シムケントのアイナバザールの精肉店でセルフィー!

キルギスを出発した私が、次に向かうのは再びカザフスタン

目指すのはウズベキスタンへの玄関口となる“シムケント”という名の街。(ついつい“志村けん”が浮かんでしまうのは私だけじゃないはず!)。

私は元自衛官の旅友と一緒に、21:30出発の長距離バスに乗り込んだ。2時間後、国境に到着した私たちはバスを降りて手続きを進めるが、カザフスタン側の入国が厳しくて、だいぶ時間がかかってしまった。

「バス待っててくれてるかしら…」

バックパックはバスに預けてあるので、置いて行かれたらアウト。私はハラハラしながらバスの元へ走った。すると、そこに乗ってきたはずのバスの姿はなかった。

「ヤバイ、置いてかれた…?」

サーっと血の気が引いた私は即刻パニックに陥り、近くにいた何かしらの制服を着た男に焦って訴えかけた。

「ねえ! バスは!? バス知らない!? カザフスタン行きのバス! 荷物がのってるの! バス! あ、ブス! オフトブス!」(ロシア語発音でバスはオフトブスと言う)

緊急時なのでブスという言葉に笑っている余裕もなく必死に問いかけると、ロシア語しか通じない男は苦々しい顔で遠くを指して手を払う仕草をした。

「えええ!? 出発しちゃった!? ブスに置いてかれた! どうしよう!」

ここからまだ300km以上あるのに、まさかこんな所に置いて行かれるとは…。自衛官の旅友はまだイミグレに捕まっているようで全然出てこない。ひとまず彼の元へ戻った。すると、元自衛官は(ヒゲ面が怪しまれたのだろうか)、こともあろうかこのタイミングで別室送りとなっていた。

私が血相を変えて大騒ぎしていると、ついに私も別室送り。

「まぁまぁ落ち着け、彼はキミのボーイフレンドかい?」

違います。

そんな質問はいいから早く解放してくれ。いくつか尋問を受けた後、怪しい者ではないことが証明できると、出入国管理官は「ところで日本人珍しいから一緒にセルフィーいい?」だって!

アルマトイの空港でも両替屋にセルフィーを求められたけど、カザフ人はセルフィー好きだな。そんなことをしている場合ではなかったが、私は彼のスマホにスマイル。

そして、もうどうでもよくなり「じゃあ、私のスマホでも撮っていい?」と聞くと、「俺は仕事中だからダメだ」だとさ!

だっふんだ。

さよならバス

バザールでモテモテ

別室から解放された私たちが途方に暮れ、歩いていると、なんとバスは遠く先のほうで待っていた。

「た、助かった~!」

精神的に疲れ果て、早朝のシムケントに到着すると、見どころのないこの街では特にすることもない。あるとすればサウナにカラオケ、バザールくらいだったので、私たちは買い出しをすることにした。

バザールのザクロジュース屋

インパクトのあるお肉売り場

お肉売り場のママが手際よく馬の肉を腸に詰めて、大きなソーセージを作っていた。愛想良く接してくれたので、「それ、小さいサイズも作れる? 400gくらいちょうだい!」と思わず衝動買いを楽しんでいると、私はいつの間にかセルフィーの嵐に囲まれていた。お肉売り場で働く男性たちだ。

「おまえさんは結婚しているかい? これはウチの息子たちだ。どうだい?

「キミは素敵だね! インスタやってる? 電話番号教えてよ!」

「セルフィーいい?」

バザールのソーセージ屋さん

愛想の良いお肉売り場のママ

馬肉ソーセージ400g。もっと大きいものばかり売っていたけど、小さいのを作ってもらいました

お肉売り場でセルフィーを求められる

めちゃくちゃ美味しいカザフ料理

なんだか急にモテモテ。さすが、お肉売りは肉食男子が多いな…なんて思いながら、私はソーセージを握りしめて宿へ帰った。

宿に戻ると、宿主のニーナが「あらー! これ買ったの? 調理に2時間かかるわよ! 仕方ない、作り方を教えてあげるわ!」

思いもよらず、カザフスタン料理を教えてもらえることになった。

とは言っても、腸をプスプスと針で穴を開けて2時間じっくり茹でるだけ。ラザニアのような平らな麺を茹で、でき上がったソーセージを小さく切ってのせた。

さあ、料理を始めるよ!

針で穴をあけて茹でるだけ

カザフスタン料理、でき上がり! 見た目はシンプル

そして、いよいよ実食。見た目はシンプルながら、これがなんとめちゃめちゃ美味しい!!!!

元々、味付けがされているのだろうか、程良い塩気と馬肉から出た旨味が効いた最高の味。スープは馬のコラーゲンたっぷりといった感じで、濃厚で一生飲んでいられる。

この料理は私にとって最高の味だった。

宿主ニーナさん、料理を教えてくれてありがとう!

こうして、大のお気に入りとなった馬肉ソーセージなのだが、これはカザフスタンだけでなくキルギスでもまた伝統料理として知られているそうだ。

そして、実はこの馬肉ソーセージを巡って、一昨年のちょうど今頃、キルギスでこんな事件が起きていた…。それは「現地の伝統食である馬肉ソーセージを馬の男性器になぞらえフェイスブックに投稿した英国人男性が、国外追放処分された」というもの。

ニュースによると、彼は「大みそか、キルギス人らが年末年始を祝うために“特別なごちそうである馬のペニス”を食べようと行列をつくっている」とフェイスブックに投稿。人種的憎悪を扇動した容疑で警察に身柄を拘束されていて、禁錮3~5年の刑が下される恐れがあったが、国外追放によって収監は免れたそうな。

そんな事件が起きていたとは露知らず、私は鍋一杯の極ウマ(馬)スープを飲み干したのだった。

【This week’s BLUE】カザフスタンキッズ!

★旅人マリーシャの世界一周紀行:第171回「中央アジアの『美人の条件』は、日本のあの人気キャラにそっくり!?」

●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】