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エルサレム首都認定の何が大問題? トランプの愚かな決断が強い怒りと反発を生むことは間違いない

[2018年01月03日]

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■過激派の怒りの矛先はアラブ諸国にも

―つまり、アラブ諸国が「戦争」という手段に出ることはありえない…と。

内藤 ただし、トランプの愚かな決断が「イスラム教徒」という国単位ではない、より広い枠組みの中で強い怒りと反発を生むことは間違いありません。特にISのようなイスラム過激派にとってはテロを起こすための格好の口実となるはずです。今年、ISはシリア、イラクといった拠点を失いましたが、それで彼らは壊滅したわけではありません。むしろ世界中に拡散して、次のテロを引き起こすことも考えられます。

イスラム過激派はジハード(聖戦)を訴え、それに呼応する人も出てくるでしょう。そのジハード主義者たちは、アメリカやイスラエルに対する怒りだけでなく、そのアメリカに飼い慣らされ堕落したアラブ諸国への失望や怒りまでも、新たな“栄養源”にして活性化する可能性もあります。さらにその敵意はアラブ世界だけではなく、ムスリムのほかの国にまで向けられるかもしれない。

ヨルダンのアブドラ国王が「過激派に燃料を与えるようなものだ」と言うのも当然で、ほかならぬイスラエルのメディアにすら「よけいな攻撃のリスクが高まる」と、トランプ発言を歓迎しない論調があるのです。

―この先、今回のトランプ宣言による影響はどんな形で表面化していくのでしょう? また、日本がテロの脅威にさらされる可能性はあるのでしょうか?

内藤 イギリス、フランス、ドイツだけでなく、国連とEUも事態の悪化を恐れて一様にアメリカの決断を非難していますが、それでアメリカが簡単に方針を覆すとは思えません。

また、イスラエルのネタニヤフ首相は今後、アメリカの「お墨付き」を得たととらえ、パレスチナ自治区をめぐる問題を無視して、これまで以上に強硬な姿勢をとってくるかもしれません。

その結果、世界各地でテロが起きたら、それを理由に罪のないイスラム教徒への理不尽な差別や排斥がもっと広がるでしょう。それがさらなる対立と憎しみを生み、テロの温床になるという悪循環が世界中で加速することを最も危惧しています。

日本政府はトランプ大統領への批判こそ避けているものの、「エルサレムの帰属問題についてはイスラエルとパレスチナの2国間で解決すべきこと」(菅官房長官)という従来の姿勢を変えていないので、この一件がすぐさま国内のテロに直結するようなことはないでしょう。

ただし、日頃からトランプとの親密さをアピールしたがる安倍首相が、「大統領の判断にも一定の理解……」などと口にすれば当然、話は別です。その瞬間に、日本はすべてのイスラム教徒の怒りを買うことになる。自ら進んでテロの標的になりにいくようなことは絶対に避けなければなりません。

(取材・文/川喜田 研)

●内藤正典(ないとう・まさのり)
1956年生まれ。同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。近著に『となりのイスラム』(ミシマ社)、『イスラームとの講和』(集英社新書/共著)など多数


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