秘書たちはフレンドリーだが、中村議員本人はこちらの挨拶に会釈はしても終始無言……

「センセイ、ひと言だけでもコメントを下さい!」

「……」

1月13日。記者の呼びかけにペコリと頭を下げたものの、それきり無言。まさに完全黙秘で車に乗り込んだのは、茨城7区で勝ち続ける“最強の無所属”こと中村喜四郎衆議院議員(68歳・当選14回)。

これに先立つ1月10日。中村議員は民進党籍の議員らで作る衆院会派「無所属の会」(岡田克也代表)に入会。記者はその理由を聞こうと直撃したが、終始無言を貫いた。

中村議員は1994年に起きたゼネコン汚職事件で自民党を離党。現職のまま逮捕され、140日の拘置期間中、完全黙秘で供述調書を一通も作成させなかった伝説の人物だ。マスコミには冷たいが、演説は熱くて長い。昨年の総選挙ではこんな演説をしていた。

「私たちの国はどんどん厳しい方向に向かっております。なんとしても止めなくちゃなんない。どう止めるか。私は『党より人』という連合を作ろうと呼びかけております」

いよいよ動き始めた“完黙の男”。口を開く日も近い?

衆議院の防災服に身を包んで地元の八千代町消防出初式に出席した中村議員。胸には航空自衛隊第302飛行隊(百里基地)のワッペン

週末は「党より人」と大書きされた車で必ず地元で政治活動。これが選挙の強さの秘密

(取材・文・撮影/畠山理仁)