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150周年の「明治維新」礼賛ブームに潜む危険…憲法改正にも影響を与える?

[2018年01月25日]

「明治維新礼賛」ともいえる空気が広まる中、日本を「再び偉大な国にする」ことが本当に必要なのでしょうか?と語るマクニール氏

今年は、日本が近代国家への歩みを始めた「明治維新」から150周年。国や自治体、民間で様々な記念事業が催され、NHK大河ドラマ『西郷(せご)どん』の放送も開始されるなど、「明治ブーム」が起こっている。

この明治ブーム、外国人記者の目にはどう映っているのか? 「週プレ外国人記者クラブ」第105回は、英紙「エコノミスト」などに寄稿するアイルランド出身のジャーナリスト、デイヴィッド・マクニール氏に話を聞いた──。

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─政府は内閣官房に「明治150年」関連施策推進室を設け、関連イベントを積極的に支援していく方針のようです。「明治維新礼賛」のようにも見えるこの現象を、マクニールさんはどう見ていますか?

マクニール 日本人の間で実際に「明治維新ブーム」が起きているかどうかはわかりませんが、内閣官房のホームページや安倍首相の「年頭所感」を見れば、政府がこの「明治150年」を積極的にアピールしようとしていることは間違いないでしょう。

安倍首相は年頭所感の中で、明治維新が起きた150年前、西洋列強の帝国主義によって植民地化の危機に瀕(ひん)していた日本の状況を「国難とも呼ぶべき危機」と表現しています。この「国難」という言葉が、昨年の衆議院解散総選挙の際に使った「国難」と同じであることは偶然ではないと思います。

安倍首相は少子高齢化や経済の停滞、拡大する中国の影響力や北朝鮮の脅威など、多くの問題を抱える今の日本は明治維新の時代と同じような「国難」に直面していると言いたいのでしょう。そして、その解決のための知恵を「明治の日本」から学び、「国民はひとつにまとまるべきだ」と強調したいのではないでしょうか。

もちろん、西洋の帝国主義から独立を守り、急激な近代化、産業化を成し遂げた明治維新や明治時代というものが、この国の歴史にとってポジティブな「誇らしいもの」であることは理解できます。そうした明治の日本人たちの努力によって、日本はアジアで最初の大国となり、経済的にも政治的にも国際社会で大きな存在感を持つようになった。

ただし、歴史というものは単純ではなく、「ポジティブな側面」があれば、そこには例外なく「ネガティブな側面」もある。当然、明治時代の全てが「良いこと」であるはずがありません。例えば、明治憲法下の日本では国民、特に女性に与えられた権利は、現行憲法と比べれば、はるかに限定的なものでした。

歴史の評価というものは、それを見る「立場」によっても異なるものです。例えば、2015年に「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録された長崎県の端島(通称・軍艦島)は、日本にとっては近代化を象徴するポジティブな意味を持ちますが、韓国から見れば日本統治時代に韓国人が強制徴用された「負の遺産」です。

また、明治時代の体制にその後の軍国主義に繋がる「種」が仕込まれていたことを考えても、明治時代全体を単純に「ポジティブなもの」と捉(とら)えて国を挙げて礼賛することは、「歴史の多面性」という観点から見ても無理があると思います。


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