週プレNEWS TOP 連載コラム 週プレ外国人記者クラブ 今、最も「?」な隣国を理解するための『韓国のリベラル/保守』闘争史

連載コラム

今、最も「?」な隣国を理解するための『韓国のリベラル/保守』闘争史

[2018年02月01日]

朝鮮戦争を機に生まれた韓国における「リベラル」と「保守」の対立の歴史を解説する国際法学者の金惠京氏(撮影/細野晋司)

「最終的かつ不可逆的」だったはずの慰安婦問題に関する日韓合意を見直す一方で、核・ミサイル開発で世界に脅威を与える北朝鮮に対しては融和姿勢を示す韓国に「?」と感じている人は少なくないだろう。

そこで「週プレ外国人記者クラブ」第106回は、「韓国におけるリベラル/保守」の対立軸、その歴史を通して現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権を読み解いてみたい。ソウル出身の国際法学者で、様々なメディアで活躍する金惠京(キム・ヘギョン)氏に聞いた――。

***

―今回は「韓国におけるリベラル/保守」についてご解説いただければと思います。とはいえ、保守とリベラルそれぞれの主義主張は国ごとに微妙に違うのが現実。まずは韓国の歴史からそれぞれの陣営の成立過程を教えてください。

 第2次世界大戦の終結後、つまり日本による植民地支配から解放された直後の韓国では「新たな国づくり」に向けて右から左まで多様な政治思想が入り乱れ、群雄割拠といった状況がありました。

例えば、後に軍事クーデターによって政権を奪取することになる朴正煕(パク・チョンヒ)は韓国の政治史において保守派の代表格ですが、第2次世界大戦終結直後には一時期、共産党に所属していたこともあります。逆に、朴正煕のライバルとして知られるリベラル派の金大中(キム・デジュン)は右派の政治グループに所属していました。この時期は韓国という国家、そして国民ひとりひとりが政治的アイデンティティを確立しようともがいていた期間だったのでしょう。

そして、1950年に勃発した朝鮮戦争を経て、朝鮮半島は北緯38度の停戦ラインを挟んで韓国と北朝鮮に分断されたわけですが、この民族的悲劇は韓国で「リベラル」が誕生するきっかけともなりました。

韓国のリベラルとはどういうものかというと、主に以下の3つの性格を持つものと捉(とら)えることができます。

①分断を生んだ米国に対する批判 ②民主主義重視 ③社会主義とは距離を置く

米国に対して批判的な感情を持ちながらも、冷戦構造の中で社会主義とは距離を置くというスタンスは韓国の持つ特異な事情を表しています。それは建国後、法律の根幹をなす刑法や民法よりも先に反共のための治安立法である「国家保安法」が作られたという歴史的事実からもわかります。

その後、軍事クーデターによって朴正煕が権力を掌握し、1963年には大統領に就任します。朴正煕政権は「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長を実現した反面、「軍事独裁」あるいは「開発独裁」という性格が強く、韓国国民の声は政治の中枢に全く届きませんでした。

朴大統領は政治経済共に自らの意思にそぐわないものは切り捨て、効率を第一に突き詰めていきました。一方、リベラル派は先ほど挙げた「民主主義重視」の姿勢を取ったことで、1960年代に韓国における保守とリベラルの対立枠組みは確立したのです。

─朴正煕元大統領は右派・保守派であったと同時に親米・親日路線の政治家でもありました。このあたりも、今の常識からするとわかりづらいかもしれませんね。今の日本で、特にネット右翼と呼ばれる人たちは嫌韓・反中の姿勢を明確にしていますが、冷戦時代の日本の右翼は反共の立場から親韓国・反北朝鮮でした。

 そうですね。韓国が根っからの反日で、歴史問題に激しく言及し続けてきたならば、歴史的経緯を重視する保守派が現在の慰安婦問題の旗振り役を担っているはずです。しかし、朴正煕元大統領は国民の反対を独裁的な手法で押し切って1965年に日韓基本条約を結ぶなど、日本との関係を重視しました。そうした手法は当時の日本の保守派とも相通じるものがあり、両者の関係は良好でした。


ジャンプ50周年展VRはこちら!

連載コラム

Column

連載コラムを見る

Back Number

  • Mar. 5th 2018 no.10
  • Feb. 26th 2O18 no.9
  • Feb. 19th 2O18 no.8
  • Feb.12th 2O18 no.7

 

Gravure Gallery

もっと見る

MOVIE Channel

【動画】鈴木友菜、グラビア界に天使現る。

もっと見る

新刊のお知らせ

  • 小宮有紗『Majestic』
  • 飯豊まりえ『NO GAZPACHO』
  • 『クルマプレイボーイ』
  • 『週プレ グラビアスペシャル増刊 NEW YEAR2018』
  • 『乃木坂46×週刊プレイボーイ2017』

 

プレイボーイコミックス

メルマガ会員&アンケート 2018年No.10