フルモデルジェンジとなった日産 リーフG。

新型リーフの国内発売日であった昨年10月2日は、無資格検査問題による西川廣人(ひろと)社長の謝罪会見の日とモロかぶりとなった。そんな出はなをくじかれた感のある2代目リーフを試乗してきた。

進化のポイントは大きく分けて4つ。まずひとつ目はバッテリーが容量アップして旧型の30kWhから40kWhとなり、航続距離はJC08モードで400kmを実現した。そしてふたつ目はeペダルと呼ばれる、アクセル操作だけで発進と停止が可能な機構を備えたこと。そして3つ目はプロパイロットパーキングと呼ばれる、ボタン操作ひとつで自動駐車する機能が採用されたこと。そして4つ目が高速道路の同一車線自動運転技術であるプロパイロットを備えた。

実は今回のリーフ、プラットフォームは初代のものを用いている。ボディパネルも前後のドアも初代と共通。しかしながら、そのデザインは完全に新たなものへと生まれ変わった。最近の日産のテーマであるVモーショングリルを備え、フローティングしたように見えるルーフのデザイン、そしてブーメラン型のテールランプなど、ほかの日産車との共通性をうまくつくり上げている。インテリアに関しては、個人的にもう少し大画面の液晶が欲しかったと思うが、メーターなどは未来感の漂うイマドキさだ。

早速、走らせてみる。まず印象的なのが静粛性の高さ。リーフはもともと電気自動車だけにエンジンがなく、その分騒音や振動が少なかったので以前から静かだった。しかし新型ではさらに遮音材や制振材を増やしたほか、遮音材が入ったフロントガラスなどを採用した結果、メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズと同等の静粛性を実現したという。事実、走らせると本当に静か。静かすぎて周囲を走るクルマの音が逆に気になるレベルである。

さらに乗り心地に関しても、先代比で大きく成長を果たしている。プラットフォームは初代と同じだが、サスペンションはリファインされて路面を滑らかにとらえるようになっている。

こんな具合なので、走らせると実にスムーズで感動を覚える。搭載されるモーターが、初代よりもパワーアップしており、最高出力150PSを発生する。実際に走らせると、まず走りだしが滑らかで力強い。そしてグイグイと継ぎ目なく加速していくさまは、まさにモーターならではの力強さ。しかも瞬時に最大トルクを生み出すことができるために、ガソリン車のハイパワーとは異なる、最初からすぐに力強い感覚が手に入るのだ。その加速感を一度味わうと、本当に驚くはず。なぜならその力強さの一方で、車内は静か。エンジン車ならばエンジンの回転上昇音が響き渡るが、リーフはわずかにヒューンという音が聞こえるのみなのだ。

高速道路でプロパイロットを起動させて、前走車に追従して走らせてみる。このとき、ドライバーはアクセルもブレーキも操作不要。ある程度のカーブならばハンドルも車線に沿って動かしてくれるので手を添えているだけでいい。こんな具合だから渋滞時はラクチンかつ安心。

また、駐車場での駐車が苦手な人は、プロパイロットパーキングを用いれば、ボタン操作だけで駐車可能。アクセル、ブレーキ、ハンドルとすべての操作をクルマが行なってくれ、さらに駐車が終わったらパーキングブレーキもかけてくれるのだ。

電気自動車なのに走りもかなりイケる口!

●9速AT●全長×全幅×全高:4480mm× 1790mm×154mm●車両重量:1520kg●モーター種類:EM57●駆動方式:FF●総電量:40kWh●最高出力:150PS●最大トルク:32.6kgm●最小回転半径:5.4m●JC08航続距離:400km●車両本体価格:399万600円(税込) 【SPEC】

そして街中など普段の走行で威力を発揮するのがeペダル。アクセル操作だけで発進と停止ができてしまう。どういう仕組みかというと、電気自動車はモーターで走るわけだが、アクセルをオフにしたときには減速エネルギーを使ってモーターで発電して電気を回収できる。これが「回生」といわれるもの。この回生時に抵抗が生まれるのを利用してブレーキ代わりに使う。これが、いわゆる回生ブレーキという仕組みだ。

さらにリーフは電気自動車なのに走りもかなりイケる口。実際にワインディングで走ったが、まずはカーブからの脱出で力が強くスムーズに加速するし、先のeペダルを使えばワインディングでもアクセルペダルだけで気持ちよく走れる。足回りも先代以上に走り志向になり、滑らかなコーナーリングを披露!

といった具合にいいとこ満載のリーフだが、普通充電が約8時間、急速充電は80%充電するのに約40分と初代より10分長くなっている。ただ、実際にフル充電した状態で表示される航続可能距離は280km程度となる。全300kmの行程ならば一回の急速充電で初代より余裕あるドライブが楽しめる!

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河口まなぶ1970年生まれ、茨城県出身。日本大学藝術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌(モーターマガジン社)アルバイトを経て自動車ジャーナリスト。毎週金曜22時からYouTube LIVEにて司会を務める『LOVECARS!TV!』がオンエア中。02年から日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。