トークイベントは6年ぶりという黒川芽以さん。「最近、夜は家で麦焼酎のソーダ割りを飲んでます」とのこと

3月4日、『黒川芽以デジタル写真集「30×30(サーティサーティ)」』発売を記念したトーク・サイン&握手会イベントが新宿・歌舞伎町「週プレ酒場」にて開催された。

女優・黒川芽以さんが30歳を迎えた記念に制作された『30×30』。本作でカメラマンを務めた熊谷貫(つらぬく)氏を迎えたトークパートでは、制作秘話や写真集にかけた思いを始め、10年来のタッグパートナーならではの裏話まで明かされた!

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熊谷 芽以ちゃんは14歳から撮らせてもらっていて。撮影以外でも舞台に誘ってくれたり、10年以上、ご縁は続いていたんだよね。

黒川 そうなんです。ここ数年は撮っていただく機会があまりなかったんですけど、昨年、私が30歳を迎えたタイミングで「この節目に、10代の頃からお世話になってる熊谷さんと何かできないかな?」と思い、満を持して『30×30』を作ることになりました。

熊谷 『30×30』は「東京の夜」がテーマなんだよね。芽以ちゃんが昨年出演した『二十六夜待ち』って映画のイメージに合わせて作っていった。

黒川 写真集のメインテーマが「夜」って珍しいですよね。車のライトを使った逆光のカットとか、表紙みたいにストロボを思い切り使ったカットとか、多彩な“光”の使い方は熊谷さんならでは。私、熊谷さんの光の使い方に憧れてカメラ始めたんですよ。

熊谷 いまだにカメラ続けてるのはすごいよ。今回の撮影、最初は「地明かり(自然光)だけで撮ろうかな」って思っていたんだけど、撮影を進めるたびにいろいろ試したくなっちゃって(笑)。

黒川 私も撮影が進むにつれて、いろいろアイデアが出てきて。本当に熊谷さんをはじめ、スタッフの皆さんと一丸となって作り上げた写真集ですよね。私がお願いした私服カットもたくさん入れてもらったし、長年の信頼関係も相まって、まるで“友達に撮ってもらった”かのような距離感の写真がたくさんあります。

熊谷 そうだね。最初はテーマである「夜」のシーンから撮り始めたんだけど、最終カットは夜が明けた朝の光の中で撮影することになって。自然光の下で芽以ちゃんを撮っている時、『二十六夜待ち』のストーリーとシンクロしたんだ。そういうのも面白い経験だったね。

黒川 「久しぶりに光の下で撮ってもらった!」って思いました(笑)。あのシーンも夜間の撮影があったからこそ、いつも以上に引き立つコントラストですよね。実は、『30×30』はインタビューもたくさん収録されてるんですよ。いつもの取材やブログでは書けないようなことまで話しているから、読んで驚く人も多いんじゃないかな?

熊谷 紙の写真集だと紙幅の都合上、インタビューって2、3ページ程度になっちゃうんだけど、今回これだけボリュームを割けたのもデジタルの強みだよね。量もそうだけど、内容も新鮮で面白い。僕も読んでいてびっくりするような話があったよ。

黒川 「応援してくれる人が減っちゃうかも?」というぐらい、本音で答えてますね。役者って、役のイメージでとらえられることが多いから、本当の自分を知ってもらう機会ってあんまりないんですよ。だから今回、赤裸々なインタビューを収録してもらえたのもすごくよかった。

「デジタル写真集」ならではの仕掛けとは?

熊谷 「デジタルの強み」ってところでいうと、『30×30』は企画段階からデジタル前提、それもスマホの縦画面を意識して作ってる。だから、写真の合間にあえてムービーを差し込んだりしてるわけ。「写真かな?」と思って眺めてたら、さりげなく芽以ちゃんが動いたりするんだよね。

紙の写真集だったら、メイキングムービーは付録DVDとして“おまけ”扱いになっちゃうんだけど、写真と動画を一緒にパッケージングできるのもデジタル写真集の面白さだと思う。

黒川 芝居以外で動画を撮られるなんて久しぶりだったので、変な緊張がありました(笑)。恥ずかしかったな…でも、スタッフの皆さんとアイデアを出し合って新しいものにチャレンジできたのがすごく楽しかった。

熊谷 芽以ちゃんのことは10代から知ってるけど、中学生の頃から大人っぽい表情だったからね。今こうして30歳の芽以ちゃんをあらためて見てみても、いい意味で当時と変わってないよ。

黒川 そうかなあ、40代になって「ガクッ!」ってきちゃうのかな(笑)。でも10代の頃、熊谷さんに「今の表情いいね、大人っぽいね」って言われてもピンとこなかったんですよ。それが30歳になった今、「ああ、あの時言われた“大人の表情”ってこういうことなんだ」って実感することがあります。

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続いて、参加者からの質問タイムに突入!

Q.好きな音楽を教えてください。

黒川 家にいる時は、もっぱらEDM! 「前世、ブラジル人だったのかな?」っていうぐらい踊ってますよ(笑)。まったりする時はエド・シーラン、あとデヴィッド・ゲッタも好きだなあ。

仕事で「泣く演技」が必要な時も音楽を聴くことが多いですね。「泣き」には種類があるんですが、例えばセリフがなくて登場から涙を流さないといけないシーンの時は音楽の力を借りて気持ちを高めることも。最近、そういう場面で聴いたのは宇多田ヒカルさんの『道』。本番直前まで聴き込んで自分を追い込むんです。

Q.お芝居で子役さんと共演される時、苦労されることはありますか?

