湘南新宿ラインの車両にこのオレンジと緑のラインが入っていますね。今、全国的に湘南色は少なくなってしまったんですが、高崎に行くとなぜか湘南色カラーの電車が大量に見られるんです! 私が好きな車両の上位、115系をはじめ、211系やE233系などの湘南色車両が並んでいる様子には興奮を隠しきれません。

また、高崎まで行ったら、そこから上越線で土合(どあい)駅に足を延ばすのもオススメ。ここは「日本一のモグラ駅」といわれていて、下りホームに降り立ってからなんと462段もの階段を上らされます(苦笑)。

しかも、そこで終わりかと思いきや、100m以上の連絡通路を歩いた先にさらに24段の階段があり、その先に改札口があるという構造…。この駅は、谷川岳に登山する際にも使われるんですが、登山客はみんな駅を出るまでにすっかり疲れてしまうといわれています(笑)。ただし、地下だけあって夏はひんやり涼しいので、暑い時季にぜひチャレンジしてください!

●市川紗椰(いちかわ・さや)1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、毎週土曜21時からオンエアのJ-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』でナビゲーターを務める。最も好きな国鉄カラーは、国鉄特急色