“日本最西端の駅”という立派な記念碑がある、ゆいレールの那覇空港駅

『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。

人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。

今回は、鉄道オタクである彼女が、沖縄唯一の鉄道「ゆいレール」の魅力について語ってくれた。

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先日、沖縄の「ゆいレール」に乗ってきました。

ゆいレールは、沖縄唯一の鉄道で、正式名称は「沖縄都市モノレール線」といいます。沖縄旅行の際はレンタカーを借りる人が多いのか、意外と乗ったことがないという方も多いですね。

でも、私はこのゆいレールを観光の足として推します! 国際通りや首里城といった観光地までのアクセスのよさや、海も市街地も一望できる眺めのよさは、何物にも代え難いですよ。

そんなゆいレールは、沖縄にとって悲願の鉄道でした。もともと、沖縄には大正時代からいくつもの鉄道が運行されていたんですが、太平洋戦争で徹底的に破壊され、いったんはすべて消滅。本土復帰を果たした直後からモノレール計画が持ち上がったんですが、何度も頓挫した末、2003年にやっと開業したのがゆいレールなんです。

“鉄”っぽい情報としては、このゆいレール、日本最西端と最南端の駅がどちらも路線内にあるんです。しかもそれが、隣り合った駅なんですよ(笑)。まず、那覇空港を降りてすぐの「那覇空港駅」が最西端、その次の「赤嶺駅」が最南端です。

ただ、この「日本一の…」がつく場所がいくつもあるのが鉄道あるある。例えば、長崎県の「たびら平戸口駅」は、「日本最西端の駅」というサブ駅名を名乗っています。これは、“2本のレールの上を走る一般的な鉄道の駅としては最西端”ということらしいんですが、ゆいレールには国土交通省鉄道局のお墨付きがあるので、こちらが正しいと思っていいんじゃないでしょうか。

そして、「QR乗車券」という珍しい乗車券を導入しているのも特徴。見た目は普通の紙の切符なんですが、QRコードが印刷されていて、これを改札機にかざして乗車するんです。改札機の中に入れないので、出るときはどうするのかというと……備えつけの回収箱に入れます(笑)。こんなちょっと不格好なところはあるものの、QRコードをピッとかざして電車に乗るって、ハイテク感があってテンションが上がります。

制服は「かりゆしウエア」

一方、駅員さんたちが全員、沖縄っぽい服を着てるのもポイント。沖縄の伝統的な柄をアロハシャツ風に仕立てた「かりゆしウエア」が制服として採用されているんです。運転手さんも改札の係の人もみんなゆったりしたかりゆしウエアで業務をする姿は、一気に“沖縄感”を盛り上げてくれます。

駅のどこかに必ずシーサーの置物があることも沖縄ならではですよね。これは観光客向けではなく、純粋に守り神として設置されているので、人目につくような所にはありません。天井の片隅などにひっそり置いてあるシーサーを見つけると、なんだか幸運が訪れるような気がします。

しかし、ひとつだけ「もったいない!」と思うことがあります。それがステンドグラス。ゆいレール沿線の駅には、沖縄の名所や文化を題材にしたステンドグラスが飾られているんですが……。その多くが、旅行パンフレットのラックなどで隠れてしまっているんです! このステンドグラス自体が素晴らしい観光資源なのに……。できればどの駅も、じっくり眺められるようにしてほしいですね。

●市川紗椰(いちかわ・さや)1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、毎週土曜21時からオンエア中のJ-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』でナビゲーターを務めている。今回もヤンバルクイナ展望台に行ってみたが、相変わらず異様なパワーを感じた