第17回のテーマは「内緒の“副業”」

『週刊プレイボーイ』が15歳の頃から撮り続けてきた、誰もが認める実力派女優・黒川芽以ちゃん(さん?)が今年で30歳!

その記念にデジタル写真集をつくりたい!ということで、彼女とのコラボを思い立った週プレは、カメラマン・熊谷貫氏が“黒川芽以と東京の夜”をテーマに撮り続けていく写真集用の撮り下ろしカットを交え、芸歴24年&女優歴20年という彼女が貴重なエピソードを惜しげもなく告白するエッセイ連載。

写真集のメイキングと人気女優の素の言葉が絡み合いながら進行していく史上初のウェブ連載。30歳の黒川芽以による、30の言葉と30の夜をお届けします!

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女優歴20年、地道にコツコツの黒川芽以です!

「下積み時代」ってよく言いますけど、どこまでを下積みっていうんですかね。アルバイトしながら役者をやるのも、下積み時代なのかな? 10歳の頃からずっと役者を頑張ってますけど、実はアルバイトをしていたこともあるんです。社会勉強のための副業ですね。

初めてのバイトは20代になってから。役者以外のことをしてこなかったから、スキルがなくて何をやったらいいのやら…。コンビニのレジ打ちもできないし、シフトを入れるのも難しくて。役者の仕事って急に入ることが多いから、先の予定が組めないんですよ。

そこで考えたのが、日払いや短期バイトのサイトに登録すること。初めてきた仕事は代々木公園のグルメフェスでお肉を売る仕事でした。 芸能人も結構来ていて「あ、芸能人だ!」って見つけながら、ひたすら肉を焼いてました。誰にも気づかれることもなく、私はまだまだ下積みなんだなぁって。「お姉さんカワイいから、ここでビール買っちゃおうかな」って声をかけられたくらいです(笑)。体中、煙臭くなったけど、楽しい仕事だったかな!

実は、高校生の頃も一度、バイトしようと試みたことがあるんです。大戸屋のごはんが大好きだったので、キッチンで働こうとしていて。そうすれば作り方を学べて、家でも大戸屋のごはんが食べれると思ったんですよね(笑)。面接の日まで決まってたんですけど、履歴書を書いたところで親と事務所にバレちゃいまして…。確かにその頃は連ドラ出てたし、学校もあって忙しかったんですよ。でも、どうしてもやってみたくて、黙ってたんですよね(笑)。

他にも挑戦したのは、ティッシュ配り。やってみたかったんです(笑)。どうせやるならと思って、人一倍大きな声を出して配ってました。低姿勢になって、邪魔にならない程度にティッシュをサッと渡すっていう。会社の人にも気に入られて「あのコいいから、目立つところで配らせて」って指名されてるほどに!

でも、一生懸命にやって目立ちすぎたのか、Twitterに書かれてたんです! 「こないだレッドカーペット歩いてた芽以ちゃんがティッシュ配ってた」って(笑)。その当時、ちょうど映画祭に出たあとだったんですよね…。あとで、ツイートは消去してくれたんですけど、拡散されなくてほんとに良かったです!

でも、気づかれてしまったので、ティッシュ配りは続けられない。他の業務もあったので、事情を説明して着ぐるみに入る担当に変えてもらったんです。キャラクターっぽくカワイい動きをしてたら、駅前までかり出されちゃって。夜になると、酔っぱらいがいっぱいいたんですよ。「わ~、カワイい♪」ってカワイがってくれるのは、嬉しかったなぁ。

ティッシュ配りにも挑戦

でもある時、酔っぱらった女のコに「一緒に写真撮っていい?」って言われて。「はい、チーズ」の瞬間に頭を思いっきり殴ってきたんですよ。「ぎゃはっはー」って笑いながら、飛び蹴りじゃなくて“飛び殴り”みたいな(笑)。着ぐるみの頭はポコンって凹んじゃうし、殴られた時に首を持っていかれてめっちゃ痛かったんです…。着ぐるみの顔は笑ってたけど、中では「この女~!」って思いながら睨(にら)んでました(笑)。そんなこともあって、着ぐるみを見たら優しくしようって思うようになりましたね。

あとは、テレアポもやったことがあります。営業だったから、毎日のように通わないとアポイントが取りづらくて大変で…。何より、苦しいんですよね。クレーム対応ならまだいいけど、営業はツラいです。しかも、職場に営業成績が貼り出されるから、誰がどれだけアポ取れたかのがわかっちゃうんですよ。そういう精神が押しつぶされそうな感覚も経験できたし、やっぱり働くのって大変なんだなと思いましたね。どんな仕事でも、ちょっと働いただけで実る仕事なんてない。「継続は力なり」なんだなぁと。

それに、やっぱり役者の仕事って、かなり特殊なんだと思います。何かをやってみると、全部が経験になって役に立つんです。むしろ、今まで演じた役でバイト経験がない人物っていないと思うんですよ。そう考えると、もっともっと経験しておきたい。

ただ、30代にもなって、未経験のアルバイトに応募していいのかなって思いもあるけど(笑)。いつか隙間ができたら、また副業しようかな。どこかでこっそり働いてるかもしれませんよ(笑)。ふふふ。

次回は、年齢的にも意識する「結婚願望」について語ります!

(撮影/熊谷貫 構成/釣本知子)

※本連載の第1回~第15回までのコラムは「週プレ グラジャパ!」にて発売中の【デジタル限定】黒川芽以写真集『30×30』に掲載。是非こちらもお楽しみください!

●黒川芽以(くろかわ めい)1987年5月13日生まれ。東京都出身。93年『揖保の糸』CMでデビュー。97年に10歳でNHKドラマ『鏡は眠らない』に出演して以降、映画やドラマ・舞台と数々の作品に出演。主演映画『二十六夜待ち』は、12月23日公開! Netflixで配信中のドラマ『炎の転校生 REBORN』第4話、Amazonプライムで配信中のドラマ『日本をゆっくり走ってみたよ~あの娘のために日本一周~』第3話・第4話に出演中! そのほか最新情報は、公式ブログ、Twitter【@mei_kurokawasan】にて