黒川 子役のコって、緊張しているとうまく演技ができないし、リラックスさせすぎても距離感が近づきすぎちゃうのでバランスはすごく考えてますね。ちなみに私が子役時代、スタッフさんや共演者さんに「芽以ちゃーん、おはよっ!」って“子供扱い”されるのが悔しかったんですよ。今思えば子どもだから当然なんですけど(笑)、当時の私は「子供も大人も関係なく、同じ作品を作っている仲間」だと思っていたから。

だから今、子役のコと共演する時は、むやみに子供扱いせず、初対面の時は「おはようございます」って大人の演者さんと同じように接するようにしていますね。

Q.今後、演技で挑戦したい役はありますか?

黒川 個性的な役がやりたい。特にここ10年ぐらいは「ずっとガム噛んでる役やりたい」って言ってるぐらい(笑)、役者はみんな個性的なキャラクターに憧れているんです。

他にはそうだな…今まで何度も(ドラマや映画で)被疑者役で取調室に入ったことがあるんですけど、決まって「不幸な過去」が犯行の動機になるような役だったんですよ。だから次は、根っからのサイコパス役なんてのにも挑戦したいですね(笑)。

Q.今後35歳、40歳の節目にも写真集を出してもらえますか?

黒川 それ、買ってくれます(笑)!? でも私自身、30歳で写真集を出すなんて想像していなかったことが実現しちゃったんで、ありえないとは言い切れないな。もし実現したとしたら、その時はまた今回とはテーマや質の違う写真集をお届けできたら面白いですよね。

Q.2005年に歌手デビューされている黒川さんですが、今後、新曲のリリース予定はないのでしょうか。

黒川 ええっ(笑)。実は歌、苦手だったんですよ…カラオケも行ったことなかったし。でも「やるからには全力でやろう!」と思って猛練習したら、だんだん好きになっていって。歌手活動辞める直前ぐらいにはもう大好きになってた(笑)。

ただ、女優業と歌手業の両立っていうのは本当に難しくて。両方極めようとしたらどうしてもどっちつかずになっちゃうから、今のところ音楽は「趣味」かなあ。

熊谷 デジタル写真集のおまけとして、1曲収録してあげればよかったなあ(笑)。

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というわけで、イベント終了後の黒川さんを直撃!

30歳って大人かと思いきや、全然子供でした

―お疲れさまでした。6年ぶりのトークイベントはいかがでしたか?

黒川 こんなにたくさんの方に来ていただいて、“うれし恥ずかし”ですよ! 役者って、ファンの方とじかに接するイベントがあまりないので、「こういう方がいつも応援してくれているんだ」って実感できる機会は私にとっても貴重で大切なものですね。

―「東京の夜」がテーマの『30×30』ですが、黒川さんのナイトライフについて教えてください。

黒川 地味な20代を過ごしてきちゃったので(笑)、少人数でお酒を飲んだり食事に行ったりするぐらいですね。この記事を読んでくださっている若い読者の皆さんには「今のうちに夜の街に繰り出そう!」ってアドバイスしたいです。

―『30×30』が、30代最初の1年の記念碑的作品になったと思いますが。

黒川 そうですね。熊谷さんには「10代の頃から変わらない」って褒(ほ)めていただきましたけど、着実に年は取っているので(笑)、その積み重ねをひとつの作品として残せたのはよかったかな。

特に今回の写真集は、私ひとりの意見ではなく、熊谷さんやスタッフの皆さんと話し合いながらコンセプトを固めていった側面が強いんです。衣装にしても光にしても、その都度、天候や状況を見ながら全員で意見を出し合い決めていきました。そういう“流れ”を作品全体を通して感じていただけると嬉しいですね。

―5月には31歳のお誕生日を迎えられますが、30歳はどのような1年でした?

黒川 30歳って大人かと思いきや、全然子供でした。まだまだ考えること、勉強しなきゃいけないことがたくさんある。この1年に限らず、来年も5年後も10年後もずっと学び続けていきたいなって強く実感しました。40歳になっても同じこと言ってるかもですけど(笑)。

―最後に、読者へのメッセージをお願いします。

黒川 10代の頃からお世話になっている週プレさんと一緒に写真集を作らせていただき、トークイベントも開催できてとても嬉しく思います。35歳になっても40歳になっても、節目節目でいろんなアイデアを出したいと思っているのでよろしくお願いします! えっ、40歳の記念写真集ですか!? …それまで頑張って体形も維持しておきますよ(笑)!

(取材・文/結城紫雄 撮影/関純一)

黒川芽以くろかわ めい)1987年5月13日生まれ。東京都出身。97年に10歳でNHKドラマ『鏡は眠らない』に出演して以降、映画やドラマ・舞台と数々の作品に出演。最新主演映画『美人が婚活してみたら』が公開待機中、『二十六夜待ち』全国順次公開中。レギュラー出演するBSジャパン『くノ一忍法帖 蛍火』が4月3日スタート!Netflix『炎の転校生 REBORN』第4話、Amazonプライム『日本をゆっくり走ってみたよ~あの娘のために日本一周~』第3話・第4話に出演中。最新情報は公式ブログ、Twitter【@mei_kurokawasan】にて