ロシアW杯予選でチリの敗退が残念だと語るセルジオ越後氏

ロシアW杯予選が大詰めを迎えている。続々と出場国が名乗りを上げ、いよいよアフリカ予選最終節、欧州予選プレーオフ、そして大陸間プレーオフを残すのみ。各地区で激しい戦いが繰り広げられるなか、すでに強豪国のいくつかが姿を消した。

前回ブラジル大会3位のオランダ、昨年の欧州選手権ベスト4のウェールズ、今年6月のコンフェデ杯に南米王者として出場したチリ、7大会連続W杯出場中だった北中米のアメリカといった国々の敗退には驚いたね。

また、欧州予選のプレーオフに回ったスイスも気の毒。予選開幕から9連勝して、最終節に1敗しただけなのに、まだロシア行きが決まらないのだから。地区によってこんなに予選の難しさが違うのかと、あらためて痛感させられた。

個人的には、チリの敗退が残念。中盤のビダル、前線のサンチェスら数多くのスター選手を擁し、2007年のU-20W杯(カナダ)で3位になるなど早くから注目を集めてきた“黄金世代”にとって、ロシアW杯はおそらく最後の大舞台。本大会に進んでいれば、ベスト8を狙える力があったと思うだけに、彼らのプレーを見られないのは寂しい限りだ。

今回のW杯予選で、チリは初戦でブラジルを2-0で破る好スタートを切った。15年、16年と南米選手権を連覇するなど当初は勢いがあったんだけど、長丁場の予選を戦うなかで、徐々に息切れしてしまった。

一方、チリとは対照的にブラジルはドゥンガからチッチに監督を交代してチームを立て直すと、早々と予選首位通過。そして最終節で、チリを3-0で破って引導を渡した。なんとも皮肉な結末だね。

そのチリを最終節でかわしてロシア行きを決めたのはアルゼンチン。アウェーのエクアドル戦、土壇場でハットトリックを決めたメッシはさすがとしか言いようがない。W杯の盛り上がりという意味では、突破を決めてくれてよかった。

やはりアジア予選はラクすぎる

選手の顔ぶれを見れば、アルゼンチンがここまで苦戦したことを意外に思う人もいるかもしれない。でも、アルゼンチンは過去のW杯予選でも苦戦して、大陸間プレーオフを経験したことがあるし、南米予選はそれだけ厳しいということ。

何しろ、全10ヵ国がホーム&アウェー方式で総当たり、2年以上もかかる長丁場だ。「今回は組み合わせに恵まれた」ということもない。また、国によっては空気の薄い高地で試合が開催されるなどアウェーの洗礼も強烈。だから、勢いだけではなかなか勝ち抜けないし、選手層の厚さが求められる。

今、世界のサッカーは人もお金も欧州を中心に回っている。それでも南米各国がW杯の舞台で欧州勢になんとか対抗できているのは、厳しい予選でもまれていることが、理由のひとつに挙げられるんじゃないかな。

それに比べると、やはりアジア予選はラクすぎる。もちろん、予選終盤にはそれなりにしびれる試合もあったわけだけど、ほかの地区の人たちに不公平だと思われても仕方ない。前回ブラジルW杯では、アジア勢4チームが出場して1勝も挙げられなかった。今年12月の組分け抽選の結果がどうなるかにもよるけど、ロシアW杯でも再びそうなってしまうのかなといういやな予感がするね。

(構成/渡辺達也)