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前川喜平ロングインタビュー 「教育無償化」が単なるバラ撒きにならないために必要なこととは?

[2018年02月14日]

高等教育該当世代の子供がいる家庭は63万円の控除が受けられるが、これは「金持ち優遇になっている」と問題視する前川氏

高等教育該当世代の子供がいる家庭は63万円の控除が受けられるが、これは「金持ち優遇になっている」と問題視する前川氏

―小中学校の義務教育とは違って、高校や大学や専門学校に「行きたい」と思えば誰でも行ける環境を整えるけれど、「別に行きたくない」と思うなら行かなくてもいいと。

前川 そうです。中学を卒業したらパティシエの修行がしたいんだという人がいれば、それはそれでいいんです。でも、自分は高校、あるいは大学に行きたいという人は必ず行ける環境を整えるというのが本当の無償化です。

大学、専門学校といった高等教育に関しては、まだ「無償化」≒「希望者全入」という制度を目指す段階にはない気がするんですね。とりあえずは、少なくとも経済的理由で進学を諦めることがないようにする環境を整えるところから取り組むべきじゃないかと。

―経済的な理由で進学を諦めざるを得ない人たちをどう支えるかという制度設計が、教育による格差拡大を防ぐための鍵だと思うのですが、これも非常に難しいところがあって。例えば、ヨーロッパ諸国では基本的に大学まで、公立であれば教育は無償という国が多い。でも日本の場合、この厳しい財政状況の中ではヨーロッパ型のような高等教育の無償化はおろか、充実した教育費支援を実現するのも難しそうです。

前川 その点でいうと、私は「教育費負担という領域の中での所得再分配」が必要だと思っているんです。つまり、高等教育に関しては富裕層から財源を持ってきて、貧困層の教育費に回すという。

─つまり、財政全体じゃなくて、教育費の枠に限った形での富の再分配の仕組みを別途作るということですか?

前川 私はそれがいいと思っているんですよ。例えば、国立大学は年間の授業料を50万円とか60万円に設定しているけれど、貧困層に対してはその負担を軽減して、その分、富裕層の授業料を上げてもいいと思います。こういうポリシーを各大学が取ることは可能ですよね。これは言ってみれば「大学の授業料」という枠の中での所得再分配。持てる者から取って、持たざる者に還元する仕組みです。

一方、これは少しややこしい税制の話ですが、より大きな「国の歳入と歳出」という点でいうと、私が以前からずっと思っているのは「特定扶養控除」という仕組みの見直しです。

所得税の控除は課税前の所得から引かれます。特定扶養控除では、19歳から22歳までの高等教育該当世代の子供がいる家庭の場合、63万円の控除が受けられることになっています。これは一見すると、教育費の負担を控除で軽減しているのだから経済的な弱者に配慮した税制のように思えるかもしれません。

でも冷静に考えれば、これは収入の多い、所得税率の高い人ほど「たくさん税金をまけてもらえる」制度なんです。例えば、一番税率の高い45%の所得税率が適用される富裕層であれば、所得税は控除分を差し引いた所得に課税されますから、63万円×所得税率0.45で28万円くらい税金をまけてもらえる計算になりますよね。

一方、所得税を払えるほどの所得がない、例えば年収200万円の家庭であれば、そもそも控除の対象となる課税所得がないので恩恵はゼロです。それより少し上の300万円くらいの年収で所得税率が5%の家であれば、63万円の控除はあるけれど、税金が実際に減るのはいくらかというと、63万円×0.05ですから、年間でたったの3万1500円です。


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