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前川喜平ロングインタビュー 「教育無償化」が単なるバラ撒きにならないために必要なこととは?

[2018年02月14日]

昨年、「加計学園問題」で一躍、時の人となった前文部科学事務次官の前川喜平氏が考える「本当の教育無償化」とは?

昨年の衆院選で自民党は「教育無償化」を公約のひとつに掲げて圧勝した。これまで民進党などの野党が訴えていた政策が突如、与党の選挙公約になったことにも驚かされたが、具体的な財源の見通しもなく先行きは不透明だ。

経済格差の拡大が深刻な社会問題になっている現在、教育行政がすべきことはなんなのか? 「加計学園問題」で一躍、時の人となり、昨年11月に『これからの日本、これからの教育』(ちくま新書)を上梓した前文部科学事務次官の前川喜平氏に聞いた――。

***

―大学や専門学校などの「高等教育」無償化による「教育の機会均等」が格差縮小に寄与するものは大きいと思いますが、こうした動きをどのように見ていますか?

前川 安倍政権の教育無償化政策は、単なるバラ撒きによる人気取りのようなニオイもしますが、大学と専門学校を合わせた高等教育の進学率が約80%に達している今、教育費負担を軽減して誰でも高等教育を受けられるようにするという基本的な方向性は正しいと思います。

富裕層と貧困層の資産や所得の格差は拡大する一方です。高等教育の分野でも、所得の再分配で格差を縮小するための政策がもっとしっかり行なわれる必要があります。

その意味でいうと、「高校教育」に関していえば、かなり環境は整ってきている。民主党政権下でいわゆる「高校無償化」が実現し、その後、自公政権に戻った時に一律無償化から「所得制限」(年収910万円以上の世帯には就学支援金を出さない)という、ちょっと問題のある制度変更があったのですが、プラスの部分としては、生活保護受給世帯や非課税世帯に対して教科書や学用品費、通学用品費、校外活動費など、授業料以外の経費を支援する「奨学給付金」が制度化されました。

もちろん現状ではまだ不十分で今後、制度をさらに充実させていく必要があるけれど、少なくとも高校に関しては、経済的な理由でドロップアウトするというケースはほとんどなくなっていくだろうと思います。

―では、大学などの高等教育の無償化が単なるバラ撒きになるか、本当に実のある政策になるか、その分岐点はどこにあるのでしょう?

前川 「希望者全入」という体制をどこまで取るか、そことの兼ね合いだと思います。「学費を無償にする」ことと「教育費を支援する」ことは意味が違うんです。無償にするということは国民全員に対して確実に学びを保障することであり、学びたい人は誰でも必ずどこかの学校に入れる環境を整えなくてはいけない。これが「希望者全入」の考え方です。先ほど言ったように、高校に関してはそれが実現しつつある。

ただ、大学や専門学校も高校と同じように「希望者全入」を目指すのか…というのは、まだ議論があるところだと思います。例えば、私が高校に進学した1970年代は高校進学率は90%になるかならないかという時代でした。中卒で働く人も一定数はいた。地方から就職列車に乗って子供たちが上京してきて町工場に雇われていくような。『あゝ上野駅』なんて歌があった頃ですからね。

─まさに、去年の朝ドラ『ひよっこ』の世界ですね!

前川 その時代には「高校無償化」なんて、ありえない話だった。つまり、15歳で働く子供もいるのに、高校に通える、ある意味、恵まれた人たちの学費を国費負担で無償にするというのはおかしなことだった。繰り返しますが、無償化というのは必ず希望者全入を求める制度なんです。そういう環境を公的に支えることの一歩先には義務教育化があるんですね。だから、義務教育化を視野に入れて、無償化政策を考えていくことが必要なんです。


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