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今やプロ棋士の実力をも凌駕するAI――研究の最前線で直面する、数値化できない「心」とは?

[2018年03月27日]

「AIがいつも『最適な答え』を探すのではなく、あたかも『心』があるように、一定の幅やゆらぎがあるほうが、人間の生活とうまく融合していける」と語る松原仁氏

AI(人工知能)に執筆させた小説が「星新一賞」の1次審査を通過して話題となった「きまぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ」。それを主宰するAI研究者、はこだて未来大学の松原仁(ひとし)教授が挑むのはAIに「人の心」を宿すこと。

今やプロ棋士の実力をも凌駕(りょうが)するAIが「心」を宿し、限りなく人に近い存在として社会進出する日は来るのか? 研究の最前線から見えてきたAI時代の到来について、正面から向き合ったのが松原氏の新著『AIに心は宿るのか』だ。

* * *

―2045年にはAIが人間の能力を超える「シンギュラリティ」の時代を迎えるともいわれますが、戸惑いを感じる人も少なくないように思います。

松原 実は、私のようなAIの研究者も、おそらく皆さんとは別の意味で戸惑っています。

もちろん、これまで30年以上も研究されてきたAIが実用化を遂げ、こうして世の中で広く評価されるようになったことは素直にうれしいです。かつてAIというのは理系の世界では、あまり期待されない学問でした。人工知能の研究が人間の「知性」や「心」という、良くも悪くも文系的でよくわかっていない曖昧な概念を扱わざるをえないからです。

一般的な機械であれば、「重量を半分にした」「40%小型化した」「処理速度が倍になった」とか、数値化できる目標や成果で評価できますが、知性や心の定義すら定まらないのでは明確な評価の基準もつくれません。そんなAI研究がこうして脚光を浴び、政府から「成長戦略の切り札」のように言われると、うれしい半面で「期待されるのはいいけれど、勝手に期待して、後で勝手にがっかりされたくない」という不安もあります。

なぜなら世間では、AIの研究開発が8合目あたりまで来ているように考えている人が多いのですが、僕の個人的な感覚だと現在地はせいぜい「3合目」あたりだからです。

―なぜ3合目だと?

松原 これも具体的、定量的に表現するのは難しくて、AI研究30年の勘…という感じなのですが、ひと言でいえば、「人間ってそんなに甘いもんじゃない」ということですね。

もちろん、囲碁や将棋に勝つといった「決められた課題を解決する作業」に限れば、人間の能力に匹敵したり、一部ではそれを凌駕するレベルにまで来ているものもあります。でも、人がなぜ「将棋を指すのか」とか「小説を書くのか」といった人間の動機づけの部分はまだよくわかっていません。

今が3合目なら、残る課題が7割。そのうち2割がコンピューターのハードウエアの性能、2割がソフトウエアの課題だとすると、残る3割は「心とは何か」「知性とは何か」「人間とは何か」という定量化、数値化できないものなのです。言い換えるなら、それこそが「人間のすごさ」でもあり、これからのAI研究にとっての大きな課題だといえるでしょう。


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