週プレNEWS TOP 連載コラム "本"人襲撃 歴史教科書がダメなのは“専門バカ”な学者のせい? 大人気世界史講師が「日本の歴史教育」を斬る!

連載コラム

歴史教科書がダメなのは“専門バカ”な学者のせい? 大人気世界史講師が「日本の歴史教育」を斬る!

[2018年03月13日]

―なるほど。そういった流れがあったんですね。

茂木 その後を受け継いだのが室町幕府で、彼らは再び商業ネットワークを基盤にしようとしました。その結果、3代目の足利義満は中国に頭を下げ、事実上、明の臣下となったんです。国家としての独立よりも利益を選んだわけですが、これって現代の日中関係にそっくりですよね。

日本は政治と経済を分けて考えるけど、向こうは必ず絡めてきて、「尖閣問題で引け」と言ってくるじゃないですか。そうなると経済界の人たちは「儲かるからいいじゃないですか」と頭を下げるほうを選ぶわけです。それと同じことを室町幕府に対してやっていたのが義満と明の皇帝の取り次ぎをしていた博多の商人たちなんです。

―「歴史=暗記」ってイメージだったのが、一気に身近に感じられますね。

茂木 でも先にも述べたとおり、日本の教科書が縦割りなあまり、そういった裏側の話はほとんど教えられてこなかったんです。もうひとつ例を挙げると、戦国時代、イエズス会の謀略でキリシタン大名になった大友宗麟(そうりん)や有馬晴信はキリスト教に改宗しない領民を奴隷化、ポルトガル人によってインドや東南アジア、アメリカまで売られています。

―日本は実は常に外国からの脅威にさらされてきたんですね。

茂木 あとは世界史が必修になってきたことも問題でしたね。1989年に「これからはグローバル化の時代だ」と世界史必修に舵(かじ)を切ったのはいいものの、肝心の日本の歴史がわからない学生が増えてしまったんです。

結果、外国人と仲良くなって「鎖国ってあれなんなの?」と聞かれても「日本人がバカだった」としか答えられない。一生懸命に英語を勉強しても、日本について何も語れない自称・国際人が増えたんです。

―暗記教育の弊害ですね。

茂木 文部科学省もだんだん気がついてきて、2022年から日本史と世界史を融合した近現代だけを教える「総合歴史」という授業が始まり、その中では学生同士の議論が行なわれるようです。ただこれも知識がないとできないので、いろんな見方があることを前もって教えて、それぞれの意見を聞くことが大事。もちろんすべて議論すると時間がかかりすぎるので、テーマを絞る必要はあるでしょう。

―肝心の教科書は少しはマシになるんですか?

茂木 僕の予想では今までどおり各専門家が集められただけの、中身はバラバラな本ができるんじゃないかと。昨年末、教科書に載っている用語数を大幅に削減する「高校歴史用語精選案」が話題になりましたが、歴史観が欠けているので、単語の数が減っただけで無味乾燥なところは変わってない。結局、まとめて書く人が必要なんです。

―どんな人でしょう?

茂木 それがね、予備校教師なんです。なぜなら僕たちは大学の先生と違って全部勉強していますから。オファーがあれば、ぜひ僕も書いてみたいですね。

(取材・文/テクモトテク)

●茂木誠(もぎ・まこと)
東京都出身。駿台予備学校、ネット配信のN予備校で大学入試世界史を担当。東大・一橋大など国公立系の講座を主に担当。iPadを駆使した独自の視覚的授業が好評を得ている。世界史の受験参考書のほかに、一般向けの著書として、『経済は世界史から学べ!』(ダイヤモンド社)、『世界史を動かした思想家たちの格闘』(大和書房)、『ニュースの“なぜ?”は世界史に学べ』シリーズ(SB新書)、『学校では教えてくれない地政学の授業』(PHP研究所)ほか多数。ブログ『もぎせかブログ館』で時事問題について発信中

■『世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史』
(KADOKAWA 1600円+税)
日本は世界の一部なのに、「日本史」の教科書ではかたくなに日本のことしか教えようとしない。そして「世界史」の授業では日本について触れない。しかし、聖徳太子や足利義満、織田信長、豊臣秀吉、さらには鎖国していた時代ですら、日本は常に世界との関係性のなかで存在してきたのだ。「世界史」とつなげて「日本史」を見ることで浮かび上がる日本人の成り立ちや強み、存在意義とは? グローバル時代に知るべき新しい大人の教養本
超日本史


ジャンプ50周年展VRはこちら!

連載コラム

Column

連載コラムを見る

Back Number

  • Jul 2nd 2O18 no.27
  • Jun 25th 2O18 no.26
  • Jun 18th 2O18 no.25
  • Jun 11th 2O18 no.24

 

Gravure Gallery

もっと見る

MOVIE Channel

【動画】小倉優香、タイで見せた新しい顔。

もっと見る

新刊のお知らせ

  • 浅田真央『また、この場所で』
  • 『週プレ グラビアスペシャル増刊GW2018』
  • 大原優乃『ゆうのだけ』
  • 小宮有紗『Majestic』
  • 飯豊まりえ『NO GAZPACHO』

 

メルマガ会員&アンケート 2018年No.27