氷水の入った水槽に胸まで浸かり、腹の前で両手を組みながら心と霊魂を浄化統一させる参加者たち。体が小刻みに震えていても、声だけは太く真っすぐに伸びていた!!

純白のふんどしを締めた男たちの威勢のいいかけ声が響きわたる。

1月14日、東京都中央区の鐵砲洲(てっぽうず)稲荷神社で、新年の神事「第63回 寒中水浴大会」が行なわれた。

寒空の下、氷柱が入った冷水の水槽に浸かることで心身を清め、その年の無病息災を祈願するというこの“寒中禊(かんちゅうみそぎ)”。例年、100人前後のツワモノたちが殺到する名物行事となっている。

鬨(とき)の声にも似た雄たけびを上げて次々と極寒の水槽に入っていく漢(おとこ)たち。「寒い!」「冷たい!」といった弱音を見せる者はひとりとしていない。それでこそ漢! インフルエンザなんてクソくらえだっ!

「年々、遠方からの参加者も増え、今年は北海道や九州、さらにはハワイからも参加者がいらっしゃいました。どうやら最近は全国の寒中禊を巡るマニアの方もいるみたいなんです」(運営関係者)

今年は、下は10歳から上は82歳まで計93人の参加者たちが無事に禊を終えたが、今後も「禊スト」たちがじわじわ増殖の予感?

例年2本が投入される氷柱はこんなにも大きい。4本投入した年もあったそうだが、冷たすぎて2本に戻された

額にかざした2本の指を地面に振りかざし、邪気を斬る「雄詰(おころび)行事」

舟をこぐような準備運動「鳥船行事」。指導の篠直嗣宮司から「声が小さい!」と檄が飛ぶ

(撮影/五十嵐和博)