相手は誰が見ても格上だし、間違っても対等に戦おうとしてはいけないと語るセルジオ越後氏

代表チームに負けていい試合なんてひとつもない。僕はいつもそう言っているけど、この2試合に関しては、ボロボロに負けてもいいと思う。

日本代表が4年ぶりとなる欧州遠征を迎える。対戦相手はブラジル(10日)とベルギー(14日)。共にロシアW杯では第1ポッドに入ることが予想される強豪国だ。こんな貴重な機会はW杯本番までもうない。だからこそ、W杯のシミュレーションとして、2試合ともハリルホジッチ監督が考える今のベストメンバーで戦うべき。新しい選手やシステムを試す必要はない。

本番を想定する以上、結果も求めたいところ。1勝できれば上出来、反対に2連敗ならグループリーグ敗退。そういう視点で見れば、わかりやすいよね。相手は誰が見ても格上だし、間違っても対等に戦おうとしてはいけない。粘り強く守って、カウンターから何回チャンスを作れるか。勝ち点を奪うための現実的な戦い方をすべきだ。

ただ、矛盾することを言うようだけど、僕は2連敗、それも2試合とも大敗でもいいと思っている。アジア予選は危なげなく突破できたけど、世界は甘くないということを肌で感じられれば、それはそれで収穫。そこから、どうすれば本番で勝ち点を奪えるかを考えればいい。まあ、実際にそうなったら腹を立ててしまうとは思うけどね。

ハリルホジッチ監督にとっては、日本代表の監督に就任してから初めてとなる強豪国との対戦。苦戦した10月のハイチ戦(3-3)後はベンチで呆然としていたけど、あんな姿はもう見たくない。さすがW杯の舞台を経験しているだけのことはあるという采配を期待したい。

日本の選手たちのモチベーションも高くなっていると思うけど、ぜひいつも以上に戦う気持ちを前面に出してほしい。先日のアジアチャンピオンズリーグ準決勝では、浦和が上海上港相手に最後まで集中を切らさず、体を張って見事な勝利を収めた。そんな姿勢を求めたい。特に海外組は10月のニュージーランド戦、ハイチ戦でイマイチな選手が多かった。長い移動も時差ボケもない今回は、持ち味を十分に発揮してほしい。

ブラジルもベルギーも“手抜き”はしない

相手に関していえば、親善試合とはいえ、ブラジルもベルギーも“手抜き”はしないだろう。

ブラジルは現時点のベストメンバーを招集している。彼らにとっては、日本戦の4日後に控えるイングランド戦がメイン。日本戦にはエースのネイマールが出場しない可能性もある。でも、逆に言えば、日本戦では代表当落線上の選手たちによるサバイバルが繰り広げられることになる。格下の日本相手に通用しなければ、失格の烙印(らくいん)を押され、ロシア行きが遠のく。ブラジルは選手層が厚いし、代わりになる選手は国内にたくさんいるからね。だから、ある意味、日本の選手たち以上にハングリー。試合に出る選手は必死にアピールしようとするはず。

ベルギーは4年前にザッケローニ監督率いる日本代表にホームで負けている。いくら親善試合とはいえ、レベルの低いアジアのチームにホームで連敗は許されない。それなりのモチベーションで臨んでくるだろう。

日本は前回ブラジルW杯で惨敗したにもかかわらず、それ以降、強豪国と対戦する機会はほぼゼロ。それだけにどんな戦いができるか楽しみであり、怖くもあるね。注目しよう。

(構成/渡辺達也)