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歴史教科書がダメなのは“専門バカ”な学者のせい? 大人気世界史講師が「日本の歴史教育」を斬る!

[2018年03月13日]

「『この時代しかわからない』という学者が寄せ集められて歴史教科書は作られるので、単なる事実の羅列になってしまい、各時代のつながりがわかりにくいのです」と語る茂木誠氏

「学生時代の勉強が大人になってどう役立つのか?」というのは誰もが一度は抱く疑問だ。特に日本史や世界史は「暗記」のイメージが強く、無味乾燥な教科書に苦しんだ人も多いだろう。

そんな日本の歴史教育に一石を投じるのが、人気予備校教師である茂木誠氏の新著『世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史』だ。世界の動きを通じて日本の歴史を見ることで、浮かび上がってくるものとは?

* * *

―茂木先生といえば世界史の人気講師ですが、大学生時代の専攻は日本史なんですよね。

茂木 もともと日本史の先生になりたかったんです。でも、就活のときに教えられる学校が見つからず、やっと採用された地元の私立高校では「うちは日本史の教師は余ってる。世界史がいなくて困ってるんだよ」と言われて。当時は必修が日本史から世界史に替わって、教えられる人間が不足していた頃でした。

―それまで世界史の勉強は?

茂木 ゼロですね。僕は高校入試に失敗した結果、入ったのがとんでもない底辺校でそもそも世界史の授業がなかったんです。そこは部活の盛んな学校なのですが、僕が入ったクラスは甲子園を目指す高校球児ばかりで、みんな部活に備えて授業中は基本的に寝ていました。

当然先生もやる気がなくて、趣味に走ってひたすら縄文時代をやっていましたね。2ヵ月も3ヵ月も縄文時代が続いて、結局2年間やって室町時代の応仁の乱で時間切れ。信長も秀吉も出てこなかったという(笑)。

―日本史ってそっからが面白いのに(笑)。

茂木 結局、浪人生になって予備校で初めてしっかりと日本史の授業を受けたら衝撃を受けたんです。レベルが高いし、先生が生き生きしていてとにかく生徒を引きつけるんですよ。それで大学でも日本史を選んだんです。だから、もしまぐれで大学に現役合格していたら、今こうやって歴史を仕事にしてなかったでしょうね。

―でもそういう一風変わった経歴だからこそ、「世界史とつなげて日本史を学ぶ」というコンセプトの本ができたと。

茂木 もともと日本の教科書ってすごく縦割りで、世界史と日本史が分かれているだけでなく、各時代のつながりもわかりにくいんです。それは大学での研究が細分化された結果、「この時代しかわからない」という “専門バカ”な学者が多くなってしまったから。そういう人が寄せ集められて教科書は作られるので、単なる事実の羅列になってしまう。歴史を学ぶことで今の僕らにどういう意味やメリットがあるのかが、まったく伝わってこないんです。

―事実の羅列ではない、各時代のつながりとは?

茂木 例えば室町幕府の勘合貿易の話をするならば、鎌倉時代の前の平家までさかのぼる必要があります。平清盛はあちこちの海賊のボスたちを配下にしながら瀬戸内海から九州まで海上ルートを開いていき、やがて中国との貿易を始めた。いわゆる日宋貿易で、平家がとても商業的な政権だったことがわかります。

しかし、彼らを倒した鎌倉武士たちは「一所懸命」という言葉のとおり、その土地に根づく農民的な資質を持ち、商業とか海上ルートといった概念がわからなかった。でも莫大(ばくだい)な利益を生む中国との貿易は今さらやめられず、鎌倉幕府は中国から入ってくる宋銭が止められなくなって崩壊していきます。


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