自律自動運転実験車のベースモデルは「インフィニティQ50」。カーナビで目的地を設定すると、ほぼハンドルノータッチの自動運転が始まった!

2020年以降の実用化を目指した最新の自動運転実験車両の公道テストに同行。

自動でウインカーを出し、勝手に後方確認して走りだす実験車両と責任者を徹底取材した!

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アウディがレベル3搭載モデルを欧州で発売した!とか、米テスラが完全自動運転対応ハードウエアを搭載した!などと言い切っているため、一部メディアでは「日本は自動運転で遅れ気味じゃね?」と言われている。だが、その心配を吹き飛ばしてくれたのが、日産が行なった自動運転の公道テスト。

ここで最新型の「プロパイロット」を搭載したクルマに乗ったが、その出来栄えがスゴすぎた。一般道と首都高を往復20km走って、その間ドライバーがハンドルを触ったのは1回! エリア限定だが、要するに一部公道で夢の自動運転に近いものが具現化されたのである。

この自動運転の試作車のベースとなったのは、インフィニティQ50。東京豊洲市場から一本入った道で出会った瞬間からビビッときた。ボンネットとサイドにデカデカと「ProPILOT」と入ってる上、タダ者じゃないオーラを漂わせていたからだ。

というのも屋根にはカタツムリの角のごときカメラが4個ニョッキりと伸び、前後ウインドウ内にもカメラ4個とグリル内にも数個のカメラ&センサーを備え、前後バンパーサイドには妙な黒マスクの発信器らしきものが6個も装着。まさに走るロボット的な風情だった。

ちなみに日産がこの手のテストをジャーナリストに公開するのは初めてじゃない。東京モーターショー2015のときにもミスタープロパイロットこと開発リーダーの飯島徹也氏が運転するリーフベースの自動運転試作車の助手席に乗せてもらった。あのとき、走ったのは一般道のみだった。交差点も左折のみ。しかも飯島氏は途中で何回かハンドルを握って自ら運転補正をしていた。正直、完全自動運転には遠かった。

ところが、今回はとにかく衝撃の連続だった。飯島氏がナビパネルに目的地を入れるなり、Q50は周囲を自動で把握しながら市場前を飛び出した。前走車はもちろんのこと、制限速度の看板を自分で見て自動で速度を調整する。看板は運転席前のモニターにもしっかり表示されていた。

交差点の赤信号でラクラク自動停止

日産自動車AD&ADAS先行技術開発部戦略企画グループ部長の飯島徹也氏(左)の隣に日本&世界カー・オブ・ザ・イヤー選考委員でもある小沢コージが同乗

お次のビックリは、交差点の赤信号でラクラク自動停止すること。これまたカメラで白線と赤信号を見ているようだが、ほぼピッタリ自動停止する。今回は少なくとも3回ともすべてミスなく止まった。

何よりもシビれたのは交差点の自動右左折! 赤信号が青になるなり、左折は横断歩道を歩く人を見て、右折はなんと右折信号を見て実行。人が運転する上で最も難しいともいわれる右折。これを難なくこなしてしまった!

さらに首都高だ。飯島氏が、「実はゲートが狭くて難しい」というETCゲートをあっさり通過。目的地に向かって走行車線への合流はもちろん、車線変更や分岐もお手の物で恐怖はほとんど感じない。見事に流れに乗る。ただ、飯島氏が自らハンドルを握って補助をするシーンが一度だけあった。それは車線変更時に隣にクルマが居座ったから。どうやらドアパネルの「ProPILOT」のロゴを見ていやがらせをしたようだ。

だが、豊洲の市場付近を出発し、首都高の有明インターから入って同じく船堀橋インターでUターン、スタート地点に返ってくるまでの間、飯島さんが操作したのはこの1回だけ。晴れた日の平日昼間とはいえ、東京の公道でこんなことができちゃうとは!★発売中の増刊『クルマプレイボーイ』(12月29日発売)「ニッポン自動運転の大逆襲が始まった!」では、日産の自動運転技術の責任者である飯島氏に最新型の自動運転試作車について詳しく聞いた! さらに、2018年のイチ推しカー、コンパクトSUV最強の10台、各メーカートップ独占インタビューetc…専門誌が書けない最新クルマ情報がアツ盛り!

(取材・文・撮影/小沢コージ 撮影/本田雄士)