無人島を買ってパラダイスを作るのが人生最大、最後の夢と破天荒に語る吉村さん

あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』

前回、脚本・演出家の家城啓之(元芸人・マンボウやしろ)さんからご紹介いただいた第48回のゲストは芸人で平成ノブシコブシの吉村崇さん。

TVのバラエティ番組などで幅広く活躍、15年には2千万円のBMW・i8を所属するよしもとに借金した上、分割購入したことでも話題となったが、この日も番組収録の忙しい合間に楽屋で“破天荒”キャラが絶好調。

そのクルマのエピソードで、後輩である渡辺直美さんにまつわる裏話などが明かされると、前回はブスと美人の考察から無人島パラダイス計画までーー。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)

―でも、バランスをとるのも結局、瞬時の判断では…。その瞬発力みたいなのは、やっぱり現場で鍛えられたんですか?

吉村 やって鍛えられましたね。こんなに喋れなかったですし、苦手でした。で、ネタだけやってればいいやって思ってた時期があったんですけど、やってみたら、なんかできるもんだなって。

―コントでネタやるのは基本、段取りがあって。それとはまた別にTVのバラエティとかで求められるのは、なんか違う運動能力ですよね?

吉村 全く違いますよね。やっぱ、お笑いの最先端はどう考えても劇場なんですよ。芸人はみんな劇場から生まれたり、それでウケて、噂を聞きつけてTVでやったりするわけじゃないですか。で、そのTVはやっぱ規制があって、劇場よりも自由度がないから。結構、狭い中でやんないといけないっていうのがあったり。

だから、劇場は先端っていうか、芸人も職人気質ですよね。そういう専門店からTVは百貨店にしないといけないんだろうなぁとは思いますよね。

―基礎体力作ってウェイトトレーニングする場と、試合形式で実戦こなしていく場っていうところもあるんでしょうね。

吉村 でも、やっぱ職人が好きな人がいるわけじゃないですか。「この人はいい仕事するなぁ」って褒(ほ)める人もいるわけだし。まぁどっちもそれぞれですけど、ただTVのほうが食えますよってだけですね。

―そこに向き不向きもあるでしょうし。やってみて自分にはこっちだなとか?

吉村 向いてましたね。ていうか…向くようになったのかなぁ。なんか、僕の37の浅い経験ですけど、なんとなくおおまかに3つに分かれるような気がするんですよ。「しっかり調べてやる人」と「全く調べないで、まぁいいやって勢いでやる人」と「全然やらない人」。

僕、たぶん真ん中のなんにも調べないでやっちゃうわけですよ。そこが功を奏したっていうか。

―なるほど。こういうインタビューとか取材するのでも、事前に綿密に調べるタイプと、ある程度仕込んで、でも知らない空白部分を作るタイプとね。全部を決めて誘導しちゃうよりもライブ感覚で新鮮にやれたり、フットワーク軽くできるのもありますが。

吉村 はいはい。たまにアワ食っちゃいますけどね。「やべ、この人のこと知らねぇ」っていう。テンパリのリスクはありますけど。でもまぁ、鍛えられるというか、試合勘が生まれるんじゃないですかね。

―自動車のアクセルとかブレーキでも、ちょっと遊びを作っておかないとっていう。ガチガチにしておくと、予想だにしない時に対応できないみたいなね。

吉村 そうですそうです。それをなんとなく気付いて。で、俺こっちのタイプだから無理してもなっていう…。がっちり台本調べてやっていくとか、できない人なんだなぁっていうのがわかったので、楽になりましたけどね。

まぁ、それやった結果、得る利益もがっちり調べた人と同じなんですよ。失う損失は多少こっちがミスったほうが大きいのかもしれませんけど。そんな大差ないなって。

「又吉はストイックで真面目ですね」

―コスパ的にはこっちが悪くないぞと(笑)。まぁ真面目でカッチリやる人に限って、それで破綻したりもね。家城さんなんかも、ピン芸人になって、これから自由にひとりでいけるかと思いきや、逆に楽しくなくなってという話で。やっぱり職人タイプなんでしょうけど。

吉村 家城さん、珍しいですよ。この業界では才能があり過ぎた人で、9回くらいチャンス来てますからね。最低でも2回、まぁ普通で3回くらい来るんですよ。ゼロっていうのはないですけど、家城さんはほんと全部ダメにしましたからね(笑)。

