“美尻王子”としてメディアでも注目の竹田純氏が、バレエの動きを使ったリラックスメソッドを伝授!

寝て起きてもなんとなく疲れている…そんな経験はないだろうか。

特にこれから年度末に向け、また忙しくなる時期。そうした疲れはとっておきたいところ。そんな溜まった疲れをとるのが「バレックス」だ。一体、バレックスとはなんなのか?

人の疲れは2種類ある。ひとつめは日々動かす“身体の疲れ”。もうひとつが“脳の疲れ”だ。仕事だけでなく、人間関係やスマホを開けば目に入ってくる多くの情報も、脳に負荷を与える。

そうしたふたつの疲れを同時に解消するのが、バレエとリラックスを合わせた造語である、ストレッチメソッド「バレックス」なのだ。発案者は『疲れとりストレッチ バレックス』の著者・竹田純(たけだ・じゅん)氏。18歳で東京バレエ団に所属して以降、ヨーロッパを中心に各国のバレエ団で活躍するバレエダンサーだ。

「バレエって筋肉だけ使ってるって思われるかもしれないけど、振りも考えなきゃいけないし、演技も入ってくるから、すごい脳みそ使うんです。練習でも振り付け師の教え方がすごい速い。見てすぐ覚えなきゃボツだから、本当厳しいの」(竹田氏、以下同)

バレエは「踊る=身体」を使うというイメージだが、普通のスポーツとは違い、アスリートのように肉体を酷使しながらも、記憶や表現も必要。ましてや一流バレエ団ともなれば、当然、その速さについていかなければならない。本番だろうが練習だろうが毎日、頭をフル回転させなければならないのだ。

筋肉だけじゃなくて神経もバンバンに張っちゃって眠れない時もよくあって。オーディション前とか特に攻撃的になっちゃってるからね。疲れてるんですけど、次のバレエのことしか考えてないから神経が張っちゃって」

普段から「寝る前の2時間くらいは必ずリラックスタイムにする」という竹田氏。そのまま寝てしまうと脳が疲れているため、「全然いい眠りができない」そう。つまり、“脳がリラックス”していないと根本的な解決にならないと気付いたのだ。そこで生まれたのが「バレックス」だ。

「人の身体って、寝転がるとリラックスするための副交感神経が促されるんですよ。それが20分くらいは続くので、その間にストレッチをしてしまえば、脳も身体も休ませることができるんじゃないかなって。それに疲労状態だと身体を動かさないから筋肉が低下して肉体も錆びる(酸化する)から悪循環なんですよ」

普段、人は立ったり座っているだけで筋肉を使い、主に交感神経が作用している。一方で横になり脱力していると副交感神経の働きを促すようになるのだ。

モデルさんみたいにキレイで、脱ぐと筋肉がボンッ

また、体内では細胞を酸化させる「活性酵素」が発生しているが、それを打ち消す「抗酸化力」もあり、そのバランスを保つためには適度な運動も必要だ。運動不足だと、そのバランスが崩れ、身体の疲労に繋がる。寝転がり、副交感神経を作用させた状態でストレッチをすることで脳と身体、両方の疲労を取るのだ。

しかし、バレエというとY字バランスや開脚など、身体が柔らかくないとできないようなイメージ。普段、運動もしていない男性でもできるのか。

「そこは全然大丈夫(笑)。この本の担当編集者が何やっても悲鳴あげるくらい身体が硬くて、『それは無理!』って半分以上却下されてるので。だから身体の硬い人基準になってます(笑)。あと180度開脚することもないです。骨の可動域って大人になると決まっちゃうから、できない人もいるんですよ。やっちゃうと体痛めちゃう」

実際、著書には骨盤や腰、肩甲骨のストレッチがあるが、すべて柔軟性のない人でもできるもの。横に向いて寝転がった状態で片腕を伸ばす肩甲骨のストレッチや、仰向けで膝を曲げて回す骨盤周りのストレッチなどで、ストイックなものはない。

ただ、もうひとつ気になるのが、バレエを取り入れることによるメリット。普通のストレッチとはどう違うのか。

「バレエって意外と筋肉もりもりで、裏側の筋肉を伸ばしたりするんです。それに超スローモーションで伸ばすから全身、キレイな形になります。ジムで鍛えて作る筋肉だと横に大きくなるけど、それとは違って、見た感じはスーツが似合うモデルさんみたいにキレイで、脱ぐと筋肉がボンッってあるような感じかな」

バレエダンサーに必要なのは筋骨隆々な肉体ではなく、彫刻のように全身筋肉がありつつも、やや細身な身体。バレックスは身体と脳の疲れをとりながら、きれいな肉体作りができるという。

そこで、後編(1月31日配信予定)では、よりよい眠りにつくためのストレッチや骨盤周りの他、デスクワークの多い人向けの仕事中でもできるストレッチなどを紹介する!

★後編⇒股関節の“開放”で深睡眠力アップ! 脳と体を同時にリラックスさせるストレッチ

股関節周りのストレッチ。詳しいやり方は次週!

(取材・文/鯨井隆正 撮影/下城英悟)

●竹田純(たけだ・じゅん)バレエダンサー。17歳のときにバレエを始める。18歳で東京バレエ団に所属。2003年にフランスに単身留学。国立バレエ学校で学び、リモージュ歌劇場、スロバキア国立劇場、オランダ国立劇場など数々のバレエ団で研鑽を積む。その後、健康や美容につながるメソッドの他、床に寝ながら行うバレエ式エクササイズの「床バレエ」を考案。

■『疲れとりストレッチ バレックス』(世界文化社、1,380円+税)竹田純著、倉恒弘彦監修(関西福祉科学大学健康福祉学部 医学博士)