週プレNEWS TOP 連載コラム "本"人襲撃 今の「保守」と「左翼」はただのコスプレ? 本当に必要な「リベラル保守」とは

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今の「保守」と「左翼」はただのコスプレ? 本当に必要な「リベラル保守」とは

[2018年03月06日]

「理性の絶対的な正しさを疑い、自分と異なる意見を聞くという保守の思想は『寛容さ』や『多様性』を受け入れるリベラルの思想と一体性がある」と語る中島岳志氏

そもそも「保守」ってなんなのか? 「リベラル」と「左翼」はイコール? 近頃、こうした政治的な立場の違いがよくわからないという人も多いのではないだろうか。

保守を自任する安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を旗印に「憲法改正」などに手をつけ、その一方で「希望の党」の結党をめぐって小池百合子代表(当時)は「リベラル派は排除する」とまで言い切る。

現在の日本を覆う、こうした二項対立の空気を乗り越えるために何が必要なのか? そのヒントを「本当の保守思想とは何か」という問いを通じて与えてくれるのが東京工業大学リベラルアーツ研究教育院、中島岳志教授の著書『保守と立憲』だ。

* * *

―なぜ、「本当の保守とは何か」と問うのでしょう?

中島 今、日本社会で“保守バブル”が起きていると感じるからです。安倍政権、そしてネット上の「ネトウヨ」といわれる人たちまで「保守、保守」と叫んでいます。しかし、その人たちの言う「保守」とは、思想体系の保守とはまったく異なるものです。

その多くは単なる「反左翼」で、ともかく「『左』の逆を言えばいい」という考え方です。僕はこれを「保守のコスプレ」と呼んでいます。ただし、これは左翼にも同じことがいえます。

―左翼もコスプレですか?

中島 そうですね。そこで面白いと感じるのは、戦後の日本を見つめれば右も左も自分たちを「少数派だ」と思い込んでいることです。

まず「保守のコスプレ」の人たちは、戦後の教育やメディア、アカデミズムなどの世界がずっと「左の連中に牛耳られてきた」と思い込んでいて、「マイノリティの自分たちには言論に訴えるすべがない」という不満を抱え続けている。

一方の「左翼のコスプレ」の人たちは、戦後長らく自民党の一党優位体制が続いてきたなかで「自分たちの声を権力が反映してこなかったから、オレたちはずっと権力に抵抗してきた」という自意識を持っている。

―右も左も勝手にコンプレックスを抱えていると。

中島 結局、それは双方がしっかりとした思想的土台を持たない「コスプレ同士の争い」でしかありません。それにお互いが「自分が絶対に正しい」と思い込んでいるから議論が一向に成立しません。僕はこれを一種の「共依存」だと思っているのですが、ともかくこれを崩さないといけない。そこで「本当の保守思想」というものを見つめ直す必要があると考えました。

―では、本当の保守思想とは何か教えてください。

中島 誤解している人もいるのですが政治思想としての保守は、いわゆるイデオロギーではなく、むしろそのアンチテーゼとしての意味合いを強く持っています。

保守という思想が生まれたのはフランス革命の時代にさかのぼり、イギリス人の思想家、エドマンド・バークという人に起源を持つのですが、その出発点は「フランス革命をやっている連中の人間観はおかしいぞ」ということだったんです。

つまり、革命のように「頭のいいやつが作った設計図によって、世の中を一気に変えることができる」とか「人間の理性で未来は進歩させることができる」という考え方は間違っている。自分の周りをよーく見回してごらんと。「人間の理性ってそんなに確実なものですか?」「どんなに頭のいいやつも、間違いを犯すことがある」「人間の理性が万能だなんて、近代人が思い描いている絵空事にすぎない」のだと批判したわけです。


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