―とはいえ、インパクトは残して。それも全部布石にするくらいの活躍で次は演劇界に名前を残す異才になるのではと。

吉村 そうですね。チャンス逃したのか自分で壊したのかわかんないですけど。不思議な方ですからね。いつか大河(ドラマ)でもやるんじゃないですか?(笑) 最終的に50、60歳くらいで。

―脚本家としてね。又吉さんに続いて文化人の枠に(笑)。繊細な感じは共通点ありますよね。

吉村 まったん(又吉)は真面目ですね。ストイックで。一緒に海外とか旅行行くんですけど「ちょっとここの時間は作品にあてたいから」みたいな。メモとか待ち歩いてて、しっかり取ってますね。なんで同じ景色を見て何も思いつかない俺がいるんだ?と(笑)。

―ははは。同じ空間を共有しているのにと。

吉村 だから「二度と俺の前ではメモを取らないでくれ」とは言ってるんですけど。それ言うのも「不安になるからやめてくれ」と。

―その言葉自体が作家的というか哲学者のようにも…。

吉村 いやそうですよ。僕は全くわかんないんですよ。本当にもう真逆ですね、同い年で、同期ですけど。

―かと思えば、童話でベストセラー作っちゃうキングコングの西野(亮廣・あきひろ)さんみたいなタイプもいますし。『はねるのトびら』で最初ブレイクした時にインタビューやらせてもらったんですが、その時のイメージでも感覚派というか面白い個性だなと。

吉村 でも、西野君に関して言ったら早すぎましたね、出るのが。たぶん20代前半でお笑いをひとつクリアしちゃってるんで。他に時間とやることがありすぎたんでしょうね。まぁ、いいことだとは思いますけど。

経験してわかったというか…世に出るまでの期間が長いとそれしかできないんですよ。僕だったら、お笑いでコント作るか、漫才作るかっていう。それがありがたいことに世に出てから車買ったりとか、ピアノ習い始めたりとか、お笑い以外のことをできるようになったんですけど。それがこの35、36くらいですから。

―そういう下積みのあるなしもですが、周囲の才能に触発されてきたのか、自分を他と比べて不安になる部分が大きかったのか…。

吉村 あー、もちろんありましたよ。周りとか見てて、焦ることもありましたし、本読んでみようかな、なんか書いてみようかなとか挑戦したんですけど、どうもなんか…違ったんですよね。

まぁ、やっぱ未だに嫉妬はしますし。まったんなんて、賞獲ってね、活躍が嬉しくも思いますけど。直美もスゴいですし。だから、みーっともない人間なんでしょうね、僕っていうのは。もう欲深くて嫉妬深い、ちっぽけな男ですよ、本当に。

「多夫多妻だったらいいんじゃねぇか…」

―いやいや、逆に言うとそこで他を凌駕(りょうが)するくらいの欲深さでね。破天荒キャラを発揮して(笑)。

吉村 それだけですね、はい。僕が言うのもあれですけど、こんなに貪(どん)欲なやつ他で見たことないです。食欲、睡眠欲、性欲。全部において人より上回っている気はしますね。

―(笑)そこを売りに破天荒を突っ走っていかないと? 欲得王で(笑)。

吉村 欲得王ですね(笑)。しっかり寝たいし食いたいし、しっかりヤリたいしっていう。この三拍子で僕に勝ってる人いないかもしれないんで。

―それって男としては最高じゃないですか。

吉村 いや、でも不便ですよ、時代としては。ひとりだけ歩いて、後ろ見たら誰もいないですからね。だから、そんな苦労の中で見つけ出したのが無人島なんですよ、たぶん。俺はこれだ!と。

―パラダイスを作ってやるぞと(笑)。でもさっき仰ったみたいに、この時代だから得してるものもね。昭和の男はそんなのばっかりで、みんなガツガツいってる時代だと埋もれてたかもしれないんで。

吉村 確かに。でも、まったんがよく自分で例えるんですけど、彼は「アリとキリギリス」のアリなんですよ。コツコツと。俺はもうキリギリスなんで、冬来たら破綻して死ぬって(笑)。それはそれでいいかなっていうのは思いますけどね。

―まぁそれも冬が来る前に一生が終わるキリギリスだったら、最後まで楽しく生きてる感じですけど(笑)。ちなみに年齢的に言って、結婚したいとか、身を固めようという気もサラサラない?

