Jリーグ勢が最後にACLを優勝したのは2008年のG大阪。以降、クラブW杯に出場できたのはすべて開催国枠によるものだった。

Jリーグの雄、浦和レッズがアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を制覇。ここ数年、中国、韓国勢の前に苦杯をなめ続けてきたJリーグ勢にとっては、待望のタイトル奪回だ。

そして迎えるは、クラブチーム世界一を決めるクラブW杯(UAE)。世界の強豪を相手にセンセーションを巻き起こせるか!?

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晴れてACL王者となった浦和は、12月6日からUAEで開催されるクラブW杯にアジアを代表して出場する。

「勝ち進めば世界に名を轟(とどろ)かせるだけでなく、億単位の賞金が入ります。浦和は今季のJリーグで5位以下が確定し、DAZN(ダゾーン)マネーをかなり取り逃がしている上、天皇杯も敗退したので、クラブW杯の賞金は是が非でも欲しい。ましてやクラブは来季に向け、阿部勇樹のバックアップとして神戸のDF岩波拓也の獲得を画策しているので、その原資にしたいはず」(浦和番記者A)

「海外のクラブと親善試合や選手移籍の交渉をする際にも、国際的な知名度や実力があればいい条件を引き出しやすくなりますから、浦和としてはクラブW杯で世界にインパクトを与えたいでしょう。そして何より、日本のクラブが世界の強豪と公式戦で戦う機会はめったにないので、選手には貴重な経験の場。彼らのモチベーションは相当上がっているはずです」(サッカージャーナリストの後藤健生氏)

日本在住のイタリア人サッカージャーナリストのチェーザレ・ポレンギ氏は、せっかくのクラブW杯出場を機にこんな提案をしたいという。

「世界のサッカーファンが注目するというのに、日本の歴代出場クラブはこの大会を国際的な交流とプロモーションの場として活用してこなかったよね。海外のファンを獲得するまたとないチャンスなんだから、浦和はこれを機にクラブの公式サイトとSNSを本格的に多言語対応させた上で、大会開催期間だけでもオフィシャルチームグッズを割引して、海外発送もできるようにするとか、いくらでもやれることはある。時間の余裕がないのはわかるけど、選手や現場のスタッフがあれだけ頑張ったんだから、今度はフロントが頑張らないと」

バルセロナの街のど真ん中に浦和の臨時ブースを設営させるね

さらなる秘策も伝授してくれた。

「僕が浦和の社長だったら、レアル・マドリードとの対戦が決まった瞬間、バルセロナの街のど真ん中に期間限定で浦和の臨時ブースを設営させるね。そこでチームを大々的にPRするんだ。バルセロナの人はレアルが負けるのが無上の喜びだから、絶対、浦和に興味を持って応援してくれるし、万が一レアルに勝ちでもしたら、バルサファンに一生愛されること間違いなし!」

そうなのだ。クラブW杯での浦和の初戦の相手は、オークランドシティ(オセアニア王者)対アルジャジーラ(開催国王者)の勝者。それを撃破すれば、準決勝では欧州王者レアル・マドリードが待っている。昨年の大会では、決勝で鹿島がレアルをギリギリまで追い詰めたが、浦和も“白い巨人”に互角の勝負を挑むことができるのか。

「実のところ、レアルほどの世界的ビッグクラブになれば、クラブW杯へのモチベーションはさほど高くない。ましてや浦和と当たる可能性のある準決勝はレアルにとって大会初戦なので、ウオームアップ程度にしか考えていないはず。そんなやる気のないレアル相手なら、昨年の鹿島より勝つ可能性は高いと思いますね。

だからレアルには、浦和戦はむしろベストメンバーで来てほしい。へたに国内リーグで出場機会のない控え組を出してきたりすると、その後のリーグ戦でも使われたいと本気で頑張ってしまうでしょうから(笑)」(サッカージャーナリストの西部謙司氏)

◆『週刊プレイボーイ』51号(12月4日発売)「浦和レッズよ、クラブW杯も勝て、勝て、勝て!」では、Jリーグで不調だった浦和が優勝できたワケ、浦和がいかに戦うべきかを分析しているので、そちらもお読みください!

(撮影/藤田真郷)