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歌舞伎町命名から70年--町の礎をつくり上げた台湾人実業家たちの知られざる功績

[2018年01月16日]

「歌舞伎町にいた台湾人の多くが、終戦直後は新宿西口のヤミ市で商いをやっていました。そこがつながってるとは思いませんでしたね」と語る稲葉佳子氏

新宿・歌舞伎町。東京屈指の歓楽街として知られ、近年では「ゴジラヘッド」で有名な「TOHOシネマズ新宿」をはじめとする新商業施設が立ち、外国人観光客が訪れる観光名所としてもにぎわいを見せている。

その一方で、日本人にとってはバブル期からホストクラブや風俗店が立ち並ぶ色街としてのイメージも強く、また、その環境を取り巻く裏社会の存在によって、アウトローなイメージを抱かれやすい場所ともいえるだろう。現に、歌舞伎町一帯を舞台にした警察小説は数多く存在するし、人気アクションゲームシリーズの舞台の元にもなっている。

その歌舞伎町も、終戦直後は辺り一面が焼け野原であった。そして、その状態からヤミ市を形成し、後の「歌舞伎町」の街づくりに携わった台湾人がいたことは、ほとんど知られていない。

本書『台湾人の歌舞伎町―新宿、もうひとつの戦後史』には、戦後から高度経済成長期の歌舞伎町に娯楽施設や飲食店を造り上げた台湾人実業家たちの功績が、貴重な証言を元に書かれている。著者の稲葉佳子氏に聞いた。

* * *

―これまで新宿の大久保を中心に、研究をされてきましたが、歌舞伎町への興味はいつ頃から持たれたのでしょうか。

稲葉 元々はそれほど縁がありませんでした。初めて歌舞伎町を訪れたのは、2003年に「歌舞伎町を支えた華僑たち」という街歩きイベントに参加したときのこと。ちょうどその10年以上前から大久保で、外国人居住の調査をしていたんです。

バブル期、大久保には歌舞伎町で働くホステスが多く住んでいて、歌舞伎町のベッドタウン的な役割も果たしていました。歌舞伎町の景気の善し悪しが、大久保にある花屋やクリーニング屋の商売にも影響するほど、ふたつの街は関係性が強いのです。そこで「歌舞伎町についてもある程度知っておかなくてはならない」と思い、訪れることにしたのが始まりでした。

―歌舞伎町に的を絞った取材を始めたのはいつ頃から?

稲葉 2010年です。先に述べた街歩きイベントで、歌舞伎町を代表する商業施設を台湾人が造ったという話を聞いたときはとても驚きましたが、取材に取りかかるきっかけを得るまでには数年を要しました。

ある時、偶然再会した大学時代の先輩が、歌舞伎町の台湾人経営者とのつながりを持っていたんです。そこから台湾同郷協同組合を紹介してもらい、戦後の歌舞伎町で、どのような台湾の方たちが商売をされていたのか取材を始めるようになりました。

でも正直、初めの頃は組合の人たちからすれば、突然大学の非常勤講師と映画監督(青池憲司氏)がやって来て、お話を聞きたいと言われても、少々うさんくさい感じがしたと思います。足しげく通い、組合の30周年記念誌制作のお手伝いをするうちに、信頼関係ができていったと思います。

―戦前から今日までの歌舞伎町を知る人は、大変稀有(けう)な存在です。彼らから感じたことは?

稲葉 主に話を伺った黄進生(こう・しんせい)さんは、とても人柄の良い方でしたが、眼光はとても鋭かったことを覚えています。終戦と同時に台湾が日本の植民地でなくなったことによって、彼らは突如“第三国人”として扱われるようになりました。外国人が戦後の東京で成功していくには、彼らにしかわからない“様々な苦労”があったと思うんです。

とはいえ、ヤミ市で財を築き、歌舞伎町に進出してきた昭和30年代から40年代は、彼らにとって本当に楽しく豊かな時代だったのだと思います。黄進生さんは、ヤミ市で統制品を扱って、弱冠20代でアメ車を乗り回していたようで、その時代の話になると、つい昨日のことのように生き生きと語りだすんです。

その黄さんも、一昨年に90歳で亡くなられました。このタイミングで、彼らの生の声をまとめることができたことは本当によかったと思っています。


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