ガールズバンドの常識を覆す型破りなオンナバンド・CHAI

これまでのガールズバンドの常識を覆す型破りな「NEO-ニュー・エキサイティング・オンナバンド」=CHAI(チャイ)。彼女たちは、双子のマナ(Vo&Key)&カナ(Vo&G)をフロントに、骨太なリズムを刻むユウキ(B&Cho)&ユナ(Dr&Cho)からなる4人組オンナバンドだ。

一度観たら忘れられない強烈なビジュアルとライブパフォーマンスを武器に、今年の夏には毎年アメリカで開催される大規模フェスSXSW(海外フェス)にも出演。さらに初の全米8都市ツアーを行なうなど、国内外で精力的に活動している。

そんな彼女たちが、待望の1stアルバム『PINK』(OTEMOYAN record)をリリース。ポップでキャッチーなのに骨太なCHAIサウンドは、耳早い音楽ファンの間で早速、話題となっている。

そこで、楽曲・ビジュアル・ライブ、様々な側面から今後さらに注目されていくであろうCHAIに直撃! 「結成の経緯」や「音楽の話」はもちろん、バンドの大きな推進力のひとつとなっている「コンプレックス」についてまで話を聞いた!

―まず、バンド結成の経緯から教えてください

マナ 結成の経緯は元々、友達だったからなの。マナ、カナ、ユナの3人は学生の頃からバンドを組んで遊んでて。ユウキはその頃、白くてかわいかったから私がナンパしたの。ベース以外の楽器はもう担当が決まっていたから、で、ユウキはベースになっちゃった。

ユウキ 私、ベースやったことなかったんだけど、マナに誘われて一緒にバンドやれるなら、なんでもよくて。「ああ、いいよっ」て感じで初めてベースを手に取ったの。重かったなぁ(笑)。

―そもそも、皆さんが音楽に目覚めたきっかけは?

マナ マナカナは幼稚園くらいの時から、モー娘。とか、あやや(松浦亜弥)とかアイドルが好きで、家で踊ったり歌ったりしていて。小さい頃から歌手になるのが夢だったの。

ユナ 私は中学校の頃、最初に買ったアルバムがORANGE RANGEで、その当時のドラムだったKATCHANがスゴい好きで。8割くらいビジュアルだけど(笑)。そこからドラムにはやりたいなぁってずっと思ってて。でも、始めたのはマナカナと知り合って、遊び始めてから。

ユウキ 元々、音楽を聴くのがすごい好きだったの。それで、昔からベースってカッコいいなとは思ってんだけど、まさか自分がやることになるとは思ってなかった(笑)。

―そんな4人が集まってバンドが結成されたわけですね。やっぱり最初はカバーから入ったりしたんですか?

マナ 最初からテキトーに曲を作ったりして遊んでた。だから、カバーしたことってほとんどなくて。ネタとしてライブで演奏する時ぐらいかな。

カナ 初めからオリジナルの曲を作ってたよね。

CHAIのメンバー4人。左上から時計回りにカナ、マナ、ユウキ、ユナ

ライブは、五感を全て使うエンタテインメントにしたい

―最初からオリジナルを作ってたんですか? すごい! 曲を作る時は、誰が最初にアイデアを持ってくるんですか?

マナ 私が作る。メロディーを私が鼻歌で作って、カナがコードをあてはめていく感じ。歌詞はみんな書いたりするけど、ユウキが多いかな。とりあえず、一番、歌詞の言葉が難しいのはユウキ(笑)。難しい言葉を知ってるのはユウキしかいないから。

ユウキ 難しいんじゃないよ、みんなが本読まないだけでしょ(笑)。

―曲の着想はどういうところから得るんでしょう?

マナ 街で流れてる曲とかを聴いて、好きだった曲を自分の中にインプットするの。それで、最初は真似しようと思って作り始めるんだけど、アウトプットした時には全然違う曲になってるんだよね。自然とCHAIの曲になってる。

―自分たちのフィルターを通して、オリジナルになるってことですね。今回のニューアルバムで初めて聴く人に「この曲を聴いて!」というのはあります?

マナ 『ほれちゃった』かな! 一見、恋愛の歌に聞こえるだろうけど、実は餃子へのあまりにも深い愛を歌った曲なの。あとは、『フラットガール』。いい意味でこれまでのCHAIっぽくないメロディー重視の曲だから、今までのファンはびっくりすると思うけど。

ユナ&ユウキ 『フラットガール』好きだなぁ~。

カナ わかる、いいよね。『ウォーキング・スター』も好き。

―(笑)この前、初めて観させていただいたライブもかなり強烈でした。音楽がカッコいいのはもちろんなんですが、ぶっ飛んだダンスっぽい振り付けがあったり、ステージ演出もすごいこだわられていますよね。みんなで考えているんですか?

ユウキ そう。ショーとして、ひとつのエンタテインメントにしたいと思ってる。音楽でカッコいいところを見せつつ、面白いこともしたいなって。お客さんも参加型じゃないけど、ライブ観て笑えたら、参加した気になるじゃない? CDと違って、五感を全て使うみたいな。

カナ 見た目でも、ハッとさせたいしね。観ても聴いても面白いっていうのがいいよね。

―ライブといえば、今年はアメリカツアーも経験されましたよね。

マナ スゴい転機だった。今回のアルバムはアメリカに行ったからできたっていうくらい衝撃的だった。

―アメリカと日本のお客さんは違いますか?

一同 全然違う!

