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なぜ反セクハラ運動は日本で盛り上がらない──女性の権利向上は韓国のほうが進んでいる?

[2017年12月07日]

―韓国では11月21日、職場内のセクハラ・性暴力の解消を目指す「男女雇用平等と仕事・家族の両立支援に関する法律」改正案が議決されたと同時に、女性労働者の不妊治療のために年間3日の「不妊休暇」が新設されました。日本では不妊治療に対する国の助成制度はありますが、仕事との両立支援策はありません。韓国のほうが女性の権利向上がずっと進んでいるのでしょうか?

 いえ、先述したOECD内の男女賃金格差ランキングが示すように、日本と韓国は「どんぐりの背比べ」ですよ。世界経済フォーラムの「世界ジェンダー・ギャップ報告書2017」でも144ヵ国中、韓国は118位、日本は114位という低評価ですし、女性閣僚比率を見ても、日韓ともに10%程度です。女性閣僚比率の高い国にはフランス(52.9%)、カナダ(50%)などがあります。

しかし、人権弁護士だった文在寅氏が大統領に就任したことで、韓国に転機が訪れました。文氏は選挙公約として、女性閣僚比率を3割にし任期内には半数まで上げること、そして今仰った「男女雇用平等と仕事・家族の両立支援に関する法律」改正を強く推していました。そして、先月閣議決定された改正法は、セクハラを発生させた事業主の責任として加害者への懲戒や、被害を受けた労働者の保護義務を大幅に強化しています。

現在の韓国では、日本の国家1種にあたる公務員5級合格者の女性割合は41.4%、司法試験合格者の女性割合も38.6%と、女性がとても活躍しています。こうした社会の実態に見合った法制度を整えることを文大統領は目標としています。今の大統領は女性の権利向上を応援しているのだな、と思いますね。

―「どんくりの背比べ」から、韓国が頭ひとつ抜けそうなわけですね。最後に、セクハラなどの性的被害について考える時、大切な視点はなんでしょう?

 これまで例を挙げてきたように、性的被害は「社会構造の表象」という視点です。1979年に国連で採決された「女子差別撤廃条約」(通称)には、前文で「女子に対する差別は、社会及び家族の繁栄の増進を阻害するもの」、4条1で「締約国が男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置をとることは、この条約に定義する差別と解してはならない」とあります。

韓国は84年、日本は85年に批准していますが、この条約の理念を実現できているでしょうか? 4条1にある「特別措置」というのは、例えば大学における学生の比率を男女で半々にしましょうとか、企業でマイノリティである外国人女性従業員の比率を何割にしましょうとか、組織によって異なりますが、そういった規定のことです。

社会を改善するために、成果が目に見える形としては法律を作ることが最も適しています。しかし、日本ではセクハラなどの問題に関する法整備があまり進んでおらず、被害女性が声を上げやすい状況ではありません。すぐに法整備ができなくても、特別措置の強化は社会を変える手段として有効だと思います。

―なるほど。日本や韓国では男尊女卑のような固定観念が未だ根強く、それがセクハラなどの温床になっている。それを改善するために法律や特別措置を強化して、社会の認識をトップダウン的に変えていくべきだということですね。

 そうです。韓国はやっと舵(かじ)を切り始めました。これが、日韓ともに改善していく契機になれば素晴らしいと思いますね。

(取材・文/週プレNEWS編集部)

●金惠京(キム・ヘギョン)
国際法学者。韓国・ソウル出身。高校卒業後、日本に留学。明治大学卒業後、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科で博士号を取得。ジョージ・ワシントン大学総合科学部専任講師、ハワイ大学韓国研究センター客員教授、明治大学法学部助教を経て、2015年から日本大学総合科学研究所准教授。著書に『涙と花札-韓流と日流のあいだで』(新潮社)『柔らかな海峡 日本・韓国 和解への道』(集英社インターナショナル)、『無差別テロ 国際社会はどう対処すればよいか』(岩波現代全書)などがある


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