吉村 なかったんですけど、親父とこの間会った時に、老い方を見て「あぁ、そろそろひとりっ子だし、孫見せないとな」ぐらいの感覚です。…んー、でもやっぱ独り身はイヤだなぁ。だから、もう多夫多妻の世にしようかなっってことすかね。

―それも無人島計画に繋がる?(笑) 自らの王国を…。

吉村 はい、一夫多妻はやっぱ誰も成功してないじゃないですか。多夫多妻だったらいいんじゃねぇかなと。みんな楽になるんじゃないかと思いますよ(笑)。子供はみんなのもので。

―それで独立国にしちゃいますか。オッケーっていう人達が集まって。まぁどこかの宗教でもありそうですけど(笑)。

吉村 多夫多妻のいかれた感じでしょうね。でも俺、そこまでのカリスマ性ないから。コミュニティを作れないとは思うんですけど。

でもまぁ、この世の中、もう政治、芸能、医者…全ジャンルで不倫してるじゃないですか。これって「不倫してることが悪いんじゃなくて、不倫してない人がすごいんだ」っていう褒め方にしたほうがいいと思いますよね。

―ははは(笑)。不倫するのが当たり前みたいになれば? で、一夫一婦で添い遂げてる人を年金多くするとか。

吉村 そうですそうです。褒めて賞金出すとか銅像立てるとか。その代わりずっと1年間張って調査して、みたいな。

「ごめん! 浮気はするし他でも遊ぶ」

―スゴい監視社会というか、個人情報を保護しなさすぎ(笑)。でも、もしかして気分が変わって「この女ひとりでいいや」ってなる予感もないですか?

吉村 この女だろうなぁみたいのは、なんとなくやっぱあったりしますよ。でも、先に説明はしますね。「ごめん! 浮気はするし他でも遊ぶ」と。なんだったら一緒に遊んでくれっていうような(笑)。それを理解してくれたらなぁと思って。

―それ都合よすぎですよ! 一緒にって…逆に寝取られもオッケー?

吉村 実は寝取られなんですよ、俺。時を経て、わかった性癖が。その現場は見たことがないのであれですけど、過去の話とか聞くと欲情しちゃうんですよね。悔しいけど体は反応してるんですよ。

―なんか、夫婦間でもマンネリで飽きて、興奮しなくなって満たされずというカップルの刺激にあるみたいですからね、昨今。

吉村 それが今、寝取られなんだと思うんですよね。僕の場合、根っからそうなのかもわかんないですけど(笑)。まぁどっちにしろ苦労しそうですよね、将来は。

―多夫多妻であろうが、寝取られ自由であろうが(笑)。いや、でもその夢の島が実現したら興味深いので。行かせてもらっていいですかね?

吉村 ぜひ来てくださいよ。ヘリかクルーザーでお待ちしてますから。

―(笑)それも破天荒な。いや、僕は自分のチェロキー持ち込ませてもらって。もう22年乗ってるんで、その頃まで乗れてればですが。

吉村 ははは、じゃあ早めに作りますんで。チェロキーで来てください(笑)。

―というわけで、そろそろお時間が…次のお友達を紹介していただければと。

吉村 直美でいいんじゃないですかね。あいつの紹介でインスタ始めたんですが、フォロワー数が増えないんで。「Twitterのフォロワーを300万人ください」って言っといてもらえますか。

―了解です(笑)。おそらく今、最も多忙なタレントのひとりでしょうが、繋がせていただければと。本日はありがとうございました!

(撮影/塔下智士)

●語っていいとも! 第49回ゲスト・渡辺直美「竹下通りを久々にひとりで歩いて、めっちゃ怖くて…」

 

●吉村崇(よしむら・たかし)1980年生まれ、北海道出身。お笑いコンビ「平成ノブシコブシ」のボケ担当。高校時代にお笑い番組を見て芸人を志し、上京。2000年、共に東京NSC5期生であった徳井健太とコンビを結成。漫才・コントではハイテンションな「破天荒キャラ」を確立。15年には2千万円のBMW・i8を分割購入。同年に「日本ベスト・カー・フレンド賞」を受賞。現在は『くりぃむクイズ ミラクル9』『ノンストップ!』などTV番組を中心に活躍。