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日本製品が北朝鮮にダダ漏れ!? 元国連委員が明かす「制裁は抜け穴だらけだ!」

[2018年02月13日]

―えっ!? 本当ですか?

古川 例えば、15年3月10日に北朝鮮の制裁対象企業が運行する「ヒチョン号」が、荒天を理由に鳥取県境港の沖合5kmの海域に停泊したことがありました。本来なら日本政府はヒチョン号を資産凍結措置にすべきでしたが、船舶を差し押さえるための国内法がなく、3日後にリリースしてしまったんです。

―驚きました。安倍首相は国連で北朝鮮への圧力強化を世界に訴えています。日本は対北制裁に最も熱心な国のはずですが……。

古川 今も日本製品は北朝鮮にダダ漏れです。06年以降、単独制裁を強化し、日朝貿易は全面中止になっているはずなのに、いまだに北朝鮮には日本製品があふれている。17年9月に北朝鮮が6度目の核実験を強行し、安倍首相が「最大限の対北圧力を加える」とぶち上げたときでさえ、その数日後に生産されたばかりの岩手産の醤油や神戸・灘産の日本酒が平壌のデパートに陳列されていたほどです。その「不都合な事実」に日本国民はおろか、自民党の政治家でさえ気づいていないんです。

―国連の制裁は効かないということですか?

古川 いいえ。制裁そのものは決議を重ねるごとに充実しています。以前は核ミサイル開発に必要な資金や物資の流れを断つ「ターゲット制裁」でしたが、今は外貨収入などを根こそぎ断つ「経済封鎖」へと徐々に移行しており、確実に効果を上げています。だからこそ、国連加盟国が国内法などを整備し、さらに北朝鮮に圧力をかけ続けることが大切なんです。

―ただ、あまりに強い圧力をかけると北朝鮮が暴発し、米朝の戦争にエスカレートしませんか? 日本にも甚大な被害が及びかねません。

古川 国連の制裁は戦争のために行なうのではありません。あくまでも対象国に「自分の行動に理がない」と悟らせ、外交交渉の席に着いてもらうことで問題を解決するために行なうんです。そもそも、制裁だけで大量破壊兵器の廃棄が実現した例はありません。必ず外交的対話、または武力行使とセットです。前者はイラン、リビア、後者ではイラクのケースがあります。

もし米朝戦争が始まってしまったら、その戦争に日本も巻き込まれるリスクは大です。ならば、日本は制裁と外交的アプローチの組み合わせを追求すべきでしょう。実際、トランプ米大統領は北朝鮮への武力行使を検討しているフシがある。日本は圧力を強化すると同時に、米朝対話に向けた外交戦略を具体的に詰めるべきでしょう。

ただ、日本では「制裁だけで北朝鮮に核ミサイルを放棄させることができる」という声が強く、ちょっと心配しています。この本を読んで、制裁とその先に待つ外交的交渉の重要性を理解してもらえるとうれしいですね。

(インタビュー・文/姜誠 撮影/岡倉禎志)

●古川勝久(ふるかわ・かつひさ)
1966年生まれ、シンガポール出身。90年、慶應義塾大学経済学部卒業。日本鋼管株式会社勤務後、93年より平成維新の会事務局スタッフとして勤務。98年、米ハーバード大学ケネディ政治行政大学院(国際関係論・安全保障政策)にて修士号取得、2004年から11年まで科学技術振興機構社会技術研究開発センター主任研究員を務める

■『北朝鮮 核の資金源「国連捜査」秘録』
(新潮社、定価1700円+税)
国連による北朝鮮制裁の最前線で4年半にわたって捜査にあたった著者。そこで目にしたのは国連制裁の「抜け穴だらけ」の実態だ。本書では、中国とロシアによる妨害をはじめ、制裁を巧みにすり抜ける北朝鮮シンジケートの全貌、また制裁を率先して履行するはずの日本までもがしっかりとした国内体制が整っていないことを指摘
北朝鮮核の資金源


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