女優として活躍の場を広げる片山萌美がフェチの淫靡な世界に体当たりで熱演！「ＴＡＮＩＺＡＫＩ ＴＲＩＢＵＴＥ」と銘打たれた、３人の映画監督が文豪・谷崎潤一郎の短編を独自にセレクト、映画化するコラボ競作が順次公開されている。
その中の一遍、『富美子の足』（ウエダアツシ監督）が２月１０日（土）よりテアトル新宿で上映。主演はグラビアでも大反響を呼び、女優として活躍の場を広げる片山萌美だ。
谷崎の耽美で官能的なフェチの世界を現代に置き換え、“歪（ゆが）んだ純愛”を新感覚で描くというこの企画だが、彼女が演じるのは、尋常ならざる“足への偏愛”から富豪の老人・塚越（でんでん）が死を目前に見初めた女・富美子。
遺産を譲られることを条件に同居し世話をする傍ら、足を愛でられた挙げ句、フィギュア作家・野田（淵上泰史）によって、その等身大美脚を制作されることになるが…。
個性際立つ名脇役・でんでんと、注目の演技派・淵上との三竦（すく）みで淫靡（いんび）なエロティシズムを体現。初の濡れ場にも挑み、クライマックスでは壮絶な修羅場まで、呆然の熱演を見せてくれた彼女に独占直撃インタビュー！
―早速ですが、足で魅せなきゃいけないという、この役のお話がきた時、どうでした？
片山 え、私？と。自分の足がキレイとは思ってなかったんで、特に気も遣ってないし。だから、まずいぞと（笑）。
―いやいや、グラビアでは足も美しいなという印象でしたよ。めっちゃ長いしすらっとね。
片山 本当ですか？ でも突然、谷崎（潤一郎）さんの原案で、足がたくさん映されて、舐（な）められます、人蹴りますって…足フェチのお話で。そこをフューチャーして撮られるなら、もうちょっと細くしたいしと思って。クリーム塗るようにしたり、あと爪もキレイにしたし。初めてネイルサロンも行きました。
―胸やスタイルはもちろん、周りからしたら羨（うらや）ましいだけですが（苦笑）、以前のインタビューでも「自分ではコンプレックスばかり」と話してましたよね。
片山 そうですよ！ だから、本当に大丈夫かな？って。正直、どこまで映るのかも撮らないとわかんないんで。心配だなって。
―そこまでまじまじと足をアップでなんてことは、なかなか生きててないですよね。
片山 下から上に舐（な）められるシーンとかいっぱいあるけど、もう足ばっかりですからね。ほんと、ビューティー系のＣＭこないかな？ これ観て、イケますよって（笑）。
本当に死んじゃうんじゃないか？って…
―あははは。それにしても、やっぱり一番ド肝を抜かれたのは、ベテラン俳優のでんでんさんにそこまで蹴りを入れるか！？っていう…。
片山 そうですよね（笑）。ほんと、私もここまででんでんさんを蹴る日がくるとは思いませんでしたよー。
―前代未聞というか、すごいなって。顔を踏みつけにして、あんだけ悶絶させてるって…。
片山 でんでんさんって『冷たい熱帯魚』での狂気な役とかもだし、ご自分がやられるほうだったじゃないですか？ だから、ありえないというか…ありがたい経験ですよね。
―でも演技とはいえ、振り切れていないとあそこまでできないのでは？
片山 本当に変なとこ入ったら死んじゃうんじゃないか？って真剣に思いました。だから蹴る練習はしたんですよ。ちゃんとした演技指導の人がいらっしゃって、どうやったら本当に蹴ってるように見えるかとか。
ただ、この富美子も慣れてるコじゃないからってことで、やってて本当に入っちゃう時もあるし。何回も撮ってると、振り切れた時と振り切れなかった時もあるんで…。申し訳ないやら悔しい気持ちやら、もういろいろあって。
―役柄そのものパニック状態で、リアルに入り込めば入り込むほどね。
片山 でもほんと、何よりも死ななくてよかったって気持ちが。でんでんさん当人からは、もっとやっても大丈夫だよ、気にしないでって言っていただけましたけど（笑）。
―実際、一生でこんなに人のことを足蹴にすることも…そういう趣味でもなければ経験しないと思いますが（苦笑）。
片山 ねぇ（笑）。でも顔をぐにゅって踏むのって難しいんです。人の顔って、やっぱり柔らかいんですよね。だから力の入れ具合とか、人を踏むってすごく難しいし大変なんだなって思いました。
初の濡れ場にも挑戦「かなり不安でした」
―なんか深いですね（笑）。でもそれだけ迫真のシーンで。そのでんでんさんの演技がまたすごいから、あの顔を見てたら演技じゃなく、本当に憎たらしく踏みつけにしたい気に煽（あお）られるのかなって。
片山 最後、「おまえにやる金はない！」って血をはきながら耳元で言われるんですよね。すっごいイラっというか、わかんない感情がどわっと流れ込んでくるのがすごくて、あそこから本当にうわーってなって。あれがあったから最後の踏みつけの後の顔ができたんだろうなって思いました。
―やっぱり相手役とか共演者ありきという。それで引き出されたり影響されてね。
片山 濃かったです。本当に濃かった。とにかく影響されてましたね。でんでんさんはどんどん塚越になっていくのがすごかったし。淵上さんも振り切って、あそこまで犬になれるのがすごいなって。色っぽいだけじゃなく、逆にそれがカッコよく見えました。
―その中で、谷崎原案のフェチな官能世界を描くのに初の濡れ場にも挑みましたよね。不安や迷いは当然でしょうが、覚悟を決めて？
片山 かなり不安でした。谷崎さんの作品で、しかもメインでやることへのプレッシャーもあったし、本当に緊張というか。どうやったらできるんだろうってずっと悩んで、それを打破できるものもなく…ただもう、本番に入って必死にくらいついていったのが本音ですね。
●後編⇒“歪んだ偏愛フェチ”の世界で女優・片山萌美が官能シーンを晒した！「一生ないかも？って経験だった…」
（取材／週プレＮＥＷＳ編集部 撮影／五十嵐和博）
●片山萌美 ＫＡＴＡＹＡＭＡ ＭＯＥＭＩ１９９０年、東京都生まれ。舞台を中心に活躍後、グラビアでも大反響となり、ドラマ・映画も多数出演。最新情報はブログにてhttps://ameblo.jp/00000z/
◆『富美子の足』はテアトル新宿にて２月１０日より公開。「ＴＡＮＩＺＡＫＩ ＴＲＩＢＵＴＥ」第１弾『神と人との間』（内田英治監督、出演･渋川清彦、戸次重幸、内田慈）は上映終了、第３弾『悪魔』（藤井道人監督、出演･吉村界人、大野いと、前田公輝）は同劇場にて２月２４日より公開予定。