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タイ・バンコクの“ゴーゴーボーイ”にハマる日本人女性――なぜ彼女たちは日本を捨てたのか

[2017年11月04日]

「恋愛するのが面倒くさくなった。男は金で解決!」という藤原は、化粧っ気がほとんどなく、さばさばした印象だ

物価は手頃で、人は優しく、気候もいい。そんなタイ・バンコクの巨大歓楽街で、風俗店にどっぷりハマる男たちの話は別に珍しくもないだろう。

ただ、それが「女」となったらどうだろうか? “表の世界”ではあまり語られることのない、「日本を捨てた女たち」のリアルな姿を追った。

* * *

最後の最後、ラストスパートで目で訴えてくるボーイズを見ながら、もういいやー、疲れたしー、ブリーフ見あきたしー、と思ってたところ、なんだか熱い視線を感じるじゃありませんか。

いよいよ、恋に落ちる時が…。彼はどうやらショーに出てた人。正面の客席に座りながら、ウインクやら流し目やら、すんごい攻撃。だから私、押しに弱いんだって。

しかも他のボーイズがブリーフ1枚の中、TシャツGパンの彼は輝いて見えるのです。で、彼を呼んで少し話したのち、私と彼だけ店を後に…。

* * *

タイの首都バンコクの夜に煌々(こうこう)と灯るネオン街は、今日も日本人女性を次々と狂わせている。そこはソイ・トゥワイライトと呼ばれる通りで、筋肉むき出しの若い男娼たちがステージで腰をくねらせる連れ出しバー「ゴーゴーボーイ」が軒を連ねる。

東南アジア最大といわれる歓楽街・パッポン通りから徒歩数分の場所にあり、店へのチャージを含めた連れ出し料金は3時間2500バーツ(約8500円)。日本でホストに入れ込み、貢いでも容易にモノにできない実情に鑑(かんが)みれば、1万円以内でタイプの男を好き放題にできるバンコクは、まさしく「魔の都」だ。

冒頭の臨場感溢れる手記は、私が3年ほど前にラオスで出会った日本人女性、藤原奈津実(仮名、35歳)のブログから抜粋した。ゴーゴーボーイを初めて連れ出したときの感想を綴(つづ)ったもので、私の取材に彼女はこう振り返った。

「目の前でウインクをされたときに、この人を持って帰ろうと思いました」

性欲むき出しの発言に、思わず噴き出してしまった。ところが彼女は、そんな私を気にするでもなく続けた。

「男前というよりは野蛮な感じで、新鮮だったんです。日本人には見かけない顔立ちです。浅黒くて、細いけどたくましい。それだけで魅力的に見えたんですよ。私は純粋にカッコいいと思いました」

この胸のときめきがきっかけとなって藤原のゴーゴー通いが始まり、日本人の夫と離婚までしてしまう。

「将来のことを考えたら、やっぱりサラリーマンの妻としてのほうが安泰だし、別れることはないって思っていたんですが。タイ人と出会ってからは、愛のない生活を送っていたら人生が無駄になってしまうんではないかと」

日本で抑圧された何かが、南国に出た途端にはじけてしまったのだろうか。藤原はバンコクへ移住し、日系企業のコールセンターで働くことになる。そこは日本語さえできれば原則、誰でも働けるような職場で、日本社会からこぼれ落ちたような、アラサー以上の大人たちが集まっていた。

このコールセンターについては新刊『だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人』で詳しく書いたが、その取材の中で私は、藤原のように男を買う日本人女性がいることを知った。以来、ゴーゴーボーイの取材にのめり込んだ。

店内の更衣室。浅黒い肌のゴーゴーボーイたちが白いブリーフ一丁でステージに立つ準備をしていた

店内の更衣室。浅黒い肌のゴーゴーボーイたちが白いブリーフ一丁でステージに立つ準備をしていた


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