ロシアW杯を控え、ひとりでも多くの選手のアピールに期待したいと語るセルジオ越後氏。

W杯イヤーのJリーグが開幕する。シーズンの幕開けとなるゼロックススーパー杯は、昨季王者の川崎と昨季3位でルヴァン杯、天皇杯の2冠を制したC大阪が対戦。C大阪が3-2で勝利した。

C大阪の最大の収穫は、昨年12月末に右足首を手術したエース杉本の戦列復帰。短いオフに体を戻すのは簡単なことじゃない。でも、巧みなポストプレーから先制点、2点目をアシスト。決定的なチャンスでシュートをふかすミスはあったけど、元気なプレーを見せてくれた。

また、後半から柿谷に代わって出場した新戦力ヤン・ドンヒョンも今後に期待を抱かせた。さすが昨季の韓国Kリーグ得点ランキング2位。体が強く、ボールがよく収まり、スピードもある。スルーパスで3点目を演出するなど、パスセンスも感じる。

C大阪は就任2年目となるユン・ジョンファン監督の目指す激しいサッカーがだいぶ浸透してきた印象。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)との両立がうまくいくかどうか、こればっかりはフタを開けてみないとわからないけど、楽しみなチームだね。

一方、敗れた川崎はベストメンバーではなかった。(中村)憲剛らベテランも多く、まだまだ調整段階。3失点するなど守備に少し課題はあるけど、開幕までには修正してくるはず。それほど気にする必要はない。

川崎の収穫は“出戻り”大久保の活躍。イキイキしていたね。結果を出すことに飢えているし、そういう姿勢はチームにも好影響を与えるはず。

川崎が連覇できるかどうかはなんとも言えないところだけど、主力には30代も多いし、逆に今季狙わなければいつ狙うのかとは思う。C大阪同様、ACLとの兼ね合いでどうなるか。

優勝候補に挙げられる浦和と鹿島、そして…

この両チームに加えて優勝候補に挙げられるのは浦和と鹿島。

浦和はACLがなく、リーグに専念できるのが大きい。はっきり言ってチャンスだ。ただし、昨季のACLで大活躍したラファエル・シルバが抜けた穴を埋めるFWを獲得するのが条件。点を取る選手が興梠しかいない今の状況では、いつか息切れする。今のところ新外国人獲得の噂は聞こえてこないけど、ぜひ大物を獲得してほしいね。

鹿島は順調に世代交代が進んでいる印象。守備では昌子、植田のCBコンビがどっしりと構え、攻撃陣にも金崎だけじゃなく、鈴木、安部などイキのいい選手がいる。今季も安定した戦いを見せてくれるはずだ。右サイドバックの西が開幕に間に合わないのは痛いけど、ドイツから復帰した内田が、その穴を埋められるのかに注目したい。

この優勝候補の4チーム以外では、磐田が面白そう。決して予算は多くないし、選手層も薄いけど、名波監督がうまくチームをつくり上げ、昨季もACL出場圏内に手が届きそうだった。

今季は名古屋から田口をピンポイント補強。攻守に安定しているムサエフ、突破力のあるアダイウトン、前線で体を張れる川又、そして彼らを自在に操る(中村)俊輔と、スタメンには個性のある選手が並び、期待感のあるチームになった。ひょっとすると優勝争いに絡んでくるかもしれない。

6月にロシアW杯を控え、日本代表のハリル監督の頭の中では、メンバー構成はほとんど固まっているはず。今からそこに割って入るのは簡単なことではないけど、ひとりでも多くの選手のアピールに期待したい。

(構成/渡辺達也)