国産車の中で最も輝いているホットハッチ、スズキ スイフトスポーツ

これはひっさびさに、河口まなぶが絶大なる自信を持ってオススメできる一台だ!と断言できるクルマが登場した。そう、スズキの新型スイフトスポーツだ。コイツは国産車の中で最も輝いているホットハッチ。

2016年にモデルチェンジで4代目となったスズキのスイフト。そのスポーツモデルであるスイフトスポーツが今年9月13日に新型へと切り替わった。このモデルは、トヨタのヴィッツやホンダのフィット、日産のノートなどがライバルとなる日本のコンパクトカーだが、スイフトスポーツは走りが群を抜く。

衝撃だったのが2005年に登場した2代目スイフトスポーツ。当時のスズキの副社長が欧州に行き、スズキの製品と欧州車を乗り比べ、その差に愕然とし、ここから指揮を執って誕生させたモデルなのだ。このクルマが登場するまで筆者や同業者は「スズキに操縦安定性はナシ!」なんて揶揄(やゆ)していたが、このモデルに乗ってひっくり返った。なぜならその走りはまるで欧州車! 気がつけばスイフトスポーツは日本のホットハッチの代名詞的存在になった。

そんな経緯を持つスイフトスポーツが新型になって登場。早速、試乗取材したが、今回のスイフトスポーツ最大のトピックは3ナンバーボディを得たことだろう。先代に比べて40mm拡大された全幅は173mmとなった。5ナンバーから3ナンバーになったことを嘆く声もあるが、近頃は3ナンバーで税金が上がることもない。

しかも新型スイフトシリーズの中でもこのスポーツだけが3ナンバーなのだが、ほかのスイフトと異なりウエストラインが張っていてとてもカッコいいのだ。実はこのボディ、海外で販売されているスイフトのもの。デザインは日本と海外でほぼ同じなのだが、海外向けはノーマルでも全幅が広がったワイドボディを採用しており、これを日本仕様のスイフトスポーツが採用しているってわけだ。

さらに! ボディがワイドになってカッコよくなったにもかかわらず、車両重量は先代よりも軽くなって、なんと1tを切る970kgを実現! そしてトピックはまだまだあって、実は今回からターボエンジンを採用しているのだ!

搭載エンジンは、ほかのモデルでも用いられるブースタージェットと呼ばれる1.4リットルの直列4気筒直噴ターボエンジン。最高出力は140 馬力とパワフルになった。要するに車重が軽くなり、エンジンはパワフルになったのだからその走りは最高。実際に走ってみると、まさに久々に膝を打つ出来栄えだった。

走りだしてまず印象的なのは、とにかく軽快な感覚のフットワーク。先代のスイフトスポーツと比べると明らかにハードな足回りが与えられており、段差などを通過する際にはビシッと衝撃が入ってくる。しかし、ハンドルを操作すると実に気持ちよくコーナリングしていくのだからタマらない!

1.4リットルの直噴ターボエンジンは、軽量となったボディをグイグイと加速させていく。3000回転も回っていれば最大トルクが生まれ、クルマを押し出す。そんな特性のエンジンを6速MTで操るのは極めて痛快! 走る楽しさや気持ち良さを、エンジンでも味わえるし、先に記したハンドリングでも存分に味わえる、そんな一台になっている。

2ペダルがこれまでのCVTから6速ATとなった!

●6速MT●全長×全幅×全高:3890mm×1735mm×1500mm●車両重量:970㎏●エンジン:1.4リットル直列4気筒DOHC16バルブ直噴ターボ● 駆動方式:FF● 最高出力:140PS●最大トルク:23.4kgm●最小回転半径:5.1m●使用燃料:無鉛プレミアムガソリン●JC08モード燃費:16.4㎞/リットル●車両本体価格:183万6000円(税込)~ 【SPEC】

さらに! 朗報なのは2ペダルがこれまでのCVTから6速ATとなったこと。これによって普段は滑らかな変速を味わえるし、ハンドルに与えられたパドルシフトを用いれば、MT的な操作も楽しめてしまうのだ。

まだまだトピックは終わらない! 今回は安全装備も充実しており、車線を逸脱しそうになったらアシストしてくれる機能や、最近トレンドの自動ブレーキ等もついているからいざというときも安心だ。それに加えて面白いのは、MT/AT問わず、アダプティブクルーズコントロールが選べてしまう。つまりスイフトスポーツは、希代のホットハッチながら、安全性能もバッチリ備えているという優等生でもある。

ちなみに価格も注目だ。最もベーシックな6速MTが183万6000円から! さらに6速ATで安全装備充実の最も高いモデルでも、205万円台と、諸費用込みで考えても最大で250万円程度で収まる素晴らしいコストパフォーマンスである。

クルマとして楽しく気持ちよく、そしてホットハッチとしての痛快さもある。その上、先進安全装備まで投入されているのだ。クルマ好きの男たちに自信を持って推せる一台である。

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河口まなぶ1970年生まれ、茨城県出身。日本大学藝術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌(モーターマガジン社)アルバイトを経て、自動車ジャーナリストに。毎週金曜22時からYouTube LIVEにて司会を務める番組『LOVECARS!TV!』がオンエア中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。