カラコルの「ジェティオグズの奇岩と渓谷」でトレッキング!

キルギスの首都ビシュケクにある日本人宿でお腹を満たしたら、お次はそこから東へ180kmの「イシククル湖」へ!

琵琶湖の9倍の大きさと世界第2位の透明度を誇り、「中央アジアの真珠」や「キルギスの海」と呼ばれる広大な湖。また、ソ連時代には外国人の立ち入りが禁止されていたという“幻の湖”でした。

「まぼろし~!? 立ち入り禁止の場所とかって入りたくなるよね~!」

そして、今や湖を囲む大自然がアウトドア派の旅人に人気ということで、実はインドア派の旅人マリーシャも思わずやってきました。

ビシュケクからカラコルへ向かうマルシュルートカで一緒だったキルギスの家族

まずは湖東端に位置する天山山脈への登山の拠点となる町・カラコルに到着。この町から行ける天山山脈の名所といえば、温泉があるという「アルティンアラシャン」だ。そこへ向かう途中には『ハウルの動く城』のモデル地と囁かれている「カラコル谷」もあるそうなのだが…、

「なんでこんな時期に来たの(笑)? もう雪でトレッキングは難しいし、ユルタ(遊牧民の移動式住居)でのキャンプは凍えちゃうわよ」と地元の人に一蹴されてしまった。これがオフシーズンの旅のツライところ。

「だけど、諦めないで! 他にも見所はあるわ。『ジェティオグスの奇岩と渓谷』に行きなさい!」

「ジュディオング…? 違うか」。そんなこんなで、旅の流れに身を任せ、シェアタクシーで山の麓まで辿り着くと、私はひと目でここの絶景に魅せられてしまいました!

まずは心臓が裂けたような形をしているという岩が見えた。これは、ある女を愛したふたりの男が戦い、両者が死んだ時に女のハートが裂けたという、「私のために争わないで」状態のモテ女の伝説を語った岩である。

そしてその裏にはジェティオグスの名の由来である「7頭の牛」を意味する大きな岩がドドーンと現れた。岩フェチの私的にはこれが見られればもう十分だったわけなのだが、せっかく来たので一応、往復4時間のトレッキングをスタートすることに。

ハートが裂けた形をした岩

真っ赤な雄牛が7頭並んだジェティオグズの奇岩。岩フェチのマリーシャは萌え~

寂しい冬の山道を抜けると…

いきなり現れた(たぶん)野良牛に手を振り、砂利道を歩き始めると誰もいない山道は寒々しく、枯れかけたブルーベリーのような実や綿の木が冬を告げていた。地面のところどころには氷が張り、狼のような獣の死体が冷蔵保存状態となってきれいに横たわっている。

「なんだか寂しい景色…」

しかし冷たい空気の中、白い息を吐きながらのトレッキングは思っていたよりも気持ちが良くて、意外とイヤじゃない。

そしてしばらくするとパァァッと太陽の光を浴びた広い草原の美しい景色が広がった。「わぁ、ここ気持ちがイイ! まるでハイジの気分、いやハウルの気分!(実はまだ観たことがないけど…)」

トレッキング中に一番絶景だった場所。写真で見た『ハウルの動く城』のモデル地、カラコル谷の景色と似ている

滝は凍っていた

そこは、噂されている映画のモデル地ではないけれど、写真で見たそれとも似ていた。遠くには雪化粧した山々が悠然とそびえ、絵本に出てくるような木々が連なり、目の前には小川が流れている。

「小川…。ここ橋ないけど、渡らないと先に進めないぞ」

石の上をピョンッと飛び越えながら渡っていると…ツルンッ! 案の定? 私は濡れた石のぬめりで滑り、小川に片足をつっこんでしまった。スニーカーに浸水した水がヒンヤリと冷たく、足首もわずかにくじいたようで痛いよぅ(涙)。

「これだから山歩きはイヤなんだ!」。私は自分のどん臭さを棚に上げ、小石を思いっきり小川に投げ、怒りをぶつけた。

そうは言いつつも、大自然との触れ合いはマイナスイオンをビンビンに感じ、心も身体もリフレッシュ。滝ではアイスキャンディーのようになった小枝を見つけたり、落ち葉を空高く投げてイチョウシャワーを浴びたり、凍った道を足で割りながら無邪気に山の中ではしゃいだのでした。

小枝のアイスキャンディー。タツノオトシゴみたい

イチョウの絨毯

タクシーでの帰り道。正面から牛のご一行様が現れたのはなかなか迫力でした!

バザールでカラコル名物「アシュランフー」

大満足でトレッキングを終え、翌日からは街歩き。山歩きは苦手だけど街歩きは得意です。のんびりとした田舎町は散歩しているだけで出会いがあり、すれ違う人々と挨拶を交わしたり、子供たちを見ているのも楽しい。

バザールへ向かうと、地元の人たちが日常の生活のお買い物。私も言葉の通じない中、見よう見マネでマスカットやナンを買い、それからカラコル名物の「アシュランフー」というものをその場で食べた。

これはドゥンガン民族(中国系イスラム教徒)が持ち込んだ食べ物だそうで、トコロテンと冷麺と冷やし中華を混ぜたようなピリ辛の冷たい麺料理。どうせなら夏に食べたかったけれど仕方がない、オフシーズンなのだから。

店舗もあれば、車で野菜を売りに来ている人もいた

マスカットは安く、バナナは高かった

ナンを売る優しいおばちゃん

カラコルの名物「アシュランフー」と呼ばれる冷麺のような食べ物

町の中心に戻り、寒さに震え歩いていると、暖かそうなフエルト生地のスリッパがウィンドウの中に飾られているのが目に入った。すると、そのお店「ハンドメイドお土産」と珍しく看板に日本語が書かれているではないか。

日本語で「ハンドメイドお土産」と書いてあるお店

試しに中に入ってみると、かわいらしい雑貨やハチミツなどが売られていたのだが、キルギスの物価にしては少しお高い値段。

店内には日本語で書かれたカタログもあったので、もしかしたら日本人がやっているお店なのかと尋ねてみたら「これは日本のJICA(ジャイカ、国際協力機構)の『一村一品』というプロジェクトなんですよ」とのこと。

地域の特産物を活かして、国内外に通用する商品を作り上げることで住民による地域活性化を目指すもの、なのだそうだ。

フエルト素材の雑貨や、ハチミツなど。日本語のカタログには「一村一品」プロジェクトについて書かれている

こんなところでキルギスと日本の関わりを感じることができて嬉しかったので、私も何かひとつ買おう!かと、商品の中からホワイトハニーを手に取ると…小瓶の内容量は130g

ここで旅人の事情を言おう。私はいつもロスバゲ(ロストバッゲージ=飛行機で起きる荷物の紛失)防止のためにバックパックを機内持ち込みにしている。飛行機の機内に持ち込める液体はひとつにつき100gまでなので、泣く泣く購入を諦めることとなった。

「ところで、イシククル湖が見たいんですけど、湖畔までここから歩いて行けますか?」

「あんた、何言ってんの? ここからは見えないわよ。山の上からご覧なさい

!!!! ガーン…。

次回、マリーシャはイシククル湖を拝めるのか!?

【This week’s BLUE】木造のロシア正教の聖三位一体教会と青空旅人マリーシャの世界一周紀行:第167回「キルギスのグランドキャニオン『スカスカ』でこの惑星をひとり占め!」

●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】