ジョーはポドルスキ以上のインパクトを残せるのではないかと思っていると語るセルジオ越後氏

Jリーグ各チームが、新シーズンに向けての補強を行なっている。注目は名古屋が獲得を発表した元ブラジル代表FWジョー。移籍金約12億円、年俸は3年総額約11億円ともいわれるビッグディールだ。日本での知名度は低いけど、191cmの長身ながらテクニックも兼ね備えた30歳のストライカー。過去には欧州の名門クラブでプレーした経験を持つ。ブラジル代表としても2014年ブラジルW杯に出場している。

一時期、ブラジルでは「一線を過ぎた選手」という評価を受けていたけど、昨年のブラジル全国選手権1部リーグで得点王とMVPをダブル受賞し、コリンチャンスの優勝に貢献。今では代表復帰を望む声も聞かれるほどに復活を遂げた。実力は折り紙付きだね。

名古屋は1年でJ1に復帰したものの、昨季と同じ戦力では厳しい。再びJ1で上位争いをするための目玉として考えているのだろう。クラブというか、親会社のトヨタ自動車がよくお金を出したね。

日本人DFは体格の大きいFWを苦手にしている。Jリーグではこれまでも長身の外国人ストライカーが多く成功を収めてきた。また、名古屋では昨季までシモビッチという長身FWがいただけに、ジョーも活躍を見込めるだろう。個人的には、昨季神戸に加入したポドルスキ以上のインパクトを残せるのではないかと思っている。

ジョーは性格的に問題があるともいわれ、実際これまで毎年のようにクラブを転々としている。でも、当然ながら名古屋もそれくらいはわかった上で獲得したはず。風間監督がどういう使い方をするのか、クラブとしてどうジョーをサポートするのか、お手並み拝見といきたい。

日本人では内田と大久保、ふたりの大物の“出戻り”が決まった。

まず、内田は8シーズンぶりに鹿島に復帰。昨夏移籍したドイツ2部(ウニオン・ベルリン)で十分な出番を得られなかったのだから、決していい状態ではないだろう。ロシアW杯出場はもちろん、鹿島でもすぐにレギュラー獲得とはいかないかもしれない。それでもまだ29歳。日本代表でも長年頑張ってくれた選手だし、古巣の鹿島でもうひと花咲かせて、Jリーグを盛り上げてほしい。期待して見守りたい。

欲しい選手がいるなら、たとえライバルチームだろうとオファーを出すのは当然

一方、わずか1年で川崎に復帰するのは大久保。批判を受けても、年俸が下がっても戻りたいというのだから、よほどFC東京の水が合わなかったのだろう。「このままこのチームに残ってもいいことはない」と。アジアチャンピオンズリーグを戦う川崎にとっては選手層を厚くでき、攻撃のバリエーションも増える。大久保本人にとっても悪くない選択だ。

最後に、G大阪が地元のライバル、C大阪の顔ともいえる柿谷の獲得を検討していたという報道について。実現はしなかったけれど、これは素晴らしいアイデアだね。今季からG大阪を率いるのは、過去にC大阪を率いたクルピ。そこでさらに柿谷まで獲りにいく。当然、両チームのファンの関心は高まる。欲しい選手がいるなら、たとえライバルチームだろうとオファーを出すのは当然。Jリーグではもっとこういう動きがあっていい。C大阪も対抗して、ドイツ2部でくすぶっている元G大阪の宇佐美(デュッセルドルフ)にオファーを出せばいいい。こういう話題の提供も、プロのエンターテインメントとしては必要なことだ。

(構成/渡辺達也)