次の消費増税は19年10月に予定されているが、正式な実施の決定は今年の12月初めまでに行なう必要がある。12月末の予算編成前に19年度にどれくらいの税収が入るかを試算しなければならないからだ。
その際、安倍政権はまたもや“増税延期”をぶち上げるのでは? というウワサもある。19年10月増税だと、その直前の夏の参議院選に悪影響を与えるという理由だ。
しかし、これは正しくない。なぜなら、増税前には駆け込み需要のピークが来るからだ。14年4月の8%への増税直前と同様、駆け込み消費で車や住宅、家電などの高級消費財が売れて、「スーパー好景気」のなかで選挙ができるのだ。そうなれば、安倍政権への好感度はもちろん上昇するだろう。それは、憲法改正案承認の弾みとなる。
だが、10月の増税後は反動減で消費は停滞、建築・土木関連の五輪特需は19年夏がピークとされており、その後は落ち込む。
ここまで考えると、あるシナリオが見えてくる。それが、スーパー好景気を利用した参議院選、改憲の国民投票と衆議院解散総選挙のトリプル実施だ。そんなことをやられたら、野党はとても十分な数の候補者を立てられない。
また、改憲を問う国民投票では、宣伝のための経費に上限がない。自民党は湯水のごとく金を使ってPRするだろう。それは改憲のためという名目だが、事実上、選挙活動にも使われる。自民党絶対有利の展開になるはずだ。
衆参同時勝利で改憲も成功となれば、一石三鳥。安倍総理の勢いは頂点に達するだろう。しかもその後、3年間は選挙がないから、日本を好きなように変えられる。その先には、21年の自民党総裁4選の目も出てくるだろう。
今年は森林環境税、出国税などの増税法案成立も控えている。まさに増税決定ラッシュの年となりそうだ。