ピンクのイメージを変えたいの

マナ お客さんのライブの見方が違う。日本語で歌ってたから歌詞の意味は解らないだろうけど、その場の雰囲気を捉えて体で表現するのが早いしうまいよね、アメリカ人は。

カナ 私たちなんて知らないバンドなのに、最前列の人たちは「イエーィ」ってなってるし。他の人たちもめちゃくちゃ踊ってくれてた。日本だと腕組んで「どうかな~」みたいに観る人も多かったりするんだけど、そういうのも全然なくて。

ユウキ 視野が拡がって「日本ちっちゃいな」って思った。今度は違う国にも早く行ってみたい。

―本格的に世界進出ですね! そういえば、CHAIのキャッチコピーで「世界3位になる」っていうのがありますよね。なんで3位…?

マナ あれはね、「永遠の3位」なの。1位は流行り廃りあって入れ替わりの激しいイメージなんだけど、逆に「3位」に常にいることがすごい大事かなって。私たち永遠に売れたいの。

ユナ 自分たちで自分たちの曲を超えていって、ずっといいものを出し続けていきたいから。

―そんな意味が隠されてたんですね。ところで、ヴィジュアルイメージも独特ですよね。いつもピンクの衣装だし、アルバムタイトルも「PINK」。ピンクに対するこだわりが?

マナ めっちゃこだわってる! ピンクのイメージを変えたいの。なんかピンクって「ガーリー」とか「かわいらしい」とか、女のコ過ぎてちょっと着にくいみたいなイメージがあると思うけど、本当はもっと力強い色だなって私たちはずっと思っていて。だから、あえてちょっと似合わないくらいのピンクを着たほうがイメージが変わるかなって。それで、いつも着てるの。

―なるほど。では「NEOかわいい」を提唱していますけど、具体的にはどういうことなんでしょうか?

ユウキ 今の「かわいい」は範囲狭いじゃん? 「脚が細くなきゃ」「目が大きくなきゃ」「スタイル良くなきゃ」ってすごい範囲が狭くて。そうすると「かわいい」と「それ以外」ができちゃう。なので「それ以外」も含めて、全部が「かわいいんだよ」って言いたいの。

それを「NEOかわいい」と定義したい。誰でも最初からいいところ絶対持ってるし、コンプレックスが一番の個性。みんなお人形さんみたいな完璧を求め過ぎてる気がするから、それを変えたい。なんか変えたいことばっかりなんだけど(笑)。

―コンプレックスが武器になる、長所になる。皆さんもコンプレックスをお持ちで?

一同 めっちゃある!!

マナ でも、それぞれコンプレックスがあるってことを解(わか)ってる4人が集まってるからこそ、そこを前面に出しているほうがかわいいし、むしろ売りになると思ったの。いつもメンバー同士でお互いを褒(ほ)め合ってるしね(笑)。

CHAIランドを作りたい!

―じゃあ、その褒め合ってる感じを再現してもらってもいいですか?マナ うーんと、ユナはね、鼻が大きいんだけど、リンゴ・スターみたいでかわいい!

ユナ そう、私「顔がうるさい」の。化粧濃くするとフィリピンパブに勤めてそうな(笑)。

マナ だけど、それがスゴくかわいいと思う。

ユナ カナはね、お腹がスゴいかわいいの。おへそとかめっちゃかわいいよ。かわいいお腹をね、どんどん見せていってほしいの…って、誰目線なんだろうね、私(笑)。

カナ お腹かわいいなんて言われたことないな(苦笑)。

―では、ユウキさんは?

カナ ユウキはね、4人の中で一番痩せててスリムなの。でも、めちゃめちゃ細いのイヤがってるんだけど、モデルみたいで魅力的。あと、マイワールドがあるよね。センスがスゴいし、絵もめっちゃ上手だし。メンバーの中で一番アーティスティックかな。

―それではラスト、マナさんを盛大に褒めてください!

ユウキ マナは眉毛がいいよ! 眉毛にこだわりある女だから、より太くなってきてる(笑)。超かわいいよ!

マナ イェイ! 眉毛、こだわってるの。濃くしてまーす。

―そうやってポジティブに考えることが大事なんですね! では最後に、これからの目標を教えて下さい。

マナ スゴい先の話だけど、いつかお菓子の家でライブをやってみたい! ロシアの寒い地方でチョコレートの家を作って、その中でライブしてお客さんが壁をもぎ取って食べるようなお菓子食べ放題ライブとか。

ユウキ あと、CHAIランド! 鼻からジェットコースターがビューンていう乗り物とか作ったりして。この話題が今メンバーの間で一番盛り上がってるよ。

―思っていたよりも壮大すぎでした!(笑) 是非いつかCHAIランドがディズニーの隣とかにできるのを期待してます!

(取材・文/澤里 明[PonyTail] 撮影/信岡麻美)

■CHAI2013年、双子のマナとカナ、そしてユウキとユナの4人により名古屋で結成、15年より本格的に活動開始。同年8月には1stEP『ほったらかシリーズ』をリリース、音楽ファンの間で話題となる。今年の「FUJI ROCK FESTIVAL 2017」“ROOKIE A GO-GO”に出演、入場規制がかかるほどの観客を集め注目度の高さを証明した。○待望の1st Album「PINK」(SME)絶賛発売中! 発売記念『やっぱり育ちたいトゥアー』が11月8日スタート。最新情報はオフィシャルサイト、Twitter【@2525_chai】をチェック!