柿ピーを前に笑顔の中倉氏だが、実際はパッケージがちゃんと見えているか胸中は不安…。家には300コ以上の柿ピーが保管されているそう

手軽なおつまみとして誰もが知る「柿ピー(柿の種)」。普段、気軽に食べているが、大好き過ぎて“柿ピー研究家”を名乗るのは中倉隆道さんだ。

その強すぎる柿ピー愛は、NHKのアナウンサーという肩書きを捨て退職するという暴挙(?)に出てしまうほど…。先月には『マツコの知らない世界』にも出演し、話題を呼んだ。

今回のインタビューでも、そのこだわりの偏愛について語りたいがため、40コ以上の柿ピーを持参するなど(前編記事参照)、異色すぎるキャラクターぶりを早速、発揮。この後編では柿ピー研究家としての仕事ぶりや夢を明かしてくれた。

―それだけ好きだと、やはり恋人とかにも柿ピー好きを求めるんですか?

中倉 食べ方については「柿の種5粒とピーナツ一粒(=中倉さんが推奨する柿ピーの美味しい食べ方)でいただいたほうが美味しいですよ…」って。あくまで僕の主観だから強要はしないけど。

―今、恋人がいらっしゃるそうですが、最初から中倉さんの柿ピー愛は知っていたんですか?

中倉 知らないけど、「この人、よく柿ピーを買うな」とは思ってたみたいです。まさか書斎で、定規でサイズを測りながら、柿の種を愛でているなんてね。ある日、見つかって「気持ち悪い」って。

―…そんなことまでしてるんですね。

中倉 大きさや厚さで食感も違いますからね。ただ、彼女もTVに出て「よかったね」って言ってくれたんですが、「これって仕事になるの?」ってポツリと…。

―…すいません、実際、仕事になってるんでしょうか?

中倉 …この取材が2回目です。仕事にならないから辞めろとマネージャーにも言われてますからね。あくまで自分が楽しいからやってるので、いいんです。

―ほぼ無職じゃないですか!

中倉 いや一応、フリーアナウンサーなんで…。よくネットでも「アナウンサーを辞めて柿ピー研究家に」って書かれたりするんですけど、違います(笑)。

チョコレート系の柿の種を並べるとその大きさや形の違いが一目瞭然。さらにチョコのコーティング具合まで違って、柿の種の形を活かした凸凹のものや、よりスイーツ感を出すためにぶ厚く塗ったものまで千差万別だ

中倉氏が衝撃を受けた柿ピーとは?

―失礼しました! ちなみに今、どんな柿ピーがアツいんですか?

中倉 これまでの日常的なおつまみのイメージから、ハイクラスな柿の種に進化しているところが、今の柿の種の魅力です。亀田製菓さんが最高級ブランドとして出してる「タネビッツ」なんて、パッケージひとつひとつが辞書みたいになってて。

―超オシャレ! このトレンドはいつ頃から始まったんですか?

中倉 この5、6年は贈答用がどんどん増えてるんですよ。日本食やプレミアムって言葉が流行ったくらいで。それに味だって今は本当に無限大。日本人はずっとお米を食べてきた文化があるから、いろんな組み合わせができるんです。洋風にも中華にもなるし。麻婆豆腐味とかもありますから(笑)。

贈答用の柿ピーについて熱弁する中倉氏。「こんな高級感あれば、柿ピーだと思わないでしょ。お土産にピッタリなんですよ!」

―なんでもありじゃないですか!?

中倉 はい。でも、どの業界もそうなんですが、今はニッチなものが好まれる傾向にあるんです。例えば、誰でも知っている「博多の明太子味」ではなく、「博多のうどんのだし味」とか。柿ピーを研究しているとお菓子業界全体の動向など周辺知識も自然と増えてくるんです。

―そんな中で、イチ推し柿ピーはなんでしょう?

中倉 うーん…。柿の種専門店かきたねキッチンさんの「アールグレイショコラ」(期間限定)は今季一です。最っ高に美味しいですよ。そもそもこれまで紅茶味のチョコ柿の種ってほぼなかったんですよ。食べた時、衝撃的でした。

最近はチョコの柿の種も豊富なんですが、これは女子向けに作られたブランドで、食べやすい大きさとか味にこだわっているんです。一粒4センチほどある大柿(おおがき)なので、一粒一粒おしゃれに食べることができるし、長いネイルでもちゃんとつまめるんです。

―完全に業者の人目線じゃないですか! でも確かに普通の柿の種とは見た目も味も違いますね。オシャレなスイーツみたいで。

中倉 そう! それ! いいこと言いますね! 柿の種って親父のつまみみたいに言われているけど、僕はスイーツとしても扱ってほしいんですよ。選ぶ楽しみもあるし、さっき言ったようにパッケージを愛でる楽しみもある。

―とはいえ、世間のイメージはまだ程遠い感じがしますが…。

中倉 一番悔しいのはスーパーでの置き場。足元の段とか、珍味の横にちょっと並んでいて。日本で1番売れているお菓子って亀田製菓さんの「柿の種」なんですよ。逆にPRしなくても売れるからぞんざいな扱いなんです。僕はこれを変えたい。スーパーに柿ピーのポップ(看板)が当たり前に並ぶ風景が僕の夢です。

―夢…さすがです。

中倉 僕は柿ピーのファンが増えてくれるのがすごく嬉しい。僕が愛を持っていることが時と場合によって気持ち悪く映るかもしれないんですけど、それがきっかけで柿の種を知ってもらえれば、僕は本望なんですよ。

***この日、3時間ノンストップで柿ピーへの思いの丈を語ってくれた中倉さん。自分の本業を犠牲にしてでも柿ピーの素晴らしさを伝えたいという熱意には柿ピーへの尋常ならざる愛を感じるが、果たして柿ピーの未来やいかに…。

★明日配信の3回目では、中倉さんが至高の柿の種グルメを紹介! 今回はお正月ということで特別に“おせち”バージョンをアレンジしてもらった! その味わいは…?

(取材・文/伊藤